自民党総裁選
8月14日岸田首相は「自民党が変わることを国民の前にしっかりと示すことが必要だ。変わることを示す最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ。来たる総裁選挙には出馬しない。」 と述べて総裁選不出馬宣言を行った。 自民党最大の問題である統一教会問題や裏金問題を放置した儘、総理が退陣する事がどうして「自民党が変わる」事に繋がるのか、問題を放置して敵前逃亡するのは安倍と同じで、当に自民党旧来の姿そのものである。一体次期総裁がこの問題の解決を含めどのように自民党改革、政治改革を図ろうとするのか、そのような骨のある人材がいるのか極めて興味深い。
その様な中、最初に出馬表明を行ったのが小林鷹之氏(49才)(衆院4・二階派)前経済安全保障相である。東大、財務省・理財局(森友・佐川局長)のエリートコースを経て国会議員、お決まりのコースを歩んで来た人物だが、往々にしてこの様な人物に有り勝ちな(出世欲・上昇志向)が強すぎて、自己の目的達成の為には何でも利用して恥じるところが無いという点が目に付きすぎて、強い違和感、居心地の悪さを感じる。利用できる物は悪魔でさえという手法は安倍の得意とするところだったが、安倍の場合は人間が単純なだけ、簡単に見破れたが、小林の場合は複雑系で何とも薄気味悪い。
先ず8月15日終戦記念日に、日本武道館の全国戦没者追悼式ではなく、靖国神社参拝に訪れた。神道政治連盟や日本会議の意向を踏まえた保守派の票を期待したもので、太平洋戦争や戦争責任など考慮の外、諸外国の反対論など全く無視した行動である。統一教会のパーテイーでの挨拶や祝電等による関係もあり、宗教利用はこちらも安倍と同じである。
又、知名度不足の解消と「若さ」アピールの為、趣味のランニング姿を報道陣にわざわざ公開し、更に突然の横田めぐみさんが拉致された被害現場を視察。何故総裁選が始まったこの時期の視察なのか。藁をも掴みたい思いの拉致家族迄利用する、やっていることは古い自民党の政治家そのものである。
政策目標の第一に「自民党が生まれ変わる」を掲げたが、最大の問題である裏金問題、統一教会問題の解明や解決策が何も示されていない。それどころか推薦人の半数を占める安倍派議員に配慮し、「処分を受けた方も一人一人は優秀だ。挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい。」役職を外されたことについても「やりすぎてしまうと現場が回らなくなってしまう。」 処遇を改善すべきだと、自民党改革の肝になる部分を否定する始末、改革など頭の片隅にも無い事をうかがわせる。
派閥解消が謳い文句だが派閥の典型と言われる二階派に長年席を置き、しかも総裁選出馬に当たっては二階に挨拶に行くなど底が割れている。派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を巡る岸田、二階の責任に関し、「総裁選に不出馬」「次期衆院選に不出馬」との決断をもって、政治的な責任を果たされたと受け止めていると「事なかれ主義」「長いものには巻かれろ」の自民党的発言に終始している。
政治資金パーテイーによる資金集めも活発で、閣外に去った後9月、11月、12月とハイペースでパーティーを開催、この1年計6回のパーティーで総額4407万2500円を搔き集め、金のかからない選挙など何処吹く風の感じが伺える。改革派は世を欺く仮の姿、真逆の人間という印象が強い。兎に角若さを売り物にしたいらしいが、若さで自民党の悪弊に切り込むという姿勢皆無、寧ろ自民党的色彩濃厚な人物そのものの印象である。
それでは、世間はどの議員に「次の自民党総裁になってほしい」と思っているのだろうか? 雑誌・女性自身が20代~70代の男女500人を対象にアンケートを行った。 まず第3位に選ばれたのは小泉進次郎議員(43)である。父親は87~89代総理の小泉純一郎氏、4世代に亙る世襲政治家である。神奈川11区に強力地盤を持ち、当選回数は5回、第27・28代環境大臣を務めた経験もある。政治家の平均年齢の高さが問題視されるなか、 “若さ”に期待する人が多く、《若い議員に今までにない新しい視点で政治を行ってほしい》《若い感性で政治をして欲しい》との声が寄せられた。 また、《誠実そうだから》《一番誠実感があり行動が伴いそうだから》《自民党の悪しきところを、改善できそうな人だから》と人柄に注目する声が。父・純一郎氏の支持者からは《今の派閥政治では国民生活は良くならない。政治をぶっこわす父・純一郎氏の息子に期待したいです》という声も寄せられた。しかし過去のㇲキャンダラスな行動からこの人物が「誠実」とはどこを見て言っているのだろうか、トランプ信奉者を馬鹿には出来ないという思いが強い。実行力が有りそうというのも目立つが、発信力と実行力は別物。親父を真ねて発信に切れ味はあるが、2期の環境大臣でも大きな業績は無いどころか、石炭火力発電からの脱却遅延を突かれ、COP25 で国際環境NGOから「化石賞」を充てられている。裏金問題等自民党改革についても目立った発言が無く期待薄である。
続いて、第2位に選ばれたのは高市早苗経済安全保障担当相(63)だ。何故この人物が2位なのか、女性総理に対する期待感と推測されるが、器で無い者に大きな物を求めても所詮無理な話、突出した右寄り発言や靖国参拝を欠かさぬ事で、安倍や日本会議の応援を得て今の地位を得ているだけの人物。安倍の後継者の声が強いが、日本は一日も早く安倍の影から脱却する事が求められており、総理候補など論外である。
そして、第1位に選ばれたのは石破茂議員(67)、当選回数12回、防衛大臣や農林水産大臣、幹事長といった重職を務めてきた。’21年の第49回衆議院議員総選挙では、全国最多の得票率・84.1%を獲得したこともある。世間からの人気は高いようで、人柄について《誠実かつまじめ》《声を荒げることなく温厚なイメージで、かといって頼りない感じがしないから一度やってみてほしい》と評価する声が。また石破議員は自民党幹事長時代の’13年5月、当時自由民主党政調会長だった高市大臣が「村山談話に違和感を覚える」と発言したことについて「誤解を招く発言は厳に慎んでもらいたい」と苦言、靖国参拝にも否定的な事もあって保守派の反感が強い。麻生内閣退陣を直言し、また安倍内閣を批判し続けた為、孤立感を深めている。党内の人間への批判も辞さない姿勢から、《どの派閥にも影響を受けない。野党連合と共闘してもよい》《あれだけ自民党を批判しているから改革を実行してくれるのではと思う》《自民党を根本から変えてくれそうだから》と期待を寄せる声も上がっている。さらに《党内では人気はないが、国民には人気があるので国民の意見を聞いてくれそう》《党内の支持や評価は低いと聞いているが、普段のコメントも好意的に受け止められ、国民全体の支持も高く、総理になってもらいたい政治家と思うから》《国民にとって一番まともな発言をしているから》との声が上がり、国民に寄り添った視点を持っていることが支持されている。次期総理としては石破氏か林・現官房長官に期待したい。