goo blog サービス終了のお知らせ 

金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

オイル2年後には再び100ドル越えへ?

2015年11月26日 | 投資

今のところ今年の個人的な投資は概ねうまくいっているのですが、一つ躓いているのがETFによる原油先物投資です。大した投資額でもないので、暫く塩漬けですね。

ところがトルコがロシアの爆撃機を撃墜するなど中東情勢が緊迫化してきたことから、WTIは43ドル越えまで反発してきました。

原油価格が反発をし始めると、メディアは気の早いもので、あるアナリストの「オイルは2年後には100ドルまで上昇するのではないか?」という意見を取り上げていました。

CNBCはコンサルタント会社Ecstractのストラテジストの見解を紹介してます。

そのストラテジストによると「現在の1バレル42ドルという値段は、ハーフサイクルコストベースで取引されている。」ということです。

ハーフサイクルコストとは、油田探索コストや油田地帯を購入する土地代といった開発コストを除いた経常費用と考えてよいでしょう。

新しい油田の開発がないと、やがて石油は枯渇し、原油価格は上昇に転じます。

そのストラテジストによると、来年一杯は現在の油田からの供給で需要が満たされるため、価格の大幅反発は起きないが、2017年になると、過去の投資不足から原油の供給が細り、原油価格は再び100ドルを越えるということです。

また彼は現在の原油価格は地政学的なリスクを織り込んでいないとも指摘しています。

ただし今が原油を買うタイミングか?というと彼は慌てて買うことはない、もう一度オイルは下落する可能性があると述べています。

そして価格が下落すればするほど、石油会社は開発コストを抑えるので、潜在的な供給力は低下し、数年後の価格上昇はより大きなものになると述べています。

まあ、この意見を信じて私の小さな原油先物投資は塩漬けを続けておきましょう。

★    ★    ★

最近出版した電子本

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国務省、ホリディシーズンの海外旅行に警告

2015年11月25日 | ニュース

今週月曜日に米国国務省は拡大するテロリスクを踏まえて、海外旅行に対する警告worldwid travel alert を発した。

国務省は「IS(イスラム国)のメンバーがシリア・イラクから戻っているので、テロ攻撃が続く可能性が高い。特に今週のサンクスギビングディやクリスマスシーズンで多くの人が集まる時は要注意だ」と述べている。国務省の警告は来年2月まで続く予定だ。

またCNBCは政治学者イアン・ブレマー氏の「来年の大統領選挙を前にして、治安に対する懸念は大統領選候補者の駆け引きや将来の政策に影響を与える」と述べている。

テロなどの脅威は海外旅行の動向に影響を与えているが、その影響は長続きしないというのも事実だ。

2014年の世界の海外旅行者数は11億人で前年より4.7%増加した。今世紀に入って海外旅行者数が前年より減少したのは、9.11米国同時多発テロ、2003年のSARS危機、リーマンショックの後の3回だけだった。

一方国連世界観光機関の幹部はこの傾向を踏まえ、今回のパリのテロの影響は長続きしないだろうと楽観的な見方を示している。

★   ★   ★

個人的には近々海外に旅行する予定がないので、今のとこと他人事のような話だが年末年始にかけて海外旅行をされる方はちょっと頭の隅に入れておいて良い話だと思う。

この前のパリ同時多発テロの映像を見ていて、「危機に面するとある程度の現地語理解力が要るのではないか?」と感じた。

平時であれば英語でも現地の人とコミュニケーションを取ることができるだろうが、緊急時には現地語でないと困難なことが多いのではないだろうか?

私は言葉については無頓着な方で、スペイン・メキシコ・タイ・台湾など非英語圏であまり英語が通じない国を個人で旅をしてきたが、もしテロや大地震のような緊急事態に直面していたら、無事に脱出できたかどうかふと不安に駆られることもある。

たとえガイド付きの団体旅行に参加していても、緊急時には個人行動を取らざるを得ない場合があるということは想定しておいた方が良いだろう。

仮に世界的な海外旅行ブームが続くとすれば、当面テロリスクが高いと考えられる欧州から他の地域~例えば日本~へのシフトがあるかもしれない。経済的には歓迎するべき話かもしれないが、セキュリティ面では警戒レベルを高める必要がありそうだ。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シニア大楽の講師リストが届きました

