お酒をめぐる騒動を描いて、飲酒を戒めたのが、先日ご紹介した「酒道楽」という新聞小説。
これも、お酒に対して厳しい描写の連続です。
徒然草です。
第175段 世には、心得ぬ事の多きなり
世には、心得ぬ事の多きなり。ともある毎には、まづ、酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なる故とも心得ず、、、、と始まる段です。
原文は、インターネット等で引っ張っていただくこととして、意訳してみましょう。
世の中には、よくわからないことが多い。何かあるたびに、とりあえず酒を勧めてむりやり他人に飲ませて興じている人がいるが、正直理解不能だ。
と、酒を飲ませる人の悪に始まり、酒そのものの悪を語ります。しばらくはわかりやすい部分なので原文で。
うるはしき人も、忽ちに狂人となりてをこがましく、息災なる人も、目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。(中略)
明くる日まで頭痛く、物食はず、(中略)
昨日の事覚えず、公・私の大事を欠きて、煩ひとなる。
女性もばっさり。
女性が酔っ払うと、前髪をかきあげ、恥じらいも無く、上を向いて高笑いをし、(他人の)盃を持った手に取り付きじゃれる。お行儀の悪い人は、肴を手にして、人の口にさし当て、自らもその手で食べるなど、本当に見苦しい。
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こんな下りがこれでもか、と続いた後、トドメの一発。
百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思ひ出でて泣くめる。後の世は、人の智恵を失ひ、善根を焼くこと火の如くして、悪を増し、万の戒を破りて、地獄に堕つべし。「酒をとりて人に飲ませたる人、五百生が間、手なき者に生る」とこそ、仏は説き給ふなれ。
そこまで言わなくても、というお言葉です。
でも、これで終わらないのが徒然草。最後に一ひねりありました。
(原文)
かくうとましと思ふものなれど、おのづから、捨て難き折もあるべし。月の夜、雪の朝、花の下にても、心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり。
(意訳)
このように酒はうとましいものであると思うけど、やっぱり捨て難いものでもある。月の夜や雪の朝、さくらの下で語り合いながら、盃を傾けあうのは本当に趣のあるものである。
ここにきて、論旨が逆転しちゃっています。
日本のお家芸とも言える、嫌よ嫌よも良いのうち、ですね。
そして、この段の最後は。
(原文)
さは言へど、上戸は、をかしく、罪許さるゝ者なり。酔ひくたびれて朝寝したる所を、主の引き開けたるに、惑ひて、惚れたる顔ながら、細き髻差し出し、物も着あへず抱き持ち、ひきしろひて逃ぐる、掻取姿の後手、毛生ひたる細脛のほど、をかしく、つきづきし。
(意訳)
なんだかんだと言っても、酒飲みとは楽しく、罪がないものだ。酔いつぶれて人の家で目覚めた朝、家の主人が戸を開けた時、驚き、惚けた顔で、乱れた髪のまま着替えもせず服を抱えて逃げ出す。裾をまくった後ろ姿や、細い足のスネ毛など、面白く、似つかわしい。
「結局酒飲みって愛されキャラ?」と締めくくっちゃってます。
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牛込・神楽坂 酒類卸 升本総本店
http://e-masumoto.com/default.aspx
これも、お酒に対して厳しい描写の連続です。
徒然草です。
第175段 世には、心得ぬ事の多きなり
世には、心得ぬ事の多きなり。ともある毎には、まづ、酒を勧めて、強ひ飲ませたるを興とする事、如何なる故とも心得ず、、、、と始まる段です。
原文は、インターネット等で引っ張っていただくこととして、意訳してみましょう。
世の中には、よくわからないことが多い。何かあるたびに、とりあえず酒を勧めてむりやり他人に飲ませて興じている人がいるが、正直理解不能だ。
と、酒を飲ませる人の悪に始まり、酒そのものの悪を語ります。しばらくはわかりやすい部分なので原文で。
うるはしき人も、忽ちに狂人となりてをこがましく、息災なる人も、目の前に大事の病者となりて、前後も知らず倒れ伏す。(中略)
明くる日まで頭痛く、物食はず、(中略)
昨日の事覚えず、公・私の大事を欠きて、煩ひとなる。
女性もばっさり。
女性が酔っ払うと、前髪をかきあげ、恥じらいも無く、上を向いて高笑いをし、(他人の)盃を持った手に取り付きじゃれる。お行儀の悪い人は、肴を手にして、人の口にさし当て、自らもその手で食べるなど、本当に見苦しい。
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こんな下りがこれでもか、と続いた後、トドメの一発。
百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思ひ出でて泣くめる。後の世は、人の智恵を失ひ、善根を焼くこと火の如くして、悪を増し、万の戒を破りて、地獄に堕つべし。「酒をとりて人に飲ませたる人、五百生が間、手なき者に生る」とこそ、仏は説き給ふなれ。
そこまで言わなくても、というお言葉です。
でも、これで終わらないのが徒然草。最後に一ひねりありました。
(原文)
かくうとましと思ふものなれど、おのづから、捨て難き折もあるべし。月の夜、雪の朝、花の下にても、心長閑に物語して、盃出したる、万の興を添ふるわざなり。
(意訳)
このように酒はうとましいものであると思うけど、やっぱり捨て難いものでもある。月の夜や雪の朝、さくらの下で語り合いながら、盃を傾けあうのは本当に趣のあるものである。
ここにきて、論旨が逆転しちゃっています。
日本のお家芸とも言える、嫌よ嫌よも良いのうち、ですね。
そして、この段の最後は。
(原文)
さは言へど、上戸は、をかしく、罪許さるゝ者なり。酔ひくたびれて朝寝したる所を、主の引き開けたるに、惑ひて、惚れたる顔ながら、細き髻差し出し、物も着あへず抱き持ち、ひきしろひて逃ぐる、掻取姿の後手、毛生ひたる細脛のほど、をかしく、つきづきし。
(意訳)
なんだかんだと言っても、酒飲みとは楽しく、罪がないものだ。酔いつぶれて人の家で目覚めた朝、家の主人が戸を開けた時、驚き、惚けた顔で、乱れた髪のまま着替えもせず服を抱えて逃げ出す。裾をまくった後ろ姿や、細い足のスネ毛など、面白く、似つかわしい。
「結局酒飲みって愛されキャラ?」と締めくくっちゃってます。
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