WSJなどを見ても中国に関するニュースの量は圧倒的だ。世界第2位の経済大国である中国の動向が世界経済に与える影響が極めて大きいからだ。
その中国の二つのニュースは、中国が一つの転換点に差し掛かった象徴ではないかと私は感じている。
一つ目のニュースは中国政府が2022年の経済成長率は3%だったと発表したことだ。この成長率は1976年に毛政権が崩壊して以来最悪に近い水準だ(2020年が2.2%だった)。
これはゼロコロナ政策により中国内で度重なるなロックダウン政策が取られた結果だ。ゼロコロナ政策は昨年12月に事実上撤廃されたが、そのマイナス影響は大きい。
度重なるロックダウンにより消費者信頼感は地に落ちている。
ゼロコロナ政策の撤廃により12月以降死者が約6万人に達したと公表されているが、実態はもっと多いという見方もある。また感染者の数についても数億人が感染しているという見方もあるようだ。
公表されている都市部の失業率は昨年4月の6.1%から12月の5.5%に低下し、若年労働者(16歳~24歳)の失業率は昨年7月の20%近い水準から12月16.7%に低下している。失業率は低下傾向にはあるものの、コロナの傷跡が顕著に残っている。
もう一つのニュースは1960年代初頭以来、昨年初めて人口が減少に転じたことだ。昨年中国の人口は85万人減少した。人口減少は長年にわたる少子化政策の結果なので、簡単には修正できない。
つまり中国は今後労働力増加により生産量を増やすことが困難になり、生産性の改善が求められることになる。
個人的な見解では、生産性の改善には、経営階層とそれ以下の階層による経営目標と事業プロセスに関する情報の共有が必須だ。
中国がこのような目標や情報の共有を行いうるかどうかが中国が今後持続的な経済発展を行えるかどうかの一つのポイントだろう。
これらの観点から後世2022年頃が現代中国の一つの転換点になったと言われる可能性があると私は考えている。