齢仙寺雑記帳

滋賀県にある臨済宗妙心寺派のお寺、齢仙寺の日々のお話

3月のことば 「巖谷栽松(がんこくにまつをうう)」

2014年03月02日 | 今月の言葉
ほんとに早いもので3月ですね。
ここのところ冷え込んで、また真冬のようですが、これから少しずつあたたかくなっていきますね。
気温の変化に体もついていけるよう、注意しないといけないですね。

さて今月のことばです。
今月のことばは、
「巖谷栽松(がんこくにまつをうう)」

中国唐代末期、臨済宗の宗祖である臨済義玄禅師とその師匠である黄檗希運禅師の問答に興味深い話がのこっています。

ある時、暑い日射しの下、奥深い山中でせっせと臨済禅師が松の苗木を植えていたそうです。

それを見て師匠は「こんな山奥に松の木を植えて何とする」と問いかけます。

すると臨済禅師は、「一つには山門の境致とし、二つには後人のために標榜となさん」と応えたそうです。

禅の問答なので言葉どおりに受けとると大失態となりますが、ここではそのまま読んでみたいと思います。

松の植樹により、他人の為に清風涼陰をなすことを思い、併せて後人の道標となすことを言っておられます。

前段の事くらいは、なかなか難しい事だが行動する人もあるとおもいます。しかし、大事なのは後段でしょう。

インディアンの人たちの教えに「自然は子孫からの預かりもの」「七代先の子孫のことを考えて自然を大切にする」と云うのがあると聞きます。
目前、直近の課題対応にあたふたとして、「後人の為に」と云う観点はどうしてもなおざりになりがちです。
物事に対処する時、今日は過去からの最後でなく未来への出発と捉え、大量生産・大量消費、原子力発電、地球温暖化などなど、自分やその周りの人々の為のみならず、遠い将来、子や孫のそのまた先、人類の未来、それをしっかり見据えて行動したいものです。

お知らせ
三月十六日 大般若祈祷会・法話会 十三時
三月二十一日 春期施餓鬼会 九時

平成甲午弥生


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