新本編リメイク「ミカエルの仮面と盗聴?」
しばらくして、
あおむが、
「あの仮面が無線の転送機代わりなんだすかな」
と言い出すと、
「俺にはそういう難しいことはわからない。
ただ、
普通の盗聴器は何百メートルも電波が届かないだろうから、
そういう電波を再転送できる機械があるならば、
ミカエルの仮面がそういう役目をしているのかもしれないな」
と、
エイタが言う。
「それか、
この辺には建物がまったくないから、
遠距離に届く電波発信器のようなものを使っているだけで、
ミカエルの仮面は、
そのオトリか、
ただの受信機みたいなものかもしれないな」
と、
いつきが言うと、
「だすが、
僕らの声がミカエルに聞こえないと意味ないだすよ」
「たしかに、
それはそうだが、うーん?」
あおむの言葉にエイタが首を捻ると、
木太郎が何か気づいたように、
「でも、
俺たちが木を無視して歩いたら盗聴器も役に立たないじゃないか?
それからな。
俺、今、気づいたんだけど、
俺たちが前に屋敷の地下から偽の露店風呂に出たことがあったよな。
でも、
今まで、通ったところにそんなものはなかったぞ。
もしかしたら、
ミカエルは俺たちが逃走しようとしているところとは、
反対側、
つまり、屋敷の裏の方にいるんじゃないのか?」
木太郎が思いつきでそう言うと、
「木太郎さん、
それなら、さっさと逃走した方がいいじゃないだすか」
と、
あおむが言ったとき、
いつのまにか、
いつきが落とし穴がないかだけを確認しながら前進しており、
木の下のミカエルの仮面を取ろうとしていたのだった。
(続く)