われわれ人間は、60兆個の体細胞で構成され、うち20兆個は赤血球…という話は前回お話ししたが、実はわれわれを含めた多細胞生物は細胞だけで構成されているワケではなく、細胞と細胞の間に、繊維状や網目状の構造体が存在していて、細胞の隙間を満たしている。これが「細胞外マトリックス」だ。
主成分は美容健康系サプリや化粧品で有名なコラーゲンやヒアルロン酸、コンドロイチンなど。コラーゲンは真皮(表皮の下の皮膚組織)や靭帯(じんたい)、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質。だから「シワができたり、足腰の関節が痛んだら、コラーゲンを摂取しよう」と言って化粧品やサプリにしたがるのも当然だ。
ただ、コラーゲンは体内に存在するすべてのタンパク質の約30%を占めるほどメジャーな物質なので、少しくらい飲んだり肌に塗ったりしても、特定の場所で効果を発揮するのは困難、というのが医学界では定説らしい。
細胞外マトリックスは脳内から爪先まで、細胞があるところにくまなく存在しているが、近年の研究で驚異の実用性があるのではと期待されている。それは「切断した指に細胞外マトリックスの粉を振り掛けたら指が生えて元に戻った!」というもので、細胞外マトリックスには、痛んだ組織を再生するための指示を周辺の細胞や血液に与える能力があるらしい(詳細は「魔法の粉 細胞外マトリックス」で検索)。
アメリカでは既に臨床段階で、動物には実用化しているとのこと。驚異の再生医療革命が起こるか?
■司法書士法人新宿事務所代表ニッポン放送「阿部亮のNGO世界一周!」メーンパーソナリティー