三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

再掲:「外交交渉により道を拓け」

2024-06-16 07:42:22 | 日記

「外交交渉により道を拓け」 

 私が厚生労働省に情報公開請求をして交付を受けた平成26年3月25日の「閣議後記者会見想定」(対厚生労働大臣)と題する行政文書によれば、日朝赤十字間の協議を経て、日朝両国政府関係者を交えた協議が行われ、その席で「拉致問題や日本人遺骨問題を含め日本人に係る問題や安全保障に係る問題を日本側から提起し、北朝鮮側はこれらの問題に協力していくこととした。(平成24年11月15日・16日)」と記されている。

 平成26年5月の日朝ストックホルム合意に至るまでの間、日朝赤十字間及び日朝両国政府間で複数回協議が行われていた事実を知ると、こうした外交努力の積み重ねこそが現在の閉塞した日朝関係を打破する鍵になると思うところだ。この文書にあるとおり、北朝鮮における日本人遺骨問題については日朝間の外交問題との共通認識があることから、まずは日本人遺骨問題を起点として日朝協議を積み重ね、外交ルートにより拉致問題をはじめとするすべての日本人の問題解決に繋げていくべきと提言したい。

 それとは別に、国内には「親の世代が存命のうちに「全拉致被害者の即時一括帰国」を実現せよ、拉致問題最優先」と、拉致問題解決を目指す人々の一部が数年来主張している。その心情は深く理解できるものの、同じように北朝鮮において不幸な人生を余儀なくされている残留日本人や日本人妻、そして北朝鮮の土に眠る日本人戦没者たち同胞とその家族親族に対して、なぜ、故横田滋氏のように連帯と共感をもって接することができないのかと疑問でならない。 

 拉致被害者やその家族なら、愛する家族が北朝鮮に囚われ、長い間会うことも抱きしめることができないでいる無念や苦痛を共に分かち合い、同じ目線、同じ立場で共に手を携え全ての日本人の救出を目指すことができるはずだ。「拉致問題最優先」と声高に主張することは、日本人の命と人権に優先順位があるのは当然だと主張しているのと変わらない。

 どれだけ「全拉致被害者の即時一括帰国」と叫び続けても、拉致問題は日朝平壌宣言から一向に前進していない。実現困難な理想論を掲げて停滞するよりも、これまでの日朝赤十字間及び日朝両国政府間での協議実績を踏まえ、日本人遺骨問題を起点として日本人に係る問題や安全保障に係る問題を日本側から繰り返し提起していくなかで、外交交渉により公平な問題解決を目指すべきではないのか。一刻の猶予がないのは拉致問題に限らない、同じ立場の同胞と協力し合うことで開ける道があると私は信じている。

令和5(2023)年11月3日

情報公開により全ての拉致被害者を取り戻す会

会長 陶久敏郎