ベストセラー小説『ビブリア古書堂の事件手帖』では、文中に何冊もの本が紹介されている。図書館の先生から、そのうちの何冊かを読んでみないかと勧められた。
「これが『クラクラ日記』です。でも、ちょっと重いかなぁ。こっちの『せどり男爵数奇譚』のほうが読みやすいですよ。どうですか」
「じゃあ、『クラクラ日記』を借ります」
借りたはいいが、ビジネス誌を年間購読したこともあり、今年は文芸書を読む時間が減った。1冊終わるまでに1~2週間かかる。返却期限を考えて、1冊ないし2冊しか借りないようにしている。
こちらの図書館は2週間後が返却期限だが、先生の方針でかなり大らかだ。
「ちょっとくらい過ぎても構いませんよ。でも、返してくれない人もいるので、個別に催促することはあります」
自分の本ではないから、余計に神経を使うのだそうだ。
娘のミキが学童クラブに通っていたとき、移動図書館から電話がかかってきたことがある。
「ミキさんが借りた『はらぺこあおむし』という本が未返却です。大至急お返しください」
隔週木曜日に、移動図書館が学童クラブにやってくる。子どもたちはそこで本を借り、2週間後に返すというサイクルで読書を楽しんでいた。しかし、返しそびれた本があるらしい。
「ああ、その本はね、ルリちゃんが借りたの。ルリちゃん、カードを忘れちゃったから、ミキのカードを貸してあげたんだよ」
「えっ、ルリちゃん? ダメだよ、あの子に貸しちゃ」
「だって~」
「図書館の人は、ミキが返さないと思っているんだよ」
ルリちゃんという女の子は、とかく問題の多い子だ。勉強道具は忘れるし、時間は守れないし、ルール通りに行動できない。ときどきかんしゃくを起こし、友達を殴る蹴るなどの暴力をふるうものだから、親としては関わり合いになりたくなかった。
困ったことに、母親に電話をしてもつながったためしがない。固定電話はなく、携帯電話の呼び出し音が虚しく繰り返されるだけ。折り返し電話もなく、『はらぺこあおむし』が戻るとは思えなかった。苦肉の策で、学童の先生にも事情を話してみた。運よく、何か進展があったらしく、その後の督促はない。
『クラクラ日記』を返してからしばらく経ち、図書館の先生が話しかけてきた。
「あのう、『せどり男爵数奇譚』を借りたいという人がいるものですから、そろそろ返してもらえますか?」
私は何度も瞬きして答えた。
「えっ、お借りしてませんよね?」
「あら、そうだったかしら。貸出簿に書いてあるんだけど……」
「勧められたけれど、断った記憶があります」
「えー、じゃあ誰が持っているのかしら」
「一応、もう一度確認してみますね」
そうは言ったものの、借りていないのだからあるはずがない。職場の机からは見つからず、自宅の書棚にも見当たらない。だが、出窓におかしなものがあった。
持ってた~!!!!
どうも、借りますかと勧められたときに頷いたらしいが、まったく記憶がないところが哀しい。まっさかさまにダイビングしたくらい落ち込んだ。もう一冊のタイトルよろしく、しばらく頭がクラクラしていた。
ああ、ショック……。
翌日、平謝りで本を返した。
「ルリちゃんが私のカードを使って……」と言い訳すればよかったかしら?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「これが『クラクラ日記』です。でも、ちょっと重いかなぁ。こっちの『せどり男爵数奇譚』のほうが読みやすいですよ。どうですか」
「じゃあ、『クラクラ日記』を借ります」
借りたはいいが、ビジネス誌を年間購読したこともあり、今年は文芸書を読む時間が減った。1冊終わるまでに1~2週間かかる。返却期限を考えて、1冊ないし2冊しか借りないようにしている。
こちらの図書館は2週間後が返却期限だが、先生の方針でかなり大らかだ。
「ちょっとくらい過ぎても構いませんよ。でも、返してくれない人もいるので、個別に催促することはあります」
自分の本ではないから、余計に神経を使うのだそうだ。
娘のミキが学童クラブに通っていたとき、移動図書館から電話がかかってきたことがある。
「ミキさんが借りた『はらぺこあおむし』という本が未返却です。大至急お返しください」
隔週木曜日に、移動図書館が学童クラブにやってくる。子どもたちはそこで本を借り、2週間後に返すというサイクルで読書を楽しんでいた。しかし、返しそびれた本があるらしい。
「ああ、その本はね、ルリちゃんが借りたの。ルリちゃん、カードを忘れちゃったから、ミキのカードを貸してあげたんだよ」
「えっ、ルリちゃん? ダメだよ、あの子に貸しちゃ」
「だって~」
「図書館の人は、ミキが返さないと思っているんだよ」
ルリちゃんという女の子は、とかく問題の多い子だ。勉強道具は忘れるし、時間は守れないし、ルール通りに行動できない。ときどきかんしゃくを起こし、友達を殴る蹴るなどの暴力をふるうものだから、親としては関わり合いになりたくなかった。
困ったことに、母親に電話をしてもつながったためしがない。固定電話はなく、携帯電話の呼び出し音が虚しく繰り返されるだけ。折り返し電話もなく、『はらぺこあおむし』が戻るとは思えなかった。苦肉の策で、学童の先生にも事情を話してみた。運よく、何か進展があったらしく、その後の督促はない。
『クラクラ日記』を返してからしばらく経ち、図書館の先生が話しかけてきた。
「あのう、『せどり男爵数奇譚』を借りたいという人がいるものですから、そろそろ返してもらえますか?」
私は何度も瞬きして答えた。
「えっ、お借りしてませんよね?」
「あら、そうだったかしら。貸出簿に書いてあるんだけど……」
「勧められたけれど、断った記憶があります」
「えー、じゃあ誰が持っているのかしら」
「一応、もう一度確認してみますね」
そうは言ったものの、借りていないのだからあるはずがない。職場の机からは見つからず、自宅の書棚にも見当たらない。だが、出窓におかしなものがあった。
持ってた~!!!!
