読書には色々な目的があります。リラックスや時間潰しが目的であれば生産性にこだわる必要はありません。
しかし何かを生産するために本を読む場合、とくに生産するものに期日がある場合は生産性は大切です。
私の実例で申し上げると、私は2週間ほど先にある会社で内定者向けに話をすることになっています。話すテーマは自由なので、「学生時代の勉強と社会人としての勉強は何が違うか?」といった話をしようと思っています。
何が違うか?というと学生時代の勉強で問われたのは「どれだけ知識を詰め込み覚えておくか?」ということですが、社会人では「知識や情報を組み合わせて現実の見取り図を描き、そこにビジネスチャンスを生み出す」という知識と情報加工が中心になるという点です。
このこのことについては外山滋比古氏に「思考の整理学」という名著があります。30年前に書かれた本なので情報整理の具体的方法などは今日では参考にする必要はありませんが、根本の考え方は人工知能の出現まで見据えた素晴らしい本だと思います。
そこで私の話の中でも数か所外山先生の言葉を引用しようと思っています。さてこのような場合、どうするのが効率的な方法でしょうか?
私はキンドル版でも「思考の整理学」を持っていますので、電子本のコンテンツをそのまま抜き取ることにしました。
キンドルの文章を抜き取る方法としては抜き取りたい部分をなぞり「ハイライトを選択しそのハイライトをPCのAmazone Kindleサイトで読みコピーする」という方法が一般に紹介されているようです。
私も何度が利用したことがあるのですが、二つの点に問題を感じました。一つはPCでAmazone Kindleサイトを開くという手間です。もう一つは「PCで表示されるハイライトの数に制限がある~本の著者による制限~」ということです。
そこで最近私が採用している方法はKindleで「抜き書きしたい部分をアクティブにした後、シェア機能を使ってエバーノートに転送する」という方法です。シェア機能では送りたい電子メールアドレスを指定できますので、そこに自分のエバーノートの電子メールアドレスを登録するのです。
もちろん自分が普段使っているメールに送ることも可能ですが、後工程を考えるとエバーノートに送る方が断然効率的です。
エバーノートには下の写真のように、複数の抜き書きメモが蓄積されます。これをマージ機能を使って一つのメモにすると抜き書き作りは完成です。
エバーノート上に抜き書きメモを作る理由は「後で検索がしやすい」といった理由だけはありません。
実はエバーノート(有料のビジネス版)にはコンテキスト(文脈)という機能があり、自動的に関連すると判断されたノートが表示される機能があるからです。このコンテキストという機能はまだ完全なものではなく、ほとんど関連しない情報を示すなど煩わしいこともありますが、時に忘れていたような情報を示してくれることもあります。
このような抜き書きメモが蓄積されていくと、スピーチやエッセーに使いまわしの聞く素材になります。そしてその素材を組み合わせることで、新しいアイディアが生まれる可能性があります。
今回の内定者向けの話の時間は限られていますのでコンテキストの話はしないと思いますが、情報収集にかける手間と時間を減らして情報を利用することに時間をかけるのが社会人の勉強方法だということは述べたいと思っています。