4年前の2月、私はエッセイ集を出版した。
自分の書いた作品が本になり、店頭に並ぶという体験はエキサイティングである。流通する部数とは別に、著者への献本も100冊もらったため、つい調子に乗って、知人や友人に送り届けた。
たいていの場合、近況報告も兼ねて手紙がくる。しかし、遠方に住む友人の一人は、手紙と一緒に現金を送ってきた。どうやら、本代らしい。
しかし、私にしてみれば、喜ぶどころか、大きな心の負担になった。
どっどーしよーっ! 売りつけるつもりじゃなかったのに……。
所詮は、アマチュアの道楽を満足させる自費出版なのだから、儲けようとは思っていない。
しかも、頼まれてもいないものを勝手に送りつけて、友人からお金をとる結果になるなど、言語道断である。私は封筒の1500円を前に、しばらく悩んでしまった。
もし、送り返したら、角が立つことは間違いない。「感じ悪~い」と嫌われ、人間関係にヒビが入りそうな気がする。だからといって、このままもらいっぱなしというのも気が引ける。
そうだ、お礼の品を送ればいいんだ!!
早速デパートへ走り、本代相当のお菓子を買った。宅配便で彼女の家まで送ったところで、私の気持ちはようやく軽くなった。
でも、実のところ、今度は彼女の気が重くなったのではないだろうか。
タダより高いものはない、とはよくいったものだ。
以来、「ファンです」と言ってくださる方にも、本をプレゼントするのが怖くなった。
相手の住所を聞いておいて、自分の住所を書かずに送ったときは、「フェアじゃないかな?」と気が引ける。かといって、「お代は結構です」などと書き添えたら、かえって支払いを催促するような文になる。
私はただ、「ありがとう、読んでみるね」と言ってもらうだけで満足なのに……。
仕事でも、似たようなことがあった。
私が勤める高校では、生徒が地域の方にパソコンを教えている。授業の一環として実施しているので、もちろん無料だ。受講生は、近隣に住む高齢者の方が多い。
高齢者にとって、マンツーマンで孫と同じ世代の子供に教わることは、とても楽しいらしい。毎回休まずやって来て、笑顔でおしゃべりしながら、生き生きとキーボードを叩いている。
受講期間は半年ほどなのだが、生徒は受講生に教えることで、「人の役に立つ喜び」や「相手の身になって考える大切さ」を知り、勉強になったと言っていた。それだけで十分なのに、操作を教わったお年寄りには、「それでは気がすまない」と感じた方もいる。
後日、受講生の方が学校に手紙を送ってきた。あて名が講師役の男子生徒だったので、手紙を渡したところ、困った顔で相談に来た。
「先生、パソコン教室の人がお金を送ってきたんですけど、どうしたらいいですか?」
見ると、封筒の中には3000円が入っている。私は「ギャッ」と叫びたくなった。
住所はわかっているし、近所だから、直接自宅まで返しに行った。だが、お年寄りのガッカリした顔を見たとき、せっかくの好意を踏みにじってしまったのだと、大変後味の悪い思いをした。本当にまいった。
「受講料1時間10円」などとすることができたら、お互い面倒がなくてよいのだが。
先日行われたインターンシップでも、頑張ってくれたお礼にと、生徒に金品を渡した事業所があるようだ。これまた、返還しなくてはならない。
またまた頭が痛い……。
「よかったわね、もらっちゃいなさい!」と言えたら、どんなに気が楽になることか……。
ああ、不良教師になりたいものだ。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
自分の書いた作品が本になり、店頭に並ぶという体験はエキサイティングである。流通する部数とは別に、著者への献本も100冊もらったため、つい調子に乗って、知人や友人に送り届けた。
たいていの場合、近況報告も兼ねて手紙がくる。しかし、遠方に住む友人の一人は、手紙と一緒に現金を送ってきた。どうやら、本代らしい。
しかし、私にしてみれば、喜ぶどころか、大きな心の負担になった。
どっどーしよーっ! 売りつけるつもりじゃなかったのに……。
所詮は、アマチュアの道楽を満足させる自費出版なのだから、儲けようとは思っていない。
しかも、頼まれてもいないものを勝手に送りつけて、友人からお金をとる結果になるなど、言語道断である。私は封筒の1500円を前に、しばらく悩んでしまった。
もし、送り返したら、角が立つことは間違いない。「感じ悪~い」と嫌われ、人間関係にヒビが入りそうな気がする。だからといって、このままもらいっぱなしというのも気が引ける。
そうだ、お礼の品を送ればいいんだ!!
