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つるの恩返しではなくて、ウサギです@国立西洋美術館「メッケネム」展

2016-09-04 12:25:15 | 酒の本棚(書評?)
                           
                           【公式HPはこちら↑】




つるの恩返し、ではなくて。




とってつけたわけではありませんが、芸術の秋の始まりということで向かったのが、


こちら


このたびコルビジェの建物として世界遺産に登録が決まった、上野の西洋美術館です。


お目当ての企画は、、、、



聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画

です。

「メッケネム」(正式には「イスラエル・ファン・メッケネム」)は1445生まれの15世紀後半にドイツで活躍した銅版画家です。


同じ頃のドイツの有名な美術家としてはショーンガウアーやデューラーなどがいますが、彼のちょっと変わっているところは、デューラーなど他の作家の作品をコピー・翻案して広く一般に売り出すという作品を多く出しているということ。


それ故、現代的な視点からはコピー作家という評価もありますが、オリジナルな図案でも素晴らしい作品を残していますし、コピーも単なるコピーではなく、時代に即した翻案を加えていたり、技術的にも高いものがあったり、そして彼の作品を追うことでその時代の流行というか大きな流れがわかるという点でとても面白い、ものでした。


展示されている作品の多くはキリストの生涯といったキリスト教的な主題なのですが、別のジャンルとして、当時の世俗の様子が描かれている版画のコーナーも。

最近その時代の音楽に関心があることもあり、これも見に行った理由の一つ。



「ズボンをめぐる闘い」連作〈日常生活の諸場面〉より


これはおそらくオリジナルということですが、いわゆる家庭内DV(しかも妻の側からの)、です。
なんでもズボンを制圧するものは、家庭を制圧するもの、というのが当時のならわしだったということですが、なんのこっちゃ、ですね。



また、書物や細工物のオーナメント(の図案)として作成されたもののコーナーもありました。

その中で寓話的なオーナメントとして出ていたのがこれです。



≪狩人をあぶる野うさぎたちのオーナメント≫エングレーヴィング / 大英博物館

タイトル通りの内容なのですが、ちょっとズーム・インしてみましょう。



当時流行していた「人間と動物の逆転した力関係の風刺画」ということですが、要は、普段、狩られる対象のウサギたちが狩人を串刺しにして火であぶっています。それだけでなく、人間側についている猟犬たちをも鍋で煮込むという、シュールなもの。


「鶴の恩返し」ならぬ「うさぎの仕返し」ですね。
(さらによく見ると、周囲のウサギが塩を用意していたり、ふいごで火に風を送っていたり、、、、かなり根に持っている様子です)


このモチーフ、「当時の人々に愛されていた」ということですが、、、、、かなり怖い。


愛犬家の方々にはとても見せられませんね。
(犬ともども、夢に見そうです。)



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