Luna's " Tomorrow is a beautiful day "

こころは魔もの。暗い地下でとどろくマグマのような…。

見上げるもの…

2006年04月11日 | Weblog
すべてがうまくゆかなくなったとき、
しかも、何かを決めようとしているときには、
高みを見やりなさい。
そこには、紛糾の要因はひとつもないからだ。

チャールズ・ド・ゴール

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以前には大空の高みは、
望みはしつつも、決して届かないものの象徴だった。

きっと、自分が死ぬときには、
大空を見上げて、
その透明なブルーに諦観を連想する、

「いいの…、これでいいの。
 きっとこうなるだろうって、
 あたし、わかってたから…」

だが、マルスがあたしの心に入り込んでいた、
あんなヤツに負けたくない!
でもここでは地の利が向こうに味方している…

あたしはそれこそ、火をくぐり抜けて来たような、
そんなありさまで、バプテスマの水を払い落として来た。
自分の命となけなしのおカネだけしか残っていなかった。

自由は得たが、自由は責任の重いものだった。
甘えは赦されなかった。
自分で決めねばならず、
その結果が苦いものであっても、
だれをも責めることはできない。

あたしは、目を閉じ、空の遠くを空想して、
決して届かないものを、詩的に表現しようとした。
だがそのとき、恐怖があたしの心を襲った!

このままで、自分は死んでゆくのか?
静けさ、諦観、決してたどりつくことのないあの透明な空…
そういった空想をどうしてかその一瞬から、
美しいものとは感じなくなった。

何かがあたしの中に胎動している…
あたしの目が、一点に集中している。
そこにあるのは、半透明のとらえどころのない空気の層ではなく、
その空に向かってせりあがるような、鋭くとがった岩山の頂!

あそこにはたどりつくことはできる、
はっきりそう思った。
だって、地面はあの頂につながっているんだから!

その時以来、険しい道をあごを上げながら、
荒々しく呼吸をしながら、
何度も座り込んだりして、
でも、あの頂上を見上げては、また歩き出している。

あそこを見上げると、
生きている意味がわかる。
どんなに回り道をしても、
どんなに足が引きつっても、

見上げれば、あそこに頂がある、
歩いていくことのできる地面の延長に。
何もかもうまくいかないとき、
でも何とかしなきゃって、焦るとき、

あの頂を見上げよう。
自分の行くべきところが見えれば、
自分の選ぶ道も見えてくる。
あの頂は、わたしのほおに笑顔を与えてくれる。