1月の米国株は好調に推移している。特に昨年売り叩かれたハイテク銘柄が多いナスダックが好調だ。
マーケットではこれまで売り叩かれていた銘柄の反発が目立つようだが、これには、ショートスクイーズの影響が大きいというのが相場関係者の見方だ。
WSJにShort sellers feel the pain in 2023' stock rallyという記事があった。
ショートポジションつまり株を借りて空売りする投機家の狙いは、空売りした株を値段が下がったところで買戻し、借りた株を返してポジションを閉じることで利益を確定することだ。
昨年のような下落相場ではこの戦略は大きな利益を上げた。
だが値段が下がることを予想していた株価が下がらずに値上りを始めると空売りした投機家は含み損が拡大する。そこで投機家は慌てて株を買い戻し始める。損切の買戻しだ。だが空売りをしていた投機家が一斉に株を買い始めるとその銘柄の株価は急騰する。日本語でいえば踏み上げ相場だ。
記事によると、S3パートナーズのアナリストは、昨年3千億ドルの利益を上げた空売り投機家は、今年に入って810億ドルの含み損を抱えていると述べている。
1月に株価が上昇している要因はインフレに鎮静化の兆しが見えたので、連銀が利上げのペースを落とすという見方が広がってきたことだ。
このため金利に敏感なハイテク銘柄の上昇が始まり、空売りが多かったハイテク銘柄で踏み上げが起きているのだ。
CMEグループによると、デリバティブ市場では今年前半に少なくとも連銀は2回利上げをする確率は92%と見ている。
そして年後半で12月までに少なくとも1回は利下げが行われる確率は82%とあると予想されている。
長期金利市場では、ベンチマークの10年国債の利回りがピークの4.2%から3.5%に下がってきた。
もっとも市場が金利引き下げに前のめりになっている可能性もある。
パウエル議長は、政策金利の引き下げを急いだ1970年代の過ちを繰り返したくないと述べている。
相場の底は後でないと分からない。底値で株を買うというのは結果論だろう。だが底に近いところで買うことは可能だ。今はそのタイミングだろう。