早速デパートへ走り、本代相当のお菓子を買った。宅配便で彼女の家まで送ったところで、私の気持ちはようやく軽くなった。
でも、実のところ、今度は彼女の気が重くなったのではないだろうか。
タダより高いものはない、とはよくいったものだ。
以来、「ファンです」と言ってくださる方にも、本をプレゼントするのが怖くなった。
相手の住所を聞いておいて、自分の住所を書かずに送ったときは、「フェアじゃないかな?」と気が引ける。かといって、「お代は結構です」などと書き添えたら、かえって支払いを催促するような文になる。
私はただ、「ありがとう、読んでみるね」と言ってもらうだけで満足なのに……。
仕事でも、似たようなことがあった。
私が勤める高校では、生徒が地域の方にパソコンを教えている。授業の一環として実施しているので、もちろん無料だ。受講生は、近隣に住む高齢者の方が多い。
高齢者にとって、マンツーマンで孫と同じ世代の子供に教わることは、とても楽しいらしい。毎回休まずやって来て、笑顔でおしゃべりしながら、生き生きとキーボードを叩いている。
受講期間は半年ほどなのだが、生徒は受講生に教えることで、「人の役に立つ喜び」や「相手の身になって考える大切さ」を知り、勉強になったと言っていた。それだけで十分なのに、操作を教わったお年寄りには、「それでは気がすまない」と感じた方もいる。
後日、受講生の方が学校に手紙を送ってきた。あて名が講師役の男子生徒だったので、手紙を渡したところ、困った顔で相談に来た。
「先生、パソコン教室の人がお金を送ってきたんですけど、どうしたらいいですか?」
見ると、封筒の中には3000円が入っている。私は「ギャッ」と叫びたくなった。
住所はわかっているし、近所だから、直接自宅まで返しに行った。だが、お年寄りのガッカリした顔を見たとき、せっかくの好意を踏みにじってしまったのだと、大変後味の悪い思いをした。本当にまいった。
「受講料1時間10円」などとすることができたら、お互い面倒がなくてよいのだが。
先日行われたインターンシップでも、頑張ってくれたお礼にと、生徒に金品を渡した事業所があるようだ。これまた、返還しなくてはならない。
またまた頭が痛い……。
「よかったわね、もらっちゃいなさい!」と言えたら、どんなに気が楽になることか……。
ああ、不良教師になりたいものだ。
楽しんでいただけましたか? クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
どちらにも通った論理があるのに、
うまい着地点が見出せないのは
複雑ですね。
塾講師時代、誕生日に
生徒からケーキをもらいました。
黙って受け取りましたw
モテモテ塾講師だったんですね♪
さては可愛い女の子がくれたんでしょう~
ケーキだったら許容範囲でしょうね。
あっ、バレンタインデーのチョコレートももらったんじゃないですか?(笑)
物ならまだしも、現金はまずいです。
たとえ1円でも…。
明らかに、チョコやケーキのほうが高価ですが。
ただ、残念な事に蕎麦を待つ時間が短いんだわ!だからあまり読めないかも…
あっ、そっかぁ!続きを読みに来てくれてるかも(笑)だいぶ手垢がついてきてますので、良かったら第二段を期待したいのですが…
もちろんただでお願いします(笑)
それから、なぜかこたつの上に…まだ誰か読んでるのかも…(笑)
たぶん、旦那の悪口みたいな事書いてるから共感してるヤツが読んでるんだろうと思う…!あっ、ついでにかたずけ下手ってのも…(爆)
最初はほんの代金をお支払いしようとおもったんですが、なんせなまえが書いてない。住所もない。
なので素直に頂ました。。(笑い)
練馬でお会いして初めて名前を知ったもんでね。
確かにこれは難しい問題ですね。
でも、頂いた方もなんとかお礼をしたいけどできないはがゆかしさもありますからね~。
やはり、今まで同様、いやそれ以上の面白いエッセイを書き続ける事が一番ですね。
第二弾もできるんですよね~?
確か出版社が決まったって去年の夏に言ってませんでしたっけ?
待ってますよ!
高瀬一夫で検索してください
住所くらいはわかります
よろしくお願いいたします
いつも癒されています感謝
千城台の古狸
自費出版なんて凄いですね
やっぱ、金品は受け取れないのですか
某政治家みたいに4億円くらい集めたら
東京地検がくるかもよ(笑)
私のエッセイも短編だから大丈夫でしょ。
暇つぶしの友っていうのもいいですね。
第二弾は……。
体力が続かないから無理だわぁ。
出版した気になって、株でも買うか。
コタツの上とはありがたき幸せ~!
夏になっても、ゴキちゃんを叩くのには使わないようにね(笑)
わかります!
もらったほうも重くなるんですよね。
自分の基準に照らし合わせて「これは困る」と感じるんでしょうね。
お菓子だったら、抵抗せずに受け取ると思います(笑)
純さんは、ご自分の日記でたくさんPRしてくださり、ありがたかったです!
出版社の話は、最初の会社が倒産したため、同じ本を別の会社にお願いしました。
第二弾は今のところ考えていませんが、リクエストがあればそのうち…。
じゃあ、お送りしますね。
今、殺人的に忙しいので、来週以降になりますが、気長にお待ちください♪
本を作る工程は長かったです。
ページ数やスタイルを決め、掲載作品を選び、2校までしました。
カットも自分で描きましたし、表紙の写真も私が撮影したんです(笑)
手作りだと苦労した分、完成の喜びが大きいですね。
実母から14億もらうほうがいいわぁ~~♪
って、ウチの母はそんなにもっていないけど(笑)
お金の問題は難しいですよ。
たとえば、生徒から集めたお金で問題集を買います。
払っていない子の分まで買うと、「横領」にあたるそうです。
受け取った分を不正に支出したことになるもので…。
人様のお金は扱いに困ります。