現場監督

前職はゼネコンの現場監督であった。

大工の息子なら必ず憧れる職業である・・・ＴＶのあの場面：ヘルメットをかぶった現場監督が図面を持って作業員に指示している・・あのかっこ良さに憧れていた。・・颯爽とジープを運転して・・・中学時代からイメージが先行していた・・。

願い叶って現場監督になって驚いた！！・・図面を持って現場をうろうろしている監督さんは、ろくなもんでない・・真の『監督さん』はすべて図面が頭の中にはいっている・・とんでもないプロ集団にはいってしまったと・・慌てた・・。

最初の工事現場は・上板橋のイトーヨーカー堂・超突貫現場・・工期は通常の半分・・

それでも好きで入った建築の道・・人がいやがる仕事をすべて引き受けたら・・担当は、『鳶・土工』・・地方からの出稼ぎ労働者や・高田の馬場で集めた日雇い労働者相手に・・手配師しみたいな『監督さん』になって仕事した。
・・浅草の下町育ちは・口が達者で・愛嬌があり・すばしっこく・要領が良く・・・これらの持ち味をすべて出しきっての奮闘ぶりであった・・・・。

それから４年後・・大望の三菱ジープを新車で購入・・作業着にネクタイ・安全委員の腕章・編み上げの安全靴・そしてヘルメットをかぶった・・『現場監督』が・・ハマナスラインを疾走していた。

・・・28歳の春　野辺地にて・・・