2015年11月23日 | うんちく・小ネタ

今日来年度版のシニア大楽・講師リストが届きました。

NPO法人「シニア大楽」は中高年の社会参加を支援することを目的に2003年に設立されたNPO法人です。私が把握している主な活動は月1回の「講師のための話し方講座」と「講師紹介センターの活動」です。講師紹介センターというのは、地方公共団体等のご依頼主からの講師派遣依頼を受けて、登録している講師に連絡をして、条件が合えば講師を派遣するシステムです。

私も講師派遣の依頼を受けて今年の10月に浦安市でマイナンバーの講演を行いました。

現在何名の方が講師登録をされているか正確には知りませんが、会員番号から推定すると700名強の人が講師登録しているようです。講師のジャンルは「高齢社会・くらし」「心とからだ」から「エンターテイメント・園芸・司会」「趣味・芸術」まで幅が広いです。

講師リストを見ると本は論文をお書きになった方も多く、中々の人材リストだなぁ、と改めて思いました。

「講師のための話し方講座」には、聞き手・話し手双方の立場で参加しましたが、お話の上手な人が多いのには感心しています。

お話の上手な人の中には、落語をやっておられる方も多く、「つかみネタ」の出し方については参考になるとこがありますね。

「話し方講座」の面白いところは、総ての聴講者が一人3分のショートスピーチ(自己紹介でも最近の出来事でもテーマは自由です)をすることです。皆さん、講演を聞いている時より自分でお話される時の方がはるかに生き生きしているように見えます。

まあ、カラオケと同じでマイクを持つ方が楽しいのですね。

シニア層にとって自分の経験に基づいたスピーチを行うことは、社会参加と脳の活性化の点で一番良いことの一つでしょう。シニア大楽の運営者の方々に敬意を表したいと思いました。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

起業家精神に富む家業を伝える方法~ドイツのワインメーカーの例~

2015年11月23日 | ライフプランニングファイル

WSJにHow to keep a family business alive for generationという記事が出ていた。

記事の概要を紹介した上で「相続」の問題を考えてみたい。

記事を寄稿したのはコンコルディア大学(カナダ)のJaskiewicz博士だ。

博士たちはドイツの21の家族経営のワイナリーを調査して、「先進的なワイン作りに取り組む企業群」(先進的)と「伝統的なワイン作りを続けている企業群」(伝統的)に分け、先進的グループの特徴を抽出した。

先進的グループを特徴づけるのは「家系の起業家精神の伝統を子供たちに繰り返し教える」「子どもが小さい時からワインの出荷などの家業を手伝わせる」「子どもたちを世界最高レベルの大学で勉強させる」「家業を継がせる前に競争相手やワインに関係する業界で働かせる」「子どもが家業を継いだ後は親は日常業務を担当し、子どもに新規事業をやらせる」「事業を一人の子どもに承継させ、企業が分割させることを防ぐ」というものだった。

これらのことは日本でも家業を発展的に次世代に承継している企業で見られることだ。逆に「新しいことを学び、起業家精神に富んだ子どもに新しいことをさせずに親がいつまでも古い事業に拘り失敗する」例は今人気のNHKの朝ドラ「あさが来た」でも見ることができる。

さて相続の観点からこの記事を見ると、2つの点に気がつく。一つは先進性を保つ企業では「起業家精神に富んだファミリーヒストリー」が相続されるという点だ。

相続されるのは、お金や工場といった財産だけではなく、先祖たちの苦労とその後の成功体験ということだ。

次に「遺産分割で相続人の間で不公平が起きようとも事業を一人の子どもに相続させる」という点だ。記事によると「子どもたちの間で遺産分割上の不公平がでても、ワイナリーを成功させることで家族全体が幸せになれるという哲学に基づき、事業承継者は兄弟姉妹の面倒を見るという社会的責任を負う」と述べている。

具体的にいうと、家業を継承しない兄弟姉妹は多くの場合、ワインに関係するビジネス~ワインショップ・レストラン・ホテルなど~を展開する上で資金面・感情面のサポートを受けるということだ。

「ところでこのような戦略は米国にも当てはまるのか?」とJaskiewicz博士は話を続け、幾つかのことは米国では難しいだろうと述べる。

例えば一人の子どもに多くの遺産を相続させることについて多くの両親は不公平だと感じるからだ。また家族が以前ほど協力的でなくなり安定性を欠いていることもその背景にある。

★   ★   ★

さて日本ではどうだろうか?

