保育園児だった頃、娘のミキは怖がりだった。虫や蛇はもちろん受け付けないし、幽霊やお化けの話を聞くだけで、夢に出てきてしまうのだから。
鎌倉の大仏を見て大泣きしたところを見ると、秋田のなまはげだったら気絶したかもしれない。
だから、ミキにとって節分は大嫌いな行事だった。
「イヤだなぁ、今日は節分だから、鬼が保育園に来るんだよ」
朝食をとりながら、ミキがうんざりした表情でつぶやいた。どうやら、毎年保育士の一人が鬼に扮し、豆まきをすることになっているらしい。
実は、鬼の正体が保育士だとわからないところが子供だ。
「じゃあ、頑張ってやっつけないとね」
私は励ますつもりで言ったのだが、余計だったようだ。
夕方、ミキを園まで迎えに行き、豆まきの話を聞いた。
「鬼が怖かったから、みんなで豆をぶつけたんだけど、すぐになくなっちゃったの」
あらかじめ渡されていた豆は少なくて、鬼を退治する前に尽きてしまった。
大変! 鬼をやっつけなくっちゃ!!
ミキは恐怖から逃れようと必死だったせいか、いつもより頭の回転がよかった。
あっ、石があるじゃん!
豆じゃなくても鬼退治はできる。ミキはやおら足元の石を拾い、鬼にぶつけてみた。鬼は痛がっているようだった。
その様子を見ていた他の園児たちも、次々と石を拾い、鬼めがけて投げつけた。豆よりも大きな威力を発揮し、鬼は体をよじってもがいている。もう少しでやっつけられそうだ。ミキは俄然元気になった。
「砂! 砂もかけちゃえー!!」
石と砂の総攻撃を受け、鬼の面が吹っ飛んだ。面の下の顔を見たとたん、園児たちはビックリ仰天し、すぐさま攻撃をやめた。
「鬼だと思ったら、理香先生だったんだよ。ミキは知らなかったから、いっぱい石をぶつけちゃった」
ミキの報告に、私は心底げんなりした。
まったく、何てことをしてくれたんだ……。
翌朝、私は連絡帳にお詫びの言葉を書いた。
「昨日は、ミキが鬼役の理香先生に石をぶつけたそうで、大変申し訳ありませんでした」
鬼は、ミキのほうだった……。
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鎌倉の大仏を見て大泣きしたところを見ると、秋田のなまはげだったら気絶したかもしれない。
だから、ミキにとって節分は大嫌いな行事だった。
「イヤだなぁ、今日は節分だから、鬼が保育園に来るんだよ」
朝食をとりながら、ミキがうんざりした表情でつぶやいた。どうやら、毎年保育士の一人が鬼に扮し、豆まきをすることになっているらしい。
実は、鬼の正体が保育士だとわからないところが子供だ。
「じゃあ、頑張ってやっつけないとね」
私は励ますつもりで言ったのだが、余計だったようだ。
夕方、ミキを園まで迎えに行き、豆まきの話を聞いた。
「鬼が怖かったから、みんなで豆をぶつけたんだけど、すぐになくなっちゃったの」
あらかじめ渡されていた豆は少なくて、鬼を退治する前に尽きてしまった。
大変! 鬼をやっつけなくっちゃ!!
ミキは恐怖から逃れようと必死だったせいか、いつもより頭の回転がよかった。
あっ、石があるじゃん!
豆じゃなくても鬼退治はできる。ミキはやおら足元の石を拾い、鬼にぶつけてみた。鬼は痛がっているようだった。
その様子を見ていた他の園児たちも、次々と石を拾い、鬼めがけて投げつけた。豆よりも大きな威力を発揮し、鬼は体をよじってもがいている。もう少しでやっつけられそうだ。ミキは俄然元気になった。
「砂! 砂もかけちゃえー!!」
石と砂の総攻撃を受け、鬼の面が吹っ飛んだ。面の下の顔を見たとたん、園児たちはビックリ仰天し、すぐさま攻撃をやめた。
「鬼だと思ったら、理香先生だったんだよ。ミキは知らなかったから、いっぱい石をぶつけちゃった」
ミキの報告に、私は心底げんなりした。
まったく、何てことをしてくれたんだ……。
翌朝、私は連絡帳にお詫びの言葉を書いた。
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鬼は、ミキのほうだった……。
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たくさん『福』が来ますように
いつもはトロいミキが、臨機応変に別の武器を見つけるとは思いませんでした。
おかげで、母は肩身の狭い思いをしましたが。
「福」は欲しいですね。ついでに「服」も(笑)
従姉妹なので少なからず遺伝子の繋がっているミキとわが娘…。鬼は各教室を回るとの事なので石はないだろうが、そんな感じで娘がブロックやその他遊び道具をぶつけたとしたて、仮面がとれた鬼が自分の父親だと分かったら一体どうなるだろうか。陰から見てみたいものだ。
各教室を先回りして、さりげなくブロックを置くつもりでしょ~!!
鍋やヤカンなんかもいいかもよ
てか、見ているだけじゃ物足りなくて、園児と一緒になって、鬼にものをぶつけていそうな気が…。
くわばら、くわばら
幼いお子さんの前で鬼役になる方は、ヘルメットと防弾チョッキを着ないと…。
ちなみに私は、
国語の授業「泣いた赤おに」で、
子どもたちを泣かせるのが好きでした。(教員時代)
もちろん、怖がらせてでなく、悲しませて
ですよん。*
…私もオニかしらん?(微笑)
大人が思いもよらないことを平気でしたりするし、それがまた容赦ないのよ~
それにしても、娘ちゃん、鬼の正体を知ったときは驚いたでしょうね
先生たちも、鬼役はやりたくなくて、「ホントにイヤなんです…」と嘆いていました。
教員でいらしたんですね。
編み物だけでなく、読み聞かせなどもうまそうな気がします。
むっちゃん、娘はいまだに「あのときはビックリした」と言うことがあるので、相当の衝撃だったようです。
母としては、「早く気づけよ!」って感じなんですけれども。
かわいそうな先生でした…。
鬼は外~福は内…で、鬼が外に逃げて行けば石や砂を投げられずに済むんじゃ…
子供達って手加減を知らないからね 先生も大変だわ 笑
先生も大変だな(笑)
でも、怖いものに反撃するなんて強いね
うちの子は、花火観て泣いたな
至近距離だったから(笑)
徹底的に退治しようとした娘さんに拍手!!!