振り出しに戻る「落陽日記」

旅や日々の生活の一コマ。60代半ば、落陽期を迎えながら気持ちは再び振り出しに戻りたいと焦る日々です。

明神山自然の森展望台から古代を眺める

2021-10-07 11:39:49 | 日記
以前、NHKの番組「ブラタモリ」で視て、一度行ってみたいと思っていた。明神山は標高273メートルでさほど高くはないが、展望台からは奈良平野にある斑鳩の法隆寺や飛鳥の里、東大寺の大仏殿が眺められると共に、大阪平野にある百舌鳥・古市古墳群も見えると言うことに興味を惹かれていた。

明神山の麓の住宅街にある登山者用の駐車場に車を置き、そこから展望台のある山頂まで約2km。標高差は200メートルぐらいだろう。登山路は車も通れるように舗装されているが、車止めがあって一般車は通行できない。



登り口の道路脇に杖が置いてあったので、ありがたく借用させていただいた。





途中、道路工事をしているようで、う回路の山道が数百メートル続いた。



山頂には鳥居があり、明神様が祀られている。軽自動車は工事関係者のモノのようだ。



山頂には3方向に展望用テラスが設置され、ほぼ360度の視界が開けている。



無料の双眼鏡が固定されているのはありがたく、法隆寺や東大寺が確認できた。霞んでいるためハッキリは見えなかったがこちらの方向には比叡山や、更に北の比良の蓬莱山まで見えるとある。





阿倍野ハルカスは肉眼でもシルエットがわかったが、大阪城や梅田方面は山に隠れて見えない。



堺方面には点在している古墳が見える。また、はるか大阪湾のかなたには明石海峡大橋も見えるらしいが、この日は霞んで見えなかった。

奈良と大阪の間には両者を遮断するように生駒山系と金剛山系が南北に連なっているが、両山系の中間には奈良盆地から大阪湾に流れる大和川が横切っている。ここ明神山は金剛山系の北端で、大和川を見下ろしながら大阪平野も奈良盆地も両方が見渡せる位置にある。標高が600メートル以上もある生駒山から見るよりは標高が低い分、キレイに見える。

古代、恐らくここには烽火台があったと想像できる。視力の良い古代人なら、渡来人が乗った船が難波の津に着くのがここからでも見えたのではないだろうか。船は見えなくても烽火を数か所中継すれば、王権の地が奈良盆地内のいずれにあっても情報が届くのにさほどの時間はかからなかったように思える。また大和川の水運を使うことで役人や渡来人の往来にも、多くの日数を要することもなさそうだ。

古代史は学生時代に習っただけで、ヤマト朝廷の中心は奈良盆地にありながら仁徳陵や応神陵のように多くの天皇陵が大阪平野に存在していることが、ずっと疑問に思えていた。しかし、明神山からの眺望によってそれらの疑問が解けて、スッキリした。

出来ればこの冬にでも、空気が澄み切った日にもう一度登ってみたいと思う。