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ワニと読むミステリ(フラテイの暗号)
![]() | フラテイの暗号 (創元推理文庫) |
ヴィクトル・アルナル・インゴウルフソン | |
東京創元社 |
![]() | The Flatey Enigma |
Viktor Arnar Ingolfsson | |
AmazonCrossing |
読むと、事件は集約します。
(ヴィクトル・アルナル・インゴウルフソン著)
1960年。西アイスランドの無人島では、春の始まりはその土地の野生生物たちに新たな生命をもたらすものです。しかし、3人のアザラシ猟の猟師たちに発見された死体には春は訪れないでしょう。発見された死体はデンマーク人の教授で、失踪して数カ月がたっていました。その後の調査で彼と“フラテイの書”と呼ばれる中世の手書きの書物との間に不思議なつながりがあるのがわかりました。
まもなくしてもう一つの死体が発見されます。古いヴァイキングの伝統にのっとって、犠牲者の背中はいわゆる血のワシの形に切り開かれています。
地区長代理のキャルタンは事件調査のために派遣されましたが、しだいに自身の心の闇に引きずり込まれてしまいます。古代からの伝説、記号論や秘密結社の存在、それらキャルタンにとっては忘れたい過去がフラテイ島の犯罪につながっているように見えます。
キャルタンがこの謎を解明するまで本を置くことはできないでしょう。
アイスランドのミステリは初めて読みました。このごろ北欧のミステリがだんだんと出版されていますね。いろいろな国のミステリが読めるのは大歓迎です。
事件に深くかかわる“フラテイの書”ですが、これは実際に存在する書物だそうです。中世以来長い間デンマークの所有するものでしたが、1971年にもう一つの貴重な羊皮紙写本『エッダの詩』とともにデンマークより返還され、今はアウルニ・マグヌソン・アイスランド文化研究所のコレクションになり、ユネスコの世界文化遺産に登録されているそうです。その豪華な写本というのを一度見てみたいですね。
事件はアイスランドに点々とするの小さな島の一つで起こります。島民たちの生活が事件の調査とともに静かに語られていくのですが、そこに都会からやってきた新聞記者がさざ波を起こし、秘められた過去が現在によみがえってくるのですが、静かに淡々と語られていく島の生活が読んでいるうちにじーっと引き込まれてします。
不思議な魅力を持った作品です。
主人公: エトリザグリムル・エイナルソン(フラテイ教会の会衆代表)
キャルタン(地区長の代理)
場所: アイスランド、フラテイ島
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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