日本には「事業承継法」という特別法があり、中小企業の事業承継においては、「生前贈与株式を遺留分の対象から外す」といった事業承継支援策が用意され、相続による事業分散を防ぐ対策が打たれている。

ただかなりハードルの高い要件があるので、どれほど活用されているかは疑問だが。

ドイツの相続法について詳しいことは知らないが、5,6年前に一部改正が行われた。例えば「遺留分権利者に対する相続人の支払義務の猶予自由が拡大」した。これは遺留分権利者に対する支払のため、家屋や生活基盤となる営業資産を相続人が売却せざるを得なくなる状況を改善する意図だと言われている。

現在日本では法制審議会が相続法の改正を検討している。主なポイントは「生存配偶者の居住保護」「配偶者の共有財産形成に対する寄与の見直し」「介護貢献」などだ。

遺留分については「配偶者の遺留分を拡大・子どもの遺留分を縮小」する方向に向いていると思われる。

ただし高齢化や介護・社会保障費の抑制で家計負担が増える一方、家族関係は希釈化しているので相続法の改正だけでは解決できない問題は多い。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上場株式の相続時評価額見直しのインパクト

2015年11月21日 | 投資

昨日(11月20日)の日経新聞(有料会員限定版)に出ていた「個人売りを止める秘策 相続税 株冷遇に見直し機運」という記事の意味を考えてみた。

この記事のベースになっているのは金融庁が8月に発表した来年度の税制改正要望の中の「上場株式等の相続時評価の見直し」という一文だ。

現在の上場株式の相続税評価の方法は「相続等(死亡)の日の最終価格」(詳しくは「その前月の毎日の最終価格の月平均額」等4つの価額の最も低い価額で評価するとなっているが詳細は省略)となっている。つまり「時価」で評価されるのである。

一方不動産には相続税評価上の優遇措置が色々ある。土地そのものは公示価格の8割程度で評価され、建物は建築費の5-7割程度でひょうかされる。また借家建付地の場合は、更地より2-3割評価額が下がるので相続対策として、現金や株式より不動産が選考されるのである。

このような現状に対し金融庁は「他の資産との比較における相続税の負担感の差により、投資家の資産選択を歪めることがないよう、上場株式等の相続評価において、所要の措置を講じること」を政策目的に掲げている。

金融庁は相続時の上場株式の評価額について具体的な目処を示していないが、大和総研は11月19日付の「上場株式等の相続税評価の見直し」の中で「市場価格の70%とすべし」と主張している。

大和総研の主張は過去の株価の変動幅を分析し「上場株式等の評価額を市場価格の70%とすれば、約96%の確率で株価下落に対する救済を受けられる」というものだ。

ここで日本株の株価の変動幅についてちょっと考えてみよう。

1975年から2014年までの40年間の日経平均株価の収益率は6.3%で標準偏差は22.5%である。このことは約68.3%の確率で単年度の収益はマイナス16.2%からプラス28.8%の間に分布し、約87%の確率(標準偏差の1.5倍)で収益はマイナス27.4%~プラス40%の範囲に入ることを意味する。

相続発生時から相続税の納付期間は10ヶ月なので、株価変動幅は1年で計算するより少ない。以上のようなことから上場株式の相続時評価額を7割程度に抑えると相続税納付時までの価格変動リスクを相当抑えることができるといえる。

一般の人にとっては、複雑な計算よりも、上場株式の相続時評価額が時価の7割になるというインパクトの方が関心が高いだろう。つまり相続対策から株を売って不動産に投資するインセンティブが少なくなるからだ。

現在空き家は全国で8百万戸を越える。これ以上賃貸物件を建てても空き家対策に逆行するばかりだし、収益目的で建てた物件が不胎化するリスクも高まっている。

金融庁の税制改正要望が来年度にすんなり通るかどうかは分らないが、住宅政策と株式投資促進政策を整合させる方法として、大いに検討するべき課題だと思っている。そして節税対策を考える上でも視野に入れておかないことだと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする