セリフサービス「制限時間」
老人は店にかかっていた時計に視線を向け、
今の時間を確認した後、
「ああ、
私はもう時間ですから、
お先に失礼させていただきますよ」
そう言って、
ペコペコと何度も頭を下げると、
見た目とはまったく違う素早さで、
どこかに走って行ってしまった。
その姿を見て、
直哉も龍之介も、
何故かおかしく思えたが、
それが罠かもしれないと思い、
笑いをこらえながら、
焼肉を食べるフリを続けていた。
そして、
しばらくすると、
今度は、
モデルのような女が、
老人と同じように、
店の時計を確認した後、
直哉と龍之介に近づき、
「はい、
私もここまでよ。
二人ともがんばってね!」
二人の耳元でそっと笑顔で声をかけると、
どこかに行ってしまった。
直哉も龍之介も、
その見た目以上にキレイな声を聞いて、
その女の方を見たい
と思ったが、
ちら見して、
笛吹女に笛を吹かれるかもしれない
と思ったので、
それを我慢し、
肉を食べるフリを続けたのだった。
(つづく)
ドア女「ドア女Ⅶ」c
「キミカって子ももネネもオンシラ高校の元ミスで、
みはるもひさめも4人共同じ高校で、
その二人も元準ミスだったんだってさあ。
しかも、
殺したのが同じ高校出身の東大生。
さらに、
その場にいたのも同じ高校出身だって」
「怖くねえ」
「で、ここだけの話しだけど、
現場にいた男5人と今の5人が例のカミサンの研究で一緒に合宿していてさあ」
「なんだよ。
それと関係あるんじゃないの」
「うーん」
「教えろよ」
「やっぱりやめとこ」
新本編リメイク「もうひとりのミカエルの正体と木太郎」
木太郎といつきは、倒れているミカエルの仮面を被っている人物のそばに寄り
二人でその人物を仰向けにした。
そして、
木太郎は、
「ふー...」
とため息をついた後、
「俺にこいつの仮面をはずさせてくれ」
と鼻をひくひくさせながら言ったので、 いつきは、
「ああ、こいつを倒したのは木太郎だからな」
と、
木太郎がどうやってあんな小さな像で倒れている人物を倒したかまだわかっていない、
いつきはそう言って頷いた。
「サンキュー!
じゃあ、仮面を取るぞ!」
(続く)