連日の混雑ぶりから、「行くのやめようかな」と諦めかけていた「怖い絵展」であるが、ホームページを見たら11/16より時間延長で、毎日20時まで開館するとわかった。
「へー、仕事が終わってからでも間に合うじゃん」
待ち時間はツイッターにアクセスすればわかる。平日は比較的空いていて、17時以降は30分待ち、19時になると待ち時間なしになるらしい。しかし、水曜日は例外らしく、全体的に待ち時間が長目だし、19時頃でも30分待ちなどと書かれている。
なんで? ひとまず、水曜は避けて月曜にした。
「ミキは5限があるから、6時半過ぎちゃう」
「じゃあ、6時40分に公園口ね」
「オーケー」
時間通りに娘と落ち合い、上野の森美術館に着いたのは18時45分であった。チケットを買い、ロッカーに荷物を入れているうちに、行列が途切れた。思わず、表情が明るくなる。
「ラッキー! 待たなくてすんだじゃん」
「でも、展示室内は大変混雑しておりますって書いてある」
たしかに混んではいるのだが、伊藤若冲展の1/3くらいである。背の高い人なら、人垣の上から鑑賞できるだろうし、私のようなチビでも、最前列の流れに入れればじっくり見られる。ただし、列の進みが遅いため、どうでもいい絵はスルーしないと、あっという間に20時になってしまう。時間配分が大切だ。
「お母さん、あの人、白線の中に入っているよ」
この展示は、10代20代の若者が多いと聞く。美術鑑賞するのは結構なことだが、マナーの悪さが気になった。絵に触れそうな位置に指を差したり、やたらと顔を近づけたりするのはよろしくない。係員に注意されても、聞こえているのかいないのか、無反応なのが不思議だ。
この展示を見る前に、解説本を買って正解だった。
事前に予習しておけば、「この絵、見たいな」と興味がわいてくるものだ。
表紙にもなっている、展示の目玉「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は言うまでもない。この他に「ソロモンの判決」という絵に惹かれた。
ソロモンというのは、古代イスラエルの最盛期を築いた賢者であり、中央右の玉座に座っている。この王の元に、2人の娼婦がやってきた。子どもが2人いるが、1人は死んで床に横たわり、もう1人は元気に生きている。娼婦たちはどちらも、生きている子どもが自分の子で、死んだ子どもは彼女の子と言い張った。もちろん、どちらかが嘘をついている。でも、どちらが?
さすがのソロモン、涼しい顔をして「生きている子を2つに斬り、半分ずつ与えなさい」と命じたのである。中央で剣を持つ男が、今まさに赤子を縦2つに斬らんと、大きく剣を振りかぶった。
左の娼婦は、斬られた子どもを半分もらおうと、笑みを浮かべて布の準備をしているが、背を向けた娼婦は違う。必死の形相で王にすがり、「彼女にあげてもいいから殺さないで!」と叫んだ。絵は、この瞬間を描いている。ソロモンは、「殺さないで」とすがった女こそ本当の母親だと見抜き、右手を上げて刑吏を止めた。子は無事、本当の母親の元へ返されたという。
なんか、いい話だ。
「ミキはね、飽食のセイレーンっていうのが好きだな」
娘が気に入ったのはこれだった。セイレーンが強くてカッコよく見えるのだという。ついでに、こうつけ加えた。
「ベッキーに似てない?」
……あ、似ています。
でも、ベッキーが聞いたら、気を悪くするかもしれないよ。
小さい絵は飛ばして、大きい絵だけを見たのに、出口についたときはちょうど20時になるところだった。
展示室内やミュージアムショップには、まだたくさんの人が残っている。
スタッフの方々は、何時になったら帰れるのかと、気の毒に思った。
……お疲れさまです。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「へー、仕事が終わってからでも間に合うじゃん」
待ち時間はツイッターにアクセスすればわかる。平日は比較的空いていて、17時以降は30分待ち、19時になると待ち時間なしになるらしい。しかし、水曜日は例外らしく、全体的に待ち時間が長目だし、19時頃でも30分待ちなどと書かれている。
なんで? ひとまず、水曜は避けて月曜にした。
「ミキは5限があるから、6時半過ぎちゃう」
「じゃあ、6時40分に公園口ね」
「オーケー」
時間通りに娘と落ち合い、上野の森美術館に着いたのは18時45分であった。チケットを買い、ロッカーに荷物を入れているうちに、行列が途切れた。思わず、表情が明るくなる。
「ラッキー! 待たなくてすんだじゃん」
「でも、展示室内は大変混雑しておりますって書いてある」
たしかに混んではいるのだが、伊藤若冲展の1/3くらいである。背の高い人なら、人垣の上から鑑賞できるだろうし、私のようなチビでも、最前列の流れに入れればじっくり見られる。ただし、列の進みが遅いため、どうでもいい絵はスルーしないと、あっという間に20時になってしまう。時間配分が大切だ。
「お母さん、あの人、白線の中に入っているよ」
この展示は、10代20代の若者が多いと聞く。美術鑑賞するのは結構なことだが、マナーの悪さが気になった。絵に触れそうな位置に指を差したり、やたらと顔を近づけたりするのはよろしくない。係員に注意されても、聞こえているのかいないのか、無反応なのが不思議だ。
この展示を見る前に、解説本を買って正解だった。
事前に予習しておけば、「この絵、見たいな」と興味がわいてくるものだ。
表紙にもなっている、展示の目玉「レディ・ジェーン・グレイの処刑」は言うまでもない。この他に「ソロモンの判決」という絵に惹かれた。
ソロモンというのは、古代イスラエルの最盛期を築いた賢者であり、中央右の玉座に座っている。この王の元に、2人の娼婦がやってきた。子どもが2人いるが、1人は死んで床に横たわり、もう1人は元気に生きている。娼婦たちはどちらも、生きている子どもが自分の子で、死んだ子どもは彼女の子と言い張った。もちろん、どちらかが嘘をついている。でも、どちらが?