どうも、借りますかと勧められたときに頷いたらしいが、まったく記憶がないところが哀しい。まっさかさまにダイビングしたくらい落ち込んだ。もう一冊のタイトルよろしく、しばらく頭がクラクラしていた。
ああ、ショック……。
翌日、平謝りで本を返した。
「ルリちゃんが私のカードを使って……」と言い訳すればよかったかしら?
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
わたしよりずっとお若いのに。
忙しすぎませんか?
『クラクラ日記』も『せどり男爵数奇譚』も『ビブリア古書堂の事件手帖』で見てから、私も読んでみたいなと思っている本です。
仕事を辞めて、ついでに引っ越しがあり、本を大量に処分しました。
それまで本って捨てられなかったから。
でも図書館は新刊本はまわってくるまでに時間かかるからね…
短時間でも集中できて頭が回転できた時は
とっても気分がいいものです
仕事の合間に書く自分のブログも
集中できたら日に5作も6作もまとめ書きできます
そんな時は本も読めるのですが、集中力皆無状態だと読めません
つくづくムラのある人生のような気がします A^^);
本当に大丈夫? って自分でも思います(笑)
キツネにつままれたような感じ。
結局、せどり男爵は読まずに返す破目になりましたよ。
クラクラ日記は半分までしか読めませんでした。
内容が暗いし、表現が単調。
飽きてしまいました。
せどり男爵は結構面白いみたいです。
恥をしのんで、また借りようかと(笑)
一日に書く作品数は、せいぜい3編でしょうね。
それ以上は書いたことがありません。
集中できても、出来が悪いとガッカリします。
会心の作ができると天狗になります(笑)
本は隙間時間に読んでいます。
一気に読めれば感動も大きいんでしょうが…。
女房などを見ていると、ベストセラーなどは読んだということにより満足感が得られるのでしょうね。
私は滅多に借りないので、借りるときはその都度図書カードを更新しているような・・・
見たいものは手元に置いて返したくないので結局買ってしまいます。
知り合いにルリちゃんがいたならたくさん借りられるのに~
以前はコメントありがとうございました。
私は、仕事をしていないので、時間だけは
たっぷりあります。
図書館に行って、10冊本を借りてきますが、
大体1週間で読み終えます。
ベストセラーは読みません(買うお金がないので(*^_^*)
10冊借りると、なかには「はずれ」の本もありますが、
そんなときはさーっと流し読みをします。
気に入った本は読書メモをとります。
本がなければ生きていけない!!
それでは、応援します。
そうそう、ベストセラーは旬の味覚を味わうためでもあるんですよ。
話題の本を読めば、自己満足にもつながるし。
それで、その本が面白ければ、もう言うことはないですね。
読むものがないときは、本屋で何かを買います。
なぜかハズレばかり(笑)
何でかな~??
大変な読書家でいらっしゃるんですね。
時間はあっても、活字を追うことが好きじゃないと、本は読めません。
読書メモも素晴らしい!
かなりの冊数になっているのではないでしょうか。
私は一度も書いたことがありません。
自分の財産になるとわかっていても、習慣になっていないもので…。
応援ありがとうございました。
ブログチェックとドラマ視聴で通勤は終わっちゃうんで…。やっぱ読書の時間は持ちたいですわ。
さて、ブログチェックは終わりにして、ドラマ視聴に移ろっと…。
通勤時間を有効に活用していますね。
私は読書くらいにしか使えません。
ドラマ視聴はスゴいですよ。
ハイテク時代のなせる技ですな。
他に活用できる時間はないものか…。
お風呂の時間も読書しています。