三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「拉致被害者救出活動を回顧する」

2022-12-22 10:06:26 | 日記
「拉致被害者救出活動を回顧する」
 
 令和4年も残すところあと僅か、“一刻の猶予もない”と叫び続けながら、今年もまた何の前進もなく終わろうとしている。ただ、高齢化が進むのは拉致被害者の家族だけでなく、特定失踪者、日本人妻、残留日本人、遺骨・墓地関係者の家族も同じことであり、時間の経過は無常にも皆に公平である。その意味で、北朝鮮における日本人の人道人権問題は、拉致問題だけが解決すればあとはどうでも良いという訳にはいかない。
 救う会全国協議会ニュースによると、2022年3月の運動方針には“「全拉致被害者の即時一括帰国」こそが、絶対に譲れない私たちの要求である”と表現され、2019年2月に決まった運動方針は現在まで引き継がれている。しかし、別の角度から見れば、運動方針は一向に進展しない現状に対する焦りから硬直化・先鋭化してきており、“国家犯罪である拉致問題と他の人道問題を同じに扱うことに強く反対し、拉致被害者救出の最優先を訴え続ける(2022活動方針)”との主張が見て取れる。政府の現行方針であるストックホルム合意による解決も否定していることから、このまま行けば国内の救出活動において家族会・救う会が孤立する可能性を否定できない。
 なぜなら、前述の“国家犯罪である拉致問題と他の人道問題を同じに扱うことに強く反対し、拉致被害者救出の最優先を訴え続ける”との彼らの主張を多くの国民が支持しているとは思えない。北朝鮮に囚われている同じ日本人の命や人権に優先順位をつけることを多くの国民は本当に支持しているのか、彼らの主張は独善的であると私は捉えている。
 現在、北朝鮮における人道人権問題の解決を目指して活動する団体・個人は我が国に複数存在しており、可能な範囲で連携を進めている。本年12月10・11日に神戸市で開催された「北朝鮮人権映画祭」、それから同月15日に北朝鮮の人権問題に関わる各国の団体・個人が安保理加盟国に北朝鮮の人権問題を公開討論にかけるよう求める共同書簡を送るなどの活動を実例として挙げたい。加えて、北朝鮮人民に対する人権侵害を解決する手段として北朝鮮の自由化を求める声は国の内外で確実に広がりを見せている。
 その一方、昨今の北朝鮮による弾道ミサイル発射を直視すれば、家族会・救う会が主張する「全拉致被害者の即時一括帰国」の実現は難しいと多くの国民は内心思っているのではないだろうか。こうした現下の情勢を鑑みれば、これまでの主張に来年以降も頑迷に固執することが本当に最良の選択なのか、冷静に検討すべきときと私は思う。
 そのためには、北朝鮮における様々な人権問題に取り組む団体・個人と交流を深めながら、日本にとって最良の選択はどれなのかを幅広い議論を通して選択することが肝要である。自分たちの主張がすべて受け入れられなくても合意点を見出していく、その器量が今こそ求められていると、拉致被害者最優先論者の方々にご進言申し上げたい。

令和4(2022)年12月22日
救う会徳島 代表 陶久敏郎

最新の画像もっと見る

コメントを投稿