50年以上の前の話になるが・・日本橋にあった高校に通っていたころ、定期試験の最終日は友人と白木屋(後の東急百貨店 現在コドレ日本橋)の食堂で固めんのあんかけ焼きそばを食べるのが楽しみになっていた
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試験が終わった開放感とおいしいものを食べた満腹感で日本橋界隈を歩き出すと必ず丸善に向かった・・。当時の丸善は、紳士の殿堂のようにレイアウトされ、洋書などの書籍のほかに、オーダーメイドの背広やコート・バッグなどの大小さまざまな男の嗜好品が並んでいた・・。
恰幅のよい紳士がバーバーリーのコートを試着する光景であったり、品のいい紳士が金縁の眼鏡や鼈甲の眼鏡をあてて鏡をのぞいていたり、学者風の人がモンブランやパーカーの万年筆を試し書きをしている姿を良く目にした・・。
洋書売り場では、英語がペラペラのような紳士が分厚い洋書を手にとって読んでいる姿は、高校生にとってすごくかっこ良く見えたのである・・。
・・大学に入れたら丸善に洋書を買いに来られるように勉強してみたいな~、僕たちもあんな紳士のように丸善で買い物してみたいな~と友人と話していたのを思い出す
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半世紀が過ぎて・・バーバリーのコートも愛用した時期もあったし、モンブランやパーカーの万年筆も手に入れたが・・いずれもあの日本橋の丸善で購入したものでなかった・・。
最近は業界の会合で新橋に行くことがあり、帰りに丸善に寄って本を購入する機会が増えた。現在は紳士物はごくわずかなスペースに小物を中心に展示されているが、地下階の眼鏡売場は大きなスペースを陣取っている。客層がなんとなく昔の雰囲気を漂わせているので、ここを訪れるといまだに懐かしい思いにふける・・。
先日業界の友人と3Fにあるカフェでビールを飲んで、地階に降りてきた時のこと・・ いきなりフラッシュバックした感覚におちいり ここで眼鏡を買ってゆこう!と思い立ってしまった・・。
・・ショーケースの中を覗いていると、恰幅の良い店員がやってきて椅子を勧められた・・。
・・この光景 あのころの高校生が見ていたあの紳士だ! と記憶がよみがえる
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購入した老眼鏡は・・5月3日の社員の結婚式で祝辞を述べるときに使うつもりでいる
・・。 この眼鏡168.000円でした
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