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日本酒の味わいに関する評価表現の分析(酒の本棚)

2007-10-26 10:13:03 | 酒の本棚(書評?)
「本」というより「研究文献」ですが、この枠でご紹介。

大塚裕子(2004):日本酒の味わいに関する評価表現の分析、第18回人工知能学会全国大会資料.

「学問して」います。

冒頭は、日本酒の表現に関する課題提起。

「一般に日本酒が語られる際には『甘口/辛口』『淡麗/濃醇』といったシンプルな二項対立的な軸を基準に表現されることが多く,かつ飲み手に選択されることが多いのは『淡麗辛口』の酒である。この二つの軸だけで日本酒を分けようとすれば,実際,最近のほとんどの日本酒は『端麗辛口』に分類されることになる」

→ほとんどが「淡麗辛口」ですか。。。。印刷ベースで『淡麗辛口』『端麗辛口』の混乱は学会発表レベルということでのご愛嬌。

「このような問題から,SSIは味わいと香りの二つの軸を基準に酒を4タイプに大別する方法を提案した」

→これは、以前掲げた「味わい」「香り」の二項対立ですね。筆者はこれに一定の評価をしていますが、これも本質的には変わりない気がします。

次いで、danchuの記事をデータソースとして、酸度、日本酒度、アミノ酸度等の客観数値と味わいの表現とをデータベース化しています。

→これは面白い着眼だと思います。強いて言えば、酵母の酒類をDB化すればもっと良かったかもしれない。。。なお、データの特徴の提示の際、アミノ酸度などで整数表示のものは除外しているようですが、きちんと調べれば良かったのに、と思います。

その上で、収集された味わい表現(コメント)を被験者に見せ、「飲みたくなるコメント」「飲みたくないコメント」等に評価させています。

→なるほど、という段取り。被験者は「筆者の知人20人」ということですが、その属性が不明。

なお、評価の高かった「コメント」は以下の通り。ワインのテイスティングのような表現です。

・やわらかな含み香,桃のような瑞々しさと張り
・北陸らしい凛としたキレのある端正な酒を造る蔵.すんなりと滑りが良く,新鮮な肴をはじめとした,いろいろな料理に合う酒
・軽やかで滑りのいい喉ごし,凛としたキレ.魚料理と一緒にスルスル飲みたい北陸の酒


以下は評価の低かった「コメント」。コストパフォーマンスに言及してはいけないようです。

・素直においしく値段もうれしい
・この味でこの値段はスゴイ
・コップでぐいぐい飲める.安くて旨い酒として最高



評価の高い「やわらかな含み香」と、低い「素直においしく値段もうれしい」は実は同じ銘柄(喜久酔)です。以下に良いコメントをつけるか、が流通も含めた業界の課題でしょう。

この後段では、日本酒度等とコメントの比較等も予察的に行われていますが、これは「より深めた検討」も出そうなので、別の機会に。


牛込・神楽坂 酒類卸 升本総本店
http://e-masumoto.com/default.aspx





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