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人気作家東野圭吾の134回直木賞受賞作。「2006年度このミステリーがすごい」1位をはじめ、各誌で絶賛を浴びた作品。
探偵ガリレオシリーズの湯川学と、ライバル数学者との鉄壁のアリバイを巡る攻防戦。
本作の良さはやはり、そのトリックの綿密さと、それを描写する手腕だろう。もちろん東野圭吾なんだから、驚くに当たらないのかもしれないのだけど、やはりこの人は相当な実力を持つ作家なのだな、と思い知らされる。
そのミスディレクションのもっていき方や、シンプルだが、そう簡単にわからないトリック、そしてそのトリックの論理性など、読み終えた後にはその鮮やかなまでの整合性に軽い興奮を覚えるほどだった。本当に、この作品には東野圭吾の実力と上手さがここに充分すぎるくらいに現われている。
石神の心迫るほどの思いとそれでも罪の重さに耐えられない女性との苦しいくらいのすれ違いもきっちり描きこまれていて、とにかく上手い。唸ってしまうくらいに上手い作品だ。
本当になぜこの人は5回も直木賞を落ちたのだろう。思わず首を傾げたくなるほど、満足の出来であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
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