徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

ジョン・クラッセンの三部作―子どもから大人への読み聞かせー

2017-09-02 17:29:41 | 絵本・児童書 今日の一冊
わが家の朝は階下のTP、KJという
二人のウルトラマンたちの新聞配達に始まる。

トントントンと階段を上る軽快な音。
来るなっと思った私たち夫婦は
慌ててシャッターを開ける。


寝室に入ってきたウルトラマンは
私たちに「起きろー」と言いながら、
「パンパンパーン」と新聞をはたく。

そして「おはよう!」って挨拶して、
階下に戻って行く。

この習慣は夏休み中も変わることはなかった。

KJは7時半にウルトラの父と共に保育園へ。

TPは7時半から8時の間を2階で過ごし、
8時少し前に「放課後クラブ」へと向かう。

夏の間も小学校に設置された
放課後クラブは稼働している。

こうして、お盆休み前後10日と
そのほか数日の休日を除いて、
小学2年の放課後クラブ通いは夏休み中も続いた。

ところで、TPは7時半から8時の間を2階で過ごすわけだが、
夏休み前から、その過ごし方が少し変わってきていた。

この30分弱の時間、彼が私に絵本の読み聞かせをしてくれるのだ。

この1か月ほど、熱心に読み聞かせてくれるのは
ジョン・クラッセンの帽子三部作と言われている絵本。

(その1)  「どこいったん」 

    ジョン・クラッセン作・長谷川義史訳 クレヨンハウス


(その2)  「ちがうねん」 

    ジョン・クラッセン作・長谷川義史訳 クレヨンハウス


(その3)  「みつけてん」 

    ジョン・クラッセン作・長谷川義史訳 クレヨンハウス

いずれも帽子にまつわるお話。

「どこいったん」ではお気に入りの赤い三角帽子をなくしたクマが、
その帽子の在り処を次々と森の動物たちに尋ねていく。

なかなか見つからなくて、諦めかけたとき、
クマは、赤い帽子をウサギがかぶっていたことを思い出す。

そしてウサギのところに走っていく。
そのあとの結末はちょっぴりシュール。

訳者の長谷川さん曰く、
「ちょっとドキッとするお話をほんわかと・・・訳してん」

長谷川義史さんの訳は小気味いい関西弁だ。
TPは祖母訛りの関西弁でこれを私に読んでくれる。
(祖母の私は母方の祖母の関西弁を聞いて育っている)

大人が読むのとちょっと違うところは・・・、
文を読んだ後、開いたページの絵を指さしながら
たっぷり一緒に楽しむ時間をとるところ。

ある時、TPはこの本の裏表紙に
「ちがうねん」という続編のお知らせがあることに気づく。

「これ見てみよう!」(TP)
ふたりでAmazonで確かめ、「読んでみようか」ということになった。
「ポチッ」
「ちがうねん」は次の日、届いた。

「ちがうねん」の主人公は小さいさかな。
あるとき、大きな大きな魚がかぶっていた
小さな小さな帽子をちょっと失敬する。
その理由は「ちっさいじぶんにぴったりだから」。

失敬しても悪いことではない理由を並べたてながら、
大きな魚が寝ているうちに海藻のジャングルに隠れようとする。

しかし世の中、そうは問屋が卸さない。
大きな大きな魚は気づいて小さな魚の後を追っていたのだ。

小さい魚がやっとたどり着いた安心の地、海藻のジャングル。
けれど、最後に出てきたのは、
小さな帽子をかぶった大きな大きな魚だけ・・・。

長谷川さん曰く
「こわー、な お話をゆらゆらと訳してん」

この絵本の裏表紙には三部作の最後
「みつけてん」のお知らせが・・・。
がまんできないのはTPも私も同じ。
また、Amazonでポチッ!!
次の日「みつけてん」はやってきた。


今度は前の2作と変わって、主人公が2匹のかめ。
住んでいる砂漠の真ん中で見つけた帽子。
二匹ともいっぺんに気に入る。
そしてその帽子をかぶりたい。
ところが、相手もかぶりたい。
その相手の気持ちが分かるかめたち。

はたしてそのぼうしはどうなったか。

長谷川さん曰く
「かめばかむほどゆっくりと、かめさんの気持ちみつけてん」

初めて読み終わった時、
TPは一言「いいお話だったねえ…」とつぶやいた。


以後、TPはずっと毎日、この三部作を読んでくれ続けている。


ちなみにこの「ちがうねん」は
2013年コールデコット賞(アメリカ)と、
2014年ケイト・グリーナウェイ賞(イギリス)を
ダブル受賞したとこのこと。
これは史上初の快挙とか。

そんな三部作は、これ以上短くはならないほどそぎ落とされた言葉に
関西弁のリズムが加わって、
声に出して読むことがこれほど楽しいことかと思わされる。

それにしても2年生の反復力はものすごい!
そばに座って聞いていると、
毎回、そのリズムとそこから醸し出される内容を
新しい思いで絵とともにじっくり味わっているのが伝わってくる。

小さい時の自分を思い出してみても、
当時貴重だった絵本やお話は何回繰り返しても
飽きることがなかったことを思い出す。

そんなことをすっかり忘れていた私。
2年生に読み聞かせしてもらって、
じっくりゆっくり何回も味わうという
「しっとりした楽しみ」の時間をもらった、
この夏のひと時でした。




















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