追憶の彼方。

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日本の民主主義…(9)マスメデデイアと特捜検察

2016年11月16日 | 文化・文明
マスメデイアと特捜検察の問題

最後に小沢裁判事件に触れ日本の民主主義の締め括りとしたい。
この事件こそ既得権益を必死で守り抜くために、自民党の走狗となり果てた卑しい者達(特捜検察やマスメデイア)と日本に国民主権を何とか根付かせようとする者を識別する多くの判断材料を国民の目に晒す結果となった。

小沢氏が主導し一度は政権与党となった民主党マニフェストの骨子とは
①特別会計の廃止、②独立行政法人など外郭団体の統廃合、③天下りによる官僚OBの不労所得の禁止、④米国による内政干渉の排除、⑤クロスオーナシップ(新聞社によるテレビ局経営)の禁止と電波オークション制度の導入、⑥企業団体献金の廃止(「政党評価表」による外資支配の排除)、⑦消費税引上げ禁止、⑧最低賃金法の導入と非正規労働の規制強化、が中心で、これら政策の本質とは米国,日本の支配体制の既得権益の破壊につながるものばかりであった。
彼等は民主党など剛腕小沢を排除しさえすればあとは無能・ひ弱な素人集団、何れ行き詰まるとの読みで猛烈な小沢攻撃が始まった。
政権交代直前の西松建設事件捜査で小沢は民主党代表を辞任し、政権交代を実現した直後には陸山会事件捜査幹事長を辞任、そして民主党代表選のさなかの検察審査会の強制起訴議決刑事被告人となった。
当時一連の捜査指揮を執った吉田特捜副部長は「これは検察対小沢の全面戦争だ」と檄を飛ばし、朝日を筆頭に大手の新聞、テレビも揃って「正義の検察」を礼賛し検察有利のリーク報道を繰返し小沢潰しに狂奔し異様な様相を呈した。
オランダ人政治学者ウオルフレン氏は霞が関・検察・マスメデイアと言う利権複合体が体制にとって脅威である小沢氏の人物像を破壊して政治的に抹殺しようとする「人物破壊」そのものだと指摘している。
案の定、菅・野田政権は既得権益集団の攻撃に恐れをなし権力構造の改革など放り投げたのは勿論官僚の下僕となって消費税増税に突っ走り、「政治・経済・社会の変革」に大きな期待を抱いた国民の夢を木っ端微塵に打ち砕いて自民党に政権を譲り渡す結果となった。
官僚・司法・マスメデイアの利権複合体の狙いは小沢の有罪・無罪は関係がない。体制変革の芽をつぶす、その為には変革の推進役である小沢氏の政治的人物破壊が出来ればよかったのである。
事実西松建設事件、陸山会事件、検察審査会強制起訴そのいずれもが検察とそのお先棒を担いだマスメデイアのねつ造に近い物であった。

小沢裁判事件の発端は西松建設事件である。
小沢氏の公設第一秘書大久保が西松建設からの寄付を報告する収支報告書の虚偽記載の疑い(政治資金規正法違反)で逮捕・起訴された。その内容は実質的には西松建設からの寄付なのにダミーである政治団体(検察の一方的認定)からの寄付と偽って記載したのは虚偽だとして起訴したものである。
しかし政治家の殆どは同様の記載をしており、所管の総務省もこの記載方法を認めて来た経緯もあったので、もし検察の言うように記載していたら逆に虚偽記載とされるような問題である。
この取るに足らぬ事件で小沢氏は党首を辞任、民主党圧勝後の小沢首相の芽が消えることになった。
ところで、この西松建設事件はその後どうなったか。
この裁判は、2009年11月に第1回公判が開かれ、第2回公判では、検察側要請の証人が西松建設の2つの政治団体はダミーではなく実態のある団体であることを証言した。検察側はそれらの政治団体はダミーであることを前提に起訴しているので立証の根拠が崩れたことを意味する。 検察は窮地に追い込まれた。そこで検察がやったことは、陸山会の別の事件「陸山会土地購入事件」を取り上げ、小沢事務所の元秘書大久保隆規、石川知裕、池田光智の3氏を逮捕し他の事件にすり替える為時間稼ぎをやったのである。違法まがいの訴因変更を行って西松建設事件をうやむやにする作戦に出たわけである。
注目すべきは、大久保被告の公判(西松建設事件)を担当していた裁判官が、陸山会事件の公判を担当している登石郁朗裁判長であることである。
無罪必至の裁判をスケジュール通りにやって、もし本当に無罪判決が出ると、世間からあの逮捕は何だったのか、小沢潰しが目的の政治謀略ではないかと一斉に非難を浴びる結果になり、検察として権威が保てなくなる。先送りしてしまえば、いくら無罪必至の裁判でも無罪判決が出るまでは無罪ではなくメデイアが取り上げなければ何れ国民の頭から消え去ることを読んでのことだと思われる。
 