さすがのソロモン、涼しい顔をして「生きている子を2つに斬り、半分ずつ与えなさい」と命じたのである。中央で剣を持つ男が、今まさに赤子を縦2つに斬らんと、大きく剣を振りかぶった。
左の娼婦は、斬られた子どもを半分もらおうと、笑みを浮かべて布の準備をしているが、背を向けた娼婦は違う。必死の形相で王にすがり、「彼女にあげてもいいから殺さないで!」と叫んだ。絵は、この瞬間を描いている。ソロモンは、「殺さないで」とすがった女こそ本当の母親だと見抜き、右手を上げて刑吏を止めた。子は無事、本当の母親の元へ返されたという。
なんか、いい話だ。
「ミキはね、飽食のセイレーンっていうのが好きだな」
娘が気に入ったのはこれだった。セイレーンが強くてカッコよく見えるのだという。ついでに、こうつけ加えた。
「ベッキーに似てない?」
……あ、似ています。
でも、ベッキーが聞いたら、気を悪くするかもしれないよ。
小さい絵は飛ばして、大きい絵だけを見たのに、出口についたときはちょうど20時になるところだった。
展示室内やミュージアムショップには、まだたくさんの人が残っている。
スタッフの方々は、何時になったら帰れるのかと、気の毒に思った。
……お疲れさまです。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
並ばずに入れたのは凄くツイテましたね。私はなぜかソロモンの判決だけは絵もその内容も知っていました。なぜかな~?解説本は先に読み込んでいたら実際に見た時に解りやすく正解ですね。
ソロモンの絵はそういう逸話があるのですね。描かれた物語を知ってみると面白いですね。
こちらは、手を引っ張り合い、子どもが痛がって泣いたら
手を離した方が本当の母親、というものでした。
予習していくとはさすが。時間を有効に使って見れますね。
・・・まさにベッキー!
母の愛情を測るものさしとして有名なのかもしれませんね。
半分ください、はないでしょう(笑)
下卑た笑いを浮かべ、いやらしい表情です。
後姿だけでも、必死に懇願している様子がわかります。
プロの画力はすごいと思います。
もし、開館延長がなかったら、解説本だけで終わっていたかもしれません。
17日までですから、この先はもっと混雑するかも。
中はすごいことになっていましたが、寒い屋外で並ばずにすんでよかったです。
仕掛け人が上手だったのでしょうね。
兵庫での成功談が人気を後押ししたのかしら。
さて、遊んでばかりいないで、大掃除にも取りかからなくちゃ。
よく似ていて驚きました(笑)
この画家の作品はもうひとつありました。
そちらもベッキーでしたね。
こういう顔が好きなのかな。
絵のサブタイトルは「大岡裁き」でした。
ブログには書きませんでしたが、ご存じの方は多いようです。
母の愛情は深くて大きいのだと、胸が温まります。
大岡越前の大ファンでしたので、あのストーリーは何回も再放送を見ている気がします。
西洋画は特に、背景にある歴史や宗教がわかると、より魅力的になるような気がします。
博学のママと一緒に本物を見続けているお嬢さんの将来が楽しみですね。
私は大岡越前を見たことがなくて。
西洋にも東洋にも、公平な目を持つ人はいるようです。
それにしても、2つに斬らせるあたりは血なまぐさい……。
宗教もさることながら、そういう時代なんですね。
娘は一応美術好きに育ってくれました。
方向性は違いますけど。