ラオス人民民主共和国大使館
特命全権大使フォンサムット・アンラワン 閣下
北朝鮮当局による人権侵害問題に対する改善努力のお願い
時下、貴国並びに貴職におかれましては益々御清栄のこととお喜び申し上げます。合わせて、貴職が、貴国と我が国との友好発展に日夜御尽力いただいておりますことに深く感謝申し上げます。
さて、令和5(2023)年11月23日、北朝鮮が日本列島上空を通過する形で、弾道ミサイル技術を使用した「人工衛星」と称するミサイル発射を強行しました。度重なる弾道ミサイルの発射とその技術を利用した人工衛星の発射は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、一歩間違えば大惨事を招きかねないものであることから断じて容認できません。加えて、これら一連のミサイル発射は、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務付けるなどの国連安保理決議及び平成14年9月17日の日朝平壌宣言に明確に違反しており、この点についても我々は厳重に抗議し、強く非難するものです。
参考までに、この弾道ミサイルを1回発射する費用は、アメリカのシンクタンク「ランド研究所」の上級防衛アナリスト、ブルース・ベネット氏の調査として、短距離ミサイルで300万ドル(約3億6000万円)、長距離ミサイルで1000万ドル(約12億円)にのぼるとの試算です。「北朝鮮で家族4人が1日3食を食べ、衣食住に困らない生活をするためには、毎月1万2000円ほどあれば十分」と言われていることから、北朝鮮人民の生活と人権を犠牲にした弾道ミサイル発射であり、今後において弾道ミサイル発射が続く限りはいかなる形の支援であっても容認することができません。
残念ながら、ここ数年間、北朝鮮の人権状況は全く改善されておらず、北朝鮮国民は北朝鮮政権の権力維持手段として動員されています。北朝鮮内では、移動の自由だけでなく思想の自由までが取り締まられており、住民尋問の過程で殴打、固定姿勢維持など多様な拷問が行われ、特に公開処刑も多数行われるなど、人間として最小限に保障されなければならない権利が過酷に弾圧されているのが現状です。
さらには、北朝鮮における人権侵害から自由を求めようとする脱北民も本人の意思に反して北朝鮮に強制送還され拷問、かつ残忍で非人道的または屈辱的な待遇と処罰、その他深刻な人権侵害を受けており、国連人権理事会が指摘した「人道に対する罪」は何ら改善されていません。
しかしながら、北朝鮮当局が自国民の生計を全く顧みることなく、国内外で強制労働を課すという人権侵害を通じて得た資金により、核兵器及びミサイル開発に財源を転用し続けたとしても、それにより北朝鮮の金正恩体制が持続できるという保証は何もないばかりか、北朝鮮人民の生活と人権が守られる保証もありません。以上のことから、金正恩体制持続の執念に駆られて弾道ミサイルを頻繁に発射することを即刻止め、弾道ミサイル発射にかける費用を国民生活と基本的人権を保障するため、換言すれば、北朝鮮の自由化の実現を目指すことの方が、遥かに北朝鮮国民が幸せになる近道だと私たちは進言します。
折しも、本年12月4日~10日までは「世界人権週間」として世界中で人権尊重に関する様々な取組が行われました。続いて、わが国では、12月10日~16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」として、日本人拉致問題をはじめ北朝鮮における様々な人権侵害問題の解決を目指し官民挙げて活動を展開しているところです。独裁者と一部の人間だけが贅沢をするために大多数の国民の生活と人権が蹂躙されている北朝鮮は、世界中から非難され、糾弾されて然るべきであると私たちは考えます。
最後に、北朝鮮国内の人権状況を改善して自由化を実現するための根本的な力は、真実に基づいた情報の拡散だと思います。そのために、貴国と日本は、国際社会の一員として北朝鮮の真実に背を向けることなく、北朝鮮国民の人権状況改善につながるよう、北朝鮮人権状況の実態、日本人拉致問題等の人権人道問題、及び脱北者強制送還問題など、北朝鮮の種々の犯罪行為改善に対し、貴国並びに貴職の格別なる御高配を賜りたいと存じます。末筆ながら、来る2024年が貴国並びに貴職にとりまして実り多き一年となりますよう心から御祈念申し上げます。
2023(令和5)年12月15日
「北朝鮮人権人道ネットワーク」
【役 員】
代 表 陶久 敏郎 (救う会徳島代表)
副代表 加藤 博 (北朝鮮難民救援基金理事長)
理 事 佐伯 浩明 (在日帰国者の生命と人権を守る会代表)
事務局長 川添 友幸 (救う会神奈川代表)
監 事 松尾 和幸 (博多ブルーリボンの会会長)
会 計 賀上 文代 (特定失踪者・賀上大助氏の母)
【アドバイザー】(順不同)
須田 洋平(弁護士)、川島 高峰(明治大学准教授)、山田 文明(在日帰国者の生権を守る会名誉代表)、宮塚 寿美子 (国学院大学栃木短大非常勤講師)、井上 卓弥 (ジャーナリスト、「満州難民」著者)、宮塚 利雄(宮塚コリア研究所代表)、眞鍋 貞樹(拓殖大学教授)、安藤 哲夫(救う会宮城代表)
【連絡先】
1.代表者 陶久敏郎 〒779-1403 徳島県阿南市****℡:090-****-****
2.事務局長 川添友幸 〒251-0032 神奈川県藤沢市**℡:090-****-****
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