次は陸山会事件である。
陸山会事件とは、2004年10月に代金決済が行われ、2005年1月に移転登記が行われた、小沢一郎氏の政治資金管理団体=陸山会による世田谷不動産に関する政治資金収支報告書への記載について、東京地検特捜部がその違法性を提示した事案である。
検察は、「①2004年分の収支として報告すべきだった。 ②陸山会が不動産取得費として受けた銀行融資の実行に際して、銀行側に指し入れた4億円の定期預金の原資について、これを陸山会の収支報告書に記載すべきだった。」と主張し、これを理由に「虚偽記載」の疑いで石川・大久保・池田の秘書3名を起訴した。
しかし、会計学の権威である大学教授は2005年の収支として報告したことについて、これを「適正である」と法廷で証言した。
また、融資を受けるために銀行に差し入れた4億円の定期預金は、陸山会自身の収支ではなく、単なる小沢氏からの「預り金」であることから、これを収支報告書に記載する必要はないというのが、収支報告書記載の一般的考え方である。
百歩譲って検察の主張を取り入れるとしても、適正処理としては、収支報告書の修正で済ませれば十分な事案であり、このことを刑事事件として検察が立件したこと自体、異常というほかない。
捜査段階の供述調書の多くは脅迫・利益誘導によるもので任意性がないと不採用となるなどこの事件の異常性が至る所に見られる。その中には虚偽の捜査報告書が特捜部長はじめ多くの検察官合意の上で作成されていたことも判明している。
石川秘書が検察の再聴取の際にICレコーダーを持ち込み録音をしていたが、その際に実際にはなかったやり取りが捜査報告書に記載されていた。更に、小沢氏が共謀罪で検察審査会に於いて強制起訴相当議決を受けたがその議決を行った東京第5検察審査会へ提出された捜査報告書では、田代政弘検事が作成した報告書について当時の東京地検特捜部長・佐久間達哉が記載部分にアンダーラインを引いたり、供述内容を書き加えたりされていたことが報道された。

この虚偽の捜査報告書が一般市民で構成される検察審査会に提出され小沢の起訴議決の判断材料に繋がったものであり、弁護側は強制起訴の無効を主張したが、東京地方裁判所は2012年4月26日の小沢への判決で「検察審査会に提出された証拠は裁判の中で証拠能力がないと否定すれば済む話で」強制起訴自体は有効とした。しかし、この判決の中で、「検察官が、公判において証人となる可能性の高い重要な人物に対し、任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取調状況について事実に反する内容の捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである」「本件の審理経過等に照らせば、本件においては事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因の究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである」と、検察を厳しく批判した。
田代検事は「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」から虚偽有印公文書作成・行使と偽証の容疑で2012年1月12日に告発された。さらに同会は、2012年6月27日に陸山会事件の捜査に関わった佐久間、木村匡良、大鶴基成、齋藤隆博、吉田正喜、堺徹の各検事を検察審査会に対する偽計業務妨害や虚偽有印公文書作成・行使、犯人隠避などで告発した。最高検察庁は2012年5月までに「記憶が混同した」と繰り返す田代の証言を全面採用、また当時の上司らも「虚偽とは知らなかった」と説明したことを理由に、不起訴とする方針を採用した。
2012年6月27日、田代に嫌疑不十分の不起訴処分とした上で減給処分、他の検察幹部に嫌疑なしの不起訴処分とした上で戒告処分が出た。田代は同日に辞職した。さらに監督責任を問われた当時の東京地方検察庁検事正・岩村修二検事が厳重注意処分を、当時の東京地方検察庁特捜部長の佐久間が、戒告の懲戒処分を受け有耶無耶の内に収束を図ろうとした。

