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ワニと読むミステリ(絵画鑑定家)

読むと、なにごとも注意深く考えましょう。
 
(マルティン・ズーター著)
 心理スリラーというのでもっと怖い話かと恐れていたのですが、ユーモアもあって楽しく読めました。
 アドリアンは名門の生まれで、特に働く必要はないのですが、絵画の鑑定家として仕事をしてます。育ちが良すぎて、芸術家たちや友人からの要求を断ることができません。いろいろな名目で小切手を切らされるのですが、まるでアドリアンの方からそうさせてくれと頼んでいるような錯覚に陥るほどの控えめな人物です。
 アドリアンの人柄がよいので、つい応援したくなります。
 絵画の真贋について語られたりして、美術界の裏側を覗き見る楽しみもありますね。
 アドリアンはバーでロレーナという奔放な女性と知り合ったころから平穏だった生活にさざ波が立つようになります。アドリアンが彼女にぞっこんなのを見抜いてそれを利用しようとする輩が現れ、また両親の友人であったコレクターからは家の宝としていた名画をオークションにかけることを頼まれますが、なんとなく腑に落ちないものを感じ。
 このままアドリアンは罠にかかってしまうのかと、ハラハラしどうしです。
 わがままな芸術家や才能のないプロデューサー、詐欺師などさまざまな人物が登場しますが、いずれも個性的に描かれていて、その人の顔がみえるようです。特にアドリアンの家政婦が好きですね。もうすぐ80歳になるそうですが、まだ現役で家内を取り仕切っています。
 陰謀がたくさんですが、さわやかな読み心地です。

 ■スイスつながり
 スイスが舞台のミステリはあまり読んでないです。
 マディ・ハンターの
   死んでもいきたいアルプス旅行
 くらいですね。これは爆笑ものです。続きがでるかと思っていたのですが、なかなか出ませんね。エティエン・ミケーリ警部との付き合いが深まっているのかどうか、気になるところです。

主人公: アドリアン・ヴァインフェルト(美術品鑑定家)
場所:  スイス
グルメ: なし
動物:  なし
ユーモア: 中

絵画鑑定家 (ランダムハウス講談社文庫)
マルティン ズーター
武田ランダムハウスジャパン

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