「拉致問題と言論の自由」
古今東西、あらゆる組織・集団において時の権力者を支持する言論、そしてヨイショする言論の自由は存在してきた。しかし、その反対に時の権力者に反論し批判することは、香港や北朝鮮の例を持ち出すまでもなく現在においても厳しい弾圧や制裁を伴っている。
そればかりではなく、憲法において言論の自由が保障されている我が国においても、形態は異なるものの、その組織や集団の権力者や方針を批判しようものなら除名や左遷といった報復が待ち構えている。換言すれば、言論の自由とは反論する自由だといっても良い。
拉致問題に関して言えば、金正恩一族が支配する現在の北朝鮮において、金正恩体制の継続と同時に北朝鮮人民に言論の自由を保障する国家になれるのかという問題がある。拉致問題の真実を求めるために、これまで金一族が嘘で塗り固めてきた事実と称される事柄を質していくにはどうすれば良いのか。真実を語ると命を失うのであれば、北朝鮮人民の誰も拉致問題について本当のことを語らないのが当たり前だ。拉致問題の解決を求めるうえで、北朝鮮において体制を批判し真実を語っても命と身分が保証される、つまり北朝鮮の自由化が欠かせない。
一方、我が国においてはどうか。これまで拉致被害者救出活動の中心的存在である家族会・救う会の言動や方針を批判すれば、“家族会を責めてはいけない”とか“救う会を批判してはいけない”とかいう類の意見が多数寄せられ、家族会・救う会と違う意見や方針を表明するだけで批判され排除されてきた歴史がある。そのタブー視されてきた歴史の中で拉致問題は解決のために前進してきたかといえば逆で、“一刻の猶予もない”という現状維持がずっと続いている。
我が国は古来より言霊の国で、いまでも自分と違う意見を述べる人を自分の人格を批判する人だと勘違いするケースが横行してしまうことから、批判をタブー視することや異論を唱える人を排除するといったことが頻繁に起こる。要は、異論を唱える人の節度と、異論を受け入れる側の度量の問題である。感情的になり異論とそれを唱える人を排除しようとする、その狭量な態度が我が国において拉致問題解決に関する議論の進展を妨げている。
来月9月17日で日朝平壌宣言から20年になる。一刻の猶予もないというなら、胸襟を開いて多くの意見を聞き、議論をしながら拉致問題解決に向けた新たな活動方針を目指すべきと考える。今秋、拉致問題解決に関する様々な意見を議論する場が設営され、節度を保った意見交換が対等の立場で展開されることを期待している。
令和4(2022)年8月24日
救う会徳島 代表 陶久敏郎
古今東西、あらゆる組織・集団において時の権力者を支持する言論、そしてヨイショする言論の自由は存在してきた。しかし、その反対に時の権力者に反論し批判することは、香港や北朝鮮の例を持ち出すまでもなく現在においても厳しい弾圧や制裁を伴っている。
そればかりではなく、憲法において言論の自由が保障されている我が国においても、形態は異なるものの、その組織や集団の権力者や方針を批判しようものなら除名や左遷といった報復が待ち構えている。換言すれば、言論の自由とは反論する自由だといっても良い。
拉致問題に関して言えば、金正恩一族が支配する現在の北朝鮮において、金正恩体制の継続と同時に北朝鮮人民に言論の自由を保障する国家になれるのかという問題がある。拉致問題の真実を求めるために、これまで金一族が嘘で塗り固めてきた事実と称される事柄を質していくにはどうすれば良いのか。真実を語ると命を失うのであれば、北朝鮮人民の誰も拉致問題について本当のことを語らないのが当たり前だ。拉致問題の解決を求めるうえで、北朝鮮において体制を批判し真実を語っても命と身分が保証される、つまり北朝鮮の自由化が欠かせない。
一方、我が国においてはどうか。これまで拉致被害者救出活動の中心的存在である家族会・救う会の言動や方針を批判すれば、“家族会を責めてはいけない”とか“救う会を批判してはいけない”とかいう類の意見が多数寄せられ、家族会・救う会と違う意見や方針を表明するだけで批判され排除されてきた歴史がある。そのタブー視されてきた歴史の中で拉致問題は解決のために前進してきたかといえば逆で、“一刻の猶予もない”という現状維持がずっと続いている。
我が国は古来より言霊の国で、いまでも自分と違う意見を述べる人を自分の人格を批判する人だと勘違いするケースが横行してしまうことから、批判をタブー視することや異論を唱える人を排除するといったことが頻繁に起こる。要は、異論を唱える人の節度と、異論を受け入れる側の度量の問題である。感情的になり異論とそれを唱える人を排除しようとする、その狭量な態度が我が国において拉致問題解決に関する議論の進展を妨げている。
来月9月17日で日朝平壌宣言から20年になる。一刻の猶予もないというなら、胸襟を開いて多くの意見を聞き、議論をしながら拉致問題解決に向けた新たな活動方針を目指すべきと考える。今秋、拉致問題解決に関する様々な意見を議論する場が設営され、節度を保った意見交換が対等の立場で展開されることを期待している。
令和4(2022)年8月24日
救う会徳島 代表 陶久敏郎