先日、ワインショップでその名もズバリ、「ミッシェル・ド・モンテーニュ」を発見。造られたのが20世紀で17年モノですが、千円台のテーブルワイン。メルロー主体でカベルネ・ソーヴィニヨンなどのブレンドで、味のほうは予想通りの「それなり」(^益^)w
そうは思っていたけれど、この名前を出されたら買わずにはいられない。フランスを代表する作家、「ミッシェル・ド・モンテーニュ」ですからねェ。ふか~い思い入れがあるのです~。
思索や本が好きで、個人主義者(仕事嫌いでもいいのだが)であるならば、誰もが一度は憧れる生活、それは監獄生活(しかも独房)、もしくは長期入院生活(肉体的苦痛は考慮に入れてません)ではないだろうか。そんな世の中と隔絶した生活が実現したときのこと。
それは英国のとある大学の学生寮でした。小さいベッドと壁にくっついた板だけの机の他は、歩く場所もないような狭さでした。訪れた友人は「独房か蜂の巣だ」と言っていました。望むところだったのです。入学式の二週間前に英国生活は始まりました。毎日本を読みノートをとること以外、することはないのです。あとは監獄よりひどいであろう食事に、一日で計一時間ぐらい費やすことぐらいでしょうか。朝はビスケット、昼にはよくサンドイッチ(英国人の定番)やフライドチキンなどを買いましたが、胸焼けをして食べきれず、残りが夕食になることもしばしばでした。しかし精神的には開放感に浸っていました。
部屋に目覚まし時計はなく、アラーム音から解放されました。携帯電話も持たないので、電子音と離れて暮らしているわけです。したがって毎朝の目覚めは自然な、まるで小さな泡がポッとはじけるような始まりでした。睡眠で中断されても、その前後はずっと同じ時間が過ぎてゆくのです。時計を見ない。何事にも追い立てられることはない。気遣いがない!睡眠時間はだんだんずれてゆきました。明け方までの読書、それが昼までになり、またさらに…。午後3時に寝て夜の10時に起きたり、夕方に寝て深夜に起きる。ベッドで寝転がって本を読むので、眠くなれば時間を気にせず昼寝をするため、時間もへったくれもないときたもんです。
本と最低限の雑貨を除いては何もない部屋で、日本の生活ではほとんどすることのなかった、午前中の斜めの陽射しのなかでの読書が続いたときのこと。静寂のなかにすっかり浸る。あまりにも静かであると、聞こえるのは自分のオナラぐらいなのである*^益^*。発泡するミネラルウォーターと(水道水は飲めない)、英国料理の基本である揚げた芋のせいではないでしょうか。読書に没頭していると、再び音が鳴る。そのたびに一時間ぐらい経ったかと思う。なんと平和なことよ。ちなみに時間のみならず、日付まで気にしなくなっていたので、気がついたときには入学式は終わっていました。ぎゃっはっは!
さてそのときに読んでいたのが、フランスの随筆家、ミッシェル・ド・モンテーニュの『エセー』でした。