追憶の彼方。

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日本人の性格

2016年09月15日 | 文化・文明
日本の魅力(4)で主として外国人から見た日本人の性格について触れた。只これは飽く迄外国人の「感じ」であって、心理学等学術的な研究によるものではない。

手許に20年程前に購入した「アメリカ人の性格、日本人の性格」という本がある。心理学の大家、宮城音弥氏の著作で前般はジーグフリードの「アメリカとは何か」を翻訳したものであるが、宮城氏が人間の性格や、日本人の性格を論じる際にアメリカ人の性格と対比されることが多かったので、今回自著を出すに当たって「アメリカ人の性格」という表題にして収録されたものである。

日本人の性格を論じるに当たり、ジークフリートに倣って「日本とは何か」が述べられている。
(1)日本は島国である
ジークフリートの「どんな国も、大陸の一部として考えなければ理解できない」と云う範疇から少しかけ離れているのではないかという事が述べられている。
フランス・ドイツ・イタリー・イギリス何れもヨーロッパ的性格・歴史を離れて個々の国を論じることは出来ないと述べているが、日本をアジア大陸の一部と考えると説明がつかなくなる。イギリスとフランスの距離は青森と北海道の距離より短い。ドーバー海峡を泳いで往復出来るほど近いのに比べ日本と大陸の間を泳いで渡ろうなどと考える人間はいない。
奈良時代僧・鑑真は授戒の為日本へ渡航を試みたが何度も失敗し、失明までしている。蒙古の襲来も神風が吹き不成功に終わったように日本と大陸は近いようで遠いのである。
一方では朝鮮半島から対馬、壱岐の島を飛び石伝いに漢字を中心とした中国文化(天孫降臨、神武東征等)が伝って来たし、東シナ海ルートによって体質的にも日本人に似た中国南部の人達と共に稲作技術等も到来した。
天照の神話、山の幸・海の幸の民話に代表されるような南方の文化・人種も台湾、琉球列島を飛び石伝いに伝播した。
隔離性と吸引性,これが島国としての日本の特徴である。
 

(2)日本は山国である
ジークフリートはアメリカの自然の広大さがヨーロッパ人と異なるアメリカ人を育てたと考えた。しかし日本列島はアメリカのように広大でもなくヨーロッパのような穏やかで牧畜によって人間化出来るような土地でもなかった。食用に出来る野生動物も豊富で海も近く魚が比較的簡単に手に入ったためその必要もなかった上、日本の自然は時に猛威を振るい、人間が自然を征服することを妨げてきた。 暴風雨、大雪、地震、洪水、これらの脅威に唯々順応しようとしたのである。
自然に対しアメリカ人はサデイズム的であるのに対し、日本人はマゾヒズム的であるという。ヨーロッパ人は親和的、合理的という事になろうか。

日本人が親しんできた自然は極めて小さい自然で山と、そこに貯えられた水と、その水を利用する狭い平地であった。山,渓谷、渓流は日本人に特別な感情を与えた。

上記のような指摘から、【日本人の繊細さ、細やかさ、諦観、長いものには巻かれろ、付和雷同、ものの哀れ、無抵抗主義、、忘れやすい(辛いこと、嫌なことを本能的、自己防衛的に忘れようとする一種の活きる為の知恵)裏返しとして我慢強く耐え忍ぶ力が強い、多くが詩的感覚を身に行けている、或いは理解できる(世界的に稀有な特徴)】と云った日本人の特徴が良く理解できる。






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