昨日の米国株は、中国市場が落ち着きを見せたことを好感し、大幅高で始まったが、その後原油価格が一時的に30ドルを切ったことから売られた。ただし引けにかけて諸費関連・ヘルスケア・ハイテク株などが買われダウは117.65ポイント(0.72%)上昇した。
これを受けて、年初来のパニック的な売り相場が落ち着きが戻り始めたと見る筋もある。ただし大方の見方はリバウンドラリー(反発)が持続するかどうかには懐疑的だ。
年初来の相場急落で、値頃感が出てきたことは確かだ。今後1年の予想収益をベースにしたS&P500の株価収益率は、昨年末の16.9倍から、15.3倍に低下し、長期的な平均値14.6倍に近づいてきた。
IMFのラガルド専務理事はフランス中銀のノワイエ総裁の送別会で「中国経済が持続可能な成長速度に減速することは、長期的には全世界にプラスになるものの、短期的にはコモディティへの需要減や金融市場へ悪影響等の波及効果がある」と述べた。
IMFの予想では中国の経済成長率は2015年が6.8%で2016年は6.3%である。
世界の投資家が中国の経済成長鈍化とそれによる資源価格の低迷を織り込むまで、相場の底が見えてきたとはいえないかもしれない。
日本株については、相場を牽引する海外投資家がしばらくは売りに回る公算が高いので、大幅な反発は見込まれないだろう。
ところで今日(1月13日)の日経新聞朝刊「スクランブル」に「個人は相続した株を現金化する動きなどもあり、ほぼ例年売り主体となっている」という記述があった。
相続した株も売られるかもしれないが、相続対策として株を売り、相続税の課税額が低い不動産に買い替える資産家も多いと聞く。昨年金融庁は「相続時の有価証券の評価額を時価よりも低くするべきだ」と税制改正要望を提出した。今年度の税制改正では実現しなかったが、日本株相場の低迷が続くと、株価対策として注目される可能性があるのではないか?と個人的には考えている。
あるいは相続した株価が低いと余計売り易くなる、という判断からこの案はまたお蔵入りするのだろうか?