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金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

仏教は英語で読むと分かり易い(2)~五戒も実践しやすくなる

2016年08月22日 | ライフプランニングファイル

英語の仏教解説書では釈迦の教えの流れを「四諦」(「苦」に関する4つの真理)からスタートし、「苦」の解決に関する実践方法として「八正道」を説明し、特に八正道の中の「正念」をマインドフルネス(今ここに意識を集中すること)として推奨する構成をとっています。そしてマインドフルネスの実践が進むと「悟り」Enlightmentに到達すると述べています。つまり仏教の目的である「悟り」に到達する道筋が明快なのです。

ただし明快であることと容易であることは同義ではありません。たとえばこうすればまっすぐボールを打つことができるという理論はわかっても、体がついていくとは限りません。理論を実行するには長い訓練や精神力・基礎体力の向上が必要です。

仏教に関して基礎体力的な部分は、「五戒」の実践だろうと私は考えています。「五戒」英語ではFive Preceptsは「不殺生戒」「不偸盗戒」「不邪淫戒」「不妄語戒」「不飲酒戒」を指します。

「五戒」の中で私にとって特に実践するのが難しいのが「不殺生戒」と「不飲酒戒」ですね。「不殺生戒」とは「いかなる生き物も害さない、殺さない」ということですから、最終的にはベジタリアンになるしかありません。ただし英語の解説書によれば、ステップバイステップで菜食主義を実践すれば良いと述べています。つまり週の内まず1日肉や魚を食べない日を作ります。そして少しずつその日を増やしていくというやり方です。

これについてはネパールの友人宅に夕食に招かれた時、友人ご夫妻は「今日は肉を食べない日になっている」と言って野菜だけを食べていたことを思い出します。友人はヒンドゥ教徒なのですが、ヒンドゥ教も基本的には菜食主義なのでこのように「肉を食べない日」を作っているのですね。

週の内1日だけ菜食主義者になるというのであれば実行可能なような気がしますね。

「不飲酒戒」というのは、文字通りアルコールを飲んではいけないという決まりです。

ただし一般人(つまり坊さんでない人)向けに書かれた解説書では「正常な意識に悪影響を及ぼすような酒や薬物は避ける必要があるが、一杯のワインを飲むことまで禁じたものではない」と説明しています。

ここはキリスト教文化で育った欧米人に受け入れやすいように少し「不飲酒戒」を弾力的に解釈しているのでしょうか?

仏教の目的が戒を守ることそのものではなく、意識の集中を通じて「悟り」に通じる道を歩くという目的論的な解釈からは、在家の人々にとって多少の飲酒は認められるということになりそうです。手前勝手な解釈かもしれませんが。

なお一般の人向けには多少の飲酒は許されても、僧侶・尼僧の飲酒は禁じられていると解説書は説明しています。これは解説者が「テーラワーダ仏教(上座部仏教)~釈迦の教えを忠実に実践しているとされる」をベースに仏教を説明しているからです。

日本の僧侶の間では酒は般若湯として好まれてきたのはご承知のとおり。もし御釈迦様が今日の日本仏教を見ると「これは私が説いたこととはあまりに違う」とおっしゃるでしょう。

ちなみに日本では亡くなった人にお寺から「戒名」を授けてもらいますが、これは「戒」を守った人に与えらえる名前のようです。私は「戒名不要論者」ですが、その最大の理由は戒も守ることができないのに名前だけ貰って何の意味があるのか?と考えているからです。

 

 

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米国中間所得層に復活の兆し

2016年08月22日 | ライフプランニングファイル

先週木曜日(8月17日)ニューヨーク連銀のダドリー総裁は「米国中間層の雇用に復活の兆しが見えている」と発表した。2013年から2015年の間に年収3万ドル~6万ドルの中間所得層(教育・建設・輸送などの従事者)の雇用増は230万人で、同期間の高所得層・低所得層の倍近い雇用増となった。

2010年~2013年の間の雇用増は760万人で中間所得層の増加は全体の雇用増の1/5だったから、ダドリー総裁は「雇用の潮目が変わり始めた」と述べている。

このニュースから幾つかのことを読み取ることができる。第1にリーマンショックの後の大不況から経済が本格的に回復し始めたということだ。景気回復の初期の段階では、高所得層と低所得層の雇用が拡大し、中間所得層の雇用は遅れる傾向があるが、中間所得層まで雇用が回復してきたことは今後労働需給がタイトになることを示唆している。

ダドリー総裁は最近「9月に連銀が政策金利を引き上げることもありうる」という趣旨の発言をしているが、これは彼が労働需給の引き締まりがインフレにつながると考えているからだと考えることができる。

次に雇用を増やしている業種が金融・証券・ヘッジファンドなどからグーグルやその他のハイテク関係のスタートアップ企業にシフトしている点だ。

ニューヨーク市のハイテク企業の雇用増は2010年以降5.3万人にのぼるが、証券業の雇用増は1.2万人に留まっている。

ダドリー総裁は「過去の景気回復・拡大の過程では証券業界が経済成長を牽引したが、今回の景気回復では証券業界の雇用増は極めて貧弱だ」と述べている。

その背景について想像すると「金融業におけるハイテクシフト」が起きているのではないだろうか?

その一つは「人工知能の活用」だ。人工知能は「資産運用」や「住宅ローンの審査」など幅広い分野で利用されはじめている。金融業界で給料の高い人間を雇うより人工知能を利用したいという動きがでているのかもしれない。

もう一つはフィンテックと呼ばれるハイテク技術と金融を融合したサービスが拡大していることだ。フィンテックの発達は伝統的な金融業界の不可逆的な縮小を招くことは間違いない。

最後に中間所得層の回復が政治、具体的には米国大統領選挙に与える影響だ。今回の大統領選挙では所得の二極化や格差拡大が大きな話題となり、一種の過激論者が躍進したが、中間所得層が回復してくると政治的な安定感は回復する。ただし中間層の雇用回復の兆しが大統領選の時点で選挙民に実感されるかどうかは分からないが・・・

★   ★   ★

先日某信託銀行の役員と話をする機会があった。その信託銀行では日銀のマイナス金利導入に伴い、住宅ローンの借り換えが増えて営業現場は活況を呈しているという。住宅ローンの借り手の支払金利負担が減ってその分消費が増えるなら、マイナス金利政策もそれなりの景気浮揚効果はありそうだが、借り手はむしろ余剰資金を貯蓄や返済額の増加に回す傾向が強いようで、必ずしも消費増にはつながらないようだ。

日本のフィンテックへの投資は諸外国に比べると極めて低いがフィンテックなどハイテクと金融の融合技術を活用して、金融マンの雇用をもっと付加価値の高い業界にシフトすることが必要なのではないか?とふと感じた次第である。

★   ★   ★

出版した電子本

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

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