2014年度作品。日本映画。
イギリス人作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学を、スタジオジブリが舞台を北海道に移してアニメ映画化したファンタジー。海辺の村に住む夫婦に預けられた少女・杏奈と、不思議な雰囲気を持つ同い年の少女マーニーとの交流が描かれる。
監督は米林宏昌。
出演は高月彩良、有村架純ら。
さすがはスタジオジブリだけあり、美術に関しては天下一品だ。
遠浅の海や瀟洒な家といった風景はもちろん、オールの使い方などの人間や物の動きも非常に美しい。
そのすばらしさに、すっと物語の世界に入っていける。そいつが大層心地よい。
ストーリーもなかなか楽しめる。
主人公は杏奈という孤児の少女だ。その出自もあってか、育ての親の心情をすなおに信じ切れず、他人に対しても、どこか壁をつくっていて、人と話すときもストレスを感じている。
基本的にはネガティヴな子だろう。
その少女が廃墟と思われる屋敷で、謎の少女マーニーと出会う。
彼女と交流するにつれ、彼女は周囲に対しても少しずつ心を開いていくようになる。
そういう話だ。
ある意味、癒しの物語である。
彼女が癒される上で、マーニーの存在は大きい。
杏奈はマーニーに心を開くことで、他人への心の開き方を学べたのではないかとも思う。
またマーニーには大きな謎があり、そこからは愛情の系譜ともいうべきものが感じられて、しんと胸に響いてならない。
今のところ、公開数週経過しているが、スタジオジブリということを考えると、興行的には成功しているとは言いがたい。
実際ストーリーは地味だから、それも納得ではある。
だがだからと言って、本作は決して駄作ではない。むしろ良質の作品ですらあるのだ。
そう静かに訴えていきたい。そう思える作品であった。
評価:★★★★(満点は★★★★★)
原作の感想
ジョーン・G・ロビンソン『思い出のマーニー』
私も少し前にマーニー観ました。
アリエッティとは違うファンタジー要素とリアリティが溶けあったいい作品だったと私も思いました。
ただ、幼い子供には難しく大人向きのアニメだなとも。
原作を読まれているんですね。
釧路で面倒見てもらっているおうちはアンナとはどういう関係なんでしょう??
昔の映画で「わが青春のマリアンヌ」(1955年)というのがあります。
偶然DVDで観たのですがなんとなくマーニーと設定が似ています。町山智浩氏のトラウマ映画館で知ったのですがこちらもなかなか面白かったですよ。
機会があれば是非♪
マーニー、なかなかすてきな作品でした。確かに大人向きとも思いましたが、それでも子どもが見ても、何かしらは感じてくれるかもしれませんよ。
原作で、アンナがいた家は、里親の友人の家ということになってます。
「わが青春のマリアンヌ」は見たことないです。設定が似通っているんですね。何となく興味が出てきました。機会があれば見てみます。
お勧めありがとうございます。