徒然なるままに~のんびり、ゆったり、こまやかに

猪突猛進型の60代。そして卵巣がんですっ転んで8年。目指すはのんびり、ゆったり、細やかな生活!無理かなー(#^.^#)

谷川俊太郎の詩「しんでくれた」を想う時ー夏の一コマー

2016-08-17 08:26:46 | 絵本・児童書 今日の一冊
「リーーーン、リーーーン」
階下から鈴虫の涼やかな鳴き声が聞こえる。
今年の夏休みのお土産だ。

今年のお盆連休は11日の海の日から始まった。

「夏休みってなあに?」と言っていた
ウルトラマン1号(小学1年男児)も、
今では「夏休み」とはなんであるかをはっきりと知り、
11日から約1週間、放課後クラブをお休みできることをが分かると、
「やっと、夏休みだ」とつぶやいた。

保育園、放課後クラブに通っている子どもたちは
本当に社会人並みの生活を送っている・・・。

さて、その後、一族郎党でアルプスの麓の町へ2泊3日の旅に。
3年続けてこの町に来ているが、
今年は初めて3日とも晴天に恵まれた。
今では、実家のようにさせていただいている
長女のお姑さんの家に一日お邪魔する。
そのお姑さんのウルトラマンたちに対する心遣いが鈴虫だ。

それに続く日々は国営アルプスあづみの公園、
そして松本市アルプス公園。

ウルトラマンたちは広大なアルプス公園に放たれ、
これまた全開!

あづみのアルプス公園では「ニジマス」のつかみ取りがあった。
小学校の時に「あゆ」のつかみ取りに失敗しているウルトラの母は
リベンジとばかりに張り切った。
ウルトラの叔母は生来の怖がりを横にうっちゃり、
甥っ子ウルトラマンのために一緒に頑張った。

一方ウルトラマンたちも母や叔母たちと力を合わせ、
何とかそれぞれ一匹を追い詰め、仕留めた。
が、生きのいいニジマスは跳ねて逃げた。
そして再挑戦。
そろそろニジマスにも疲れが出たのか、
何とか次の一匹をゲット。



さばいてもらう列にならんだ。
ウルトラマンたちはさばかれ、串刺しにされ、塩を振られる
ニジマスをじーっと見つめる。
そしていよいよ塩焼きに。
焼きあがるまでの5分間をじっと見つめながら待った。
いよいよ焼き上がり。
彼らは熱々をほおばった。

あれ、1号、おさかなあまり好きじゃなかったんじゃないの?
いえいえ、熱くて、とってもおいしいとか。
2号もむしゃむしゃ食べた。

幼稚園やなんかで、子どもたちが自分たちで野菜を育てると
たとえピーマン嫌いの子であっても、ナス嫌いの子であっても、
むしゃむしゃ食べる。
そんなことを思い出した。

一方、それをずっと見ていたウルトラの祖母。
気持ちはちょっと複雑だった。
まだ、つかみ取りが始まる前、
澄んだ池に放たれたニジマスたちは
気持ちよさそうにスイスイ泳ぐ。
あと少しの命ということを知ってか知らでか・・。

係りの団塊世代の方はこうおっしゃった。
「『ニジマス』はいっぺん人間の手にさわられたら、
もう、元の元気はなくなる。だから獲ったものは
最後までしっかり食べてほしい。でないと無駄死にになる」と。

なるほど、無駄死にか。
ふと、ある絵本が脳裏をよぎった。


 詩 谷川俊太郎 ・ 絵 塚本やすし 「しんでくれた」佼成出版社

谷川俊太郎の詩なる「しんでくれた」。
塚本やすしの絵もさることながら、
うーん・・と唸る一冊だ。

学生に読んだ時も、クラス中がシーンとなって、
授業をしばらく始められなかったということもあった。

帯コメントにはこう書かれている。
「いきものは いきものをたべなければ いきていけません。
にんげんは ほかのいきもののおかげで いきているのです。
『いのちは いのちをいけにえとして ひかりかがやく』
そのことを わすれたくありません。 谷川俊太郎」

夏の陽光に照らされた広大なアルプス公園。
逃げるニジマス、追う子どもたち。

ニジマスが逃げられない池に放たれているということには
心の痛みが走る。

今ニジマスを何が何でも食べなくったって
子どもたちはひもじい思いをしているわけではないから・・。

でも、自分たちが一生懸命捕ったものに
好き嫌いを越えてかぶりつく子どもたちを見て、
ごめん、ニジマス、命を懸けて
子どもたちに人生のレッスンをしてくれたんだね。
獲ったものをあてがわれるのではなく、
自分で体と頭を使って諦めずに獲ってこそ
「おいしく」頂けるんだなって教えてくれたんだ。

子どたちの喧騒の中、
そんなことを考えながら
子どもたちと一緒に過ごした
夏の一日なのでした。





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2 コメント

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Unknown (ururu)
2016-08-17 15:33:13
お暑うございます(^^)/
信濃のバカンス、涼しそうです。

「いっぺん人間の手にさわられた命」
「最後までしっかり食べてほしい」

ホントにそうですねぇ。。
人間の傲慢さを思いながら。。。
返信する
Unknown (あかね雲)
2016-08-17 15:39:31
ururuさま

コメントありがとうございました。
年齢のせいでしょうか、
もっと若かったら私も一緒にはしゃげたのに、
なぜか考え込んでしまったのでした。

でも、アルプス公園はどこもスケールが違って、本当に楽しかったです!
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