虚偽捜査報告書について当時の法務大臣・小川敏夫が、「検察が田代個人の記憶違いとして幕引きを図っているのはおかしい」として、再調査指示の指揮権発動を当時の内閣総理大臣・野田佳彦に相談したが認められなかった。小川はインタビューで、この件を理由に法務大臣を解任された旨をほのめかしている。
無能な野田は消費税増税に反対した小沢の復権と利権集団の報復を恐れて幕引きを図ったのである。
陸山会事件に絡んで利権集団が行った不合理な動きを追記して終わりとしたい。
* 陸山会事件の4億円の中に西松建設社長による違法献金5千万円が含まれていたという検察の見立てである。全く根拠のない検察のリーク情報に飛びついた新聞のあたかも一大疑獄事件の如く、小沢「悪」のキャンペーンが毎日メデイヤを賑わした。しかし検察の情報源は獄中にいた西松建設の社長によるもので同社会長や社長運転手の証言等時間的に全く辻褄の合わない証言であり、社長本人も誰に渡したか顔を覚えていないという始末。検察の主張が正しければ先ず贈賄側を逮捕することから始めねばならないが、一切手を付けていない。結局は小沢氏の人間破壊の為のイメージ戦略に過ぎなかったことが明白である。
それでも裁判所は「…と考えられる。 …とは到底考えられない。 …はずがない。…としか考えられない。 …と推認される。」等々矛盾だらけ、自白・物証皆無のこの事件を登石裁判長は推認だけで有罪としてしまった。この判事は将来出世し天下り等甘い生活が保障されているのだろうか。
誰かが「5千万円を先生に渡した」と言えば相手の政治家は検察と裁判所の思うままになってしまう。痴漢裁判と何ら変わらない。
* 西松建設事件の虚偽記載に関連し、検事総長と大学の同級生・漆間自民党官房副長官が「自民党に捜査の手は及ばない」との発言が発覚し大問題となった。自民党には記載ミスどころか長期政権与党として汚職の疑いが山ほどあったと言われており検察が自称する「不偏不党、厳正公平な公益代表者」は何処にも見られない。
* 西松建設事件に関し民主党が開設した第3者委員会でロッキード事件で名を馳せた元検察官堀田力は「法律論がどうのこうのではなく、小沢代表は民主党にとってふさわしくない、速やかに辞任するべきだ。」堀田はこういう発言をするときは必ず多くの国民がそう考えていると逃げを打つ。(国民の声とは当に検察リークによるメデイアの報道である。)
* 佐藤栄佐久・福島県知事、国が推進する福島の原子力発電のプルサーマル計画に反対していたが、その佐藤知事にダム工事発注に伴う収賄疑惑が浮上し、5期目の任期半ばで辞職に追い込まれ逮捕・起訴された。利益ゼロの収賄と言う世にも奇妙な罪名で有罪判決を受けたが
当時の特捜担当検事は「知事は日本にとってよろしくない。いずれ抹殺する」と述べたと言われる。
この二人の検察官の発言こそ「我こそが正義・法であり、国民の上に君臨し差配する者である」と言う驕りを象徴するものである。
憲法より公権力が優先し、その為には冤罪もやむを得ないと言うのが根底にある。
一介の公僕・公務員に過ぎない人間が多数の国民が選んだ党首や知事に対し堂々とこのような発言を行う。法の番人を自称する官僚が民主主義のイロハも知らないのが日本の現実である。

又厚生省冤罪事件に関し朝日新聞は当時「村木局長は容疑を否認しているが障碍者を守るべき立場の幹部が違法な金儲けに加担した疑いをもたれてしまった事実は重い。」との社説を載せている。つまり朝日は社の意見として冤罪であっても検察に疑いをもたれたら反省しろという見解を堂々と発表した。検察応援団の面目躍如である。

抜本的な司法改革とメデイア改革、記者クラブの解体が叫ばれる所以である。






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