(飯田和馬)
〇 万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見て言い過ぎている
飯田和馬さんとしては、真に珍しい失着と申せましょう。
試みに添削させていただきますと、本作は「万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見つ 言い過ぎている」とするべきでありましょう。
一首全体を、のっぺらぼうのように続けることなく、上の句を「万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見つ」と四句切れとし、その後を一字空きにして「言い過ぎている」と、感想風な一句を付け加えたならば、それらしい一首になりましょう。
〔返〕 聴け万国の労働者 轟き渡るメイデーの夢幻の如くなりにけり 鳥羽省三
(廣田)
〇 万物の創造終えた日曜の夜は無意味に花火を鳴らす
造物主ならぬ本作の作者の廣田さんにとっての「万物の創造」とは、一体全体、どんな作業でありましょうか?
その如何を問わず、その「万物の創造」を「終えた日曜の夜」こそは、彼の金王朝の人民よろしく「無意味に花火を鳴らす」に相応しい場面でありましょうか?
〔返〕 聴け万物の創造主轟き寄する大津波全て空しくなりにけり 鳥羽省三
(浅草吉右衛門)
〇 油断した 後から来たぞ 万願寺 辛さ染み入る 秋の晩飯
万願寺唐辛子の炭火焼きの美味しさを思うと、つい、うっかり、「後」になってから遣って来る「辛さ」など忘れてしまいますからね。
〔返〕 万願寺唐辛子を割り種を取り仙台味噌を塗って焼いたの 鳥羽省三
(壬生キヨム)
〇 万が一大人になったらその部位を触らせてあげる約束をする
「万が一大人になったら」「触らせてあげる」と、本作の作者・壬生キヨムさんが「約束をする」「部位」とは、一体、彼の虚弱な肉体中の何処を指して言うのか?
永田和宏氏の歌集『風位』に、「ぼんやりとねむくなるときおのずから魔羅膨らむと言えばわらいぬ」という、男性の「部位」をストレートに詠んだ作品がある。
永田氏の愛妻・河野裕子氏の左胸の乳癌が見つかり、京大病院で手術を受けたのは平成十一年十月のことであり、永田氏の第八歌集『風位』が刊行されたのは平成十五年のことである。
〔返〕 万が一五億円が当たったらその札束を持たせてあげる 鳥羽省三
(睡蓮。)
〇 人の世は運も縁(ゆかり)も万華鏡めぐり合わせの奇跡きらめく
「人の世は→運も縁も→万華鏡→めぐり合わせの→奇跡→きらめく」との、言葉の選択とその配置や運びが、真に宜しい。
〔返〕 人の世は死ぬも生きるも運次第巡り合わせも致し方なし 鳥羽省三
(鳥羽省三)
〇 桂瓜・聖護院蕪・万願寺唐辛子・賀茂茄子・九条葱
俗に謂う「京野菜」の類を並べ立てただけの作品である。
〔返〕 紅花にラ・フランスにさくらんぼ 山形衆の貪欲なこと 鳥羽省三
〇 万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見て言い過ぎている
飯田和馬さんとしては、真に珍しい失着と申せましょう。
試みに添削させていただきますと、本作は「万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見つ 言い過ぎている」とするべきでありましょう。
一首全体を、のっぺらぼうのように続けることなく、上の句を「万能と呼ばれる葱の細さなど白々と見つ」と四句切れとし、その後を一字空きにして「言い過ぎている」と、感想風な一句を付け加えたならば、それらしい一首になりましょう。
〔返〕 聴け万国の労働者 轟き渡るメイデーの夢幻の如くなりにけり 鳥羽省三
(廣田)
〇 万物の創造終えた日曜の夜は無意味に花火を鳴らす
造物主ならぬ本作の作者の廣田さんにとっての「万物の創造」とは、一体全体、どんな作業でありましょうか?
その如何を問わず、その「万物の創造」を「終えた日曜の夜」こそは、彼の金王朝の人民よろしく「無意味に花火を鳴らす」に相応しい場面でありましょうか?
〔返〕 聴け万物の創造主轟き寄する大津波全て空しくなりにけり 鳥羽省三
(浅草吉右衛門)
〇 油断した 後から来たぞ 万願寺 辛さ染み入る 秋の晩飯
万願寺唐辛子の炭火焼きの美味しさを思うと、つい、うっかり、「後」になってから遣って来る「辛さ」など忘れてしまいますからね。
〔返〕 万願寺唐辛子を割り種を取り仙台味噌を塗って焼いたの 鳥羽省三
(壬生キヨム)
〇 万が一大人になったらその部位を触らせてあげる約束をする
「万が一大人になったら」「触らせてあげる」と、本作の作者・壬生キヨムさんが「約束をする」「部位」とは、一体、彼の虚弱な肉体中の何処を指して言うのか?
永田和宏氏の歌集『風位』に、「ぼんやりとねむくなるときおのずから魔羅膨らむと言えばわらいぬ」という、男性の「部位」をストレートに詠んだ作品がある。
永田氏の愛妻・河野裕子氏の左胸の乳癌が見つかり、京大病院で手術を受けたのは平成十一年十月のことであり、永田氏の第八歌集『風位』が刊行されたのは平成十五年のことである。
〔返〕 万が一五億円が当たったらその札束を持たせてあげる 鳥羽省三
(睡蓮。)
〇 人の世は運も縁(ゆかり)も万華鏡めぐり合わせの奇跡きらめく
「人の世は→運も縁も→万華鏡→めぐり合わせの→奇跡→きらめく」との、言葉の選択とその配置や運びが、真に宜しい。
〔返〕 人の世は死ぬも生きるも運次第巡り合わせも致し方なし 鳥羽省三
(鳥羽省三)
〇 桂瓜・聖護院蕪・万願寺唐辛子・賀茂茄子・九条葱
俗に謂う「京野菜」の類を並べ立てただけの作品である。
〔返〕 紅花にラ・フランスにさくらんぼ 山形衆の貪欲なこと 鳥羽省三