Luna's " Tomorrow is a beautiful day "

こころは魔もの。暗い地下でとどろくマグマのような…。

親や祖母を叩く3歳児、どうしたらいい?

2012年12月22日 | Weblog







Ques.

 2人めを生んでから、3歳の息子が、親や祖母をたたくようになりました。また、とてもわがままです。なるべく上の子優先にしていますが、そうすると、下の子は泣かせてばかりになってしまうので、ストレスがたまります。どう接すればよいでしょうか。 





Ans.

 親や祖母をたたくなんて、なんと乱暴な、と普通は思いますね。わがままというのも、このまま大きくなったらどんな自己中心的な子になるんだろう、と心配されているのだと思います。

 しかし、3歳児は、まだ、自己中心的な世界に生きています。まだ他人のことを考えることはできません。他人のことを考えて自分の行動をコントロールできるようになるのは、もう少し後です。ですから、3歳児は、自己主張が激しいですし、自分の思うようにならない時に、怒ったりたたいたりします。

 ですから、お尋ねのお子さんの様子は、決して、しつけがなされていないとか、攻撃的な性格とか、そういうことではなくて、普通の子どもの成長のプロセスなのです。

 この時期に大切なことは、自分の気持ちを表現することです。自己主張することです。そのうえで、他の人と関わると、自己主張のぶつかりあいになります。そこで、少しずつ、他人の気持ち、事情を知るようになっていくのです。

 自己主張ができないまま大きくなると、表面的には、手のかからないいい子で、ルールを守っているように見えますが、それは、単に自分の気持ちに気づいていない、表現ができないだけで、激しい感情が、その底に閉じこめられていることがあります。


 大切なことは、自分の気持ちを、ただ抑えることではなく、自分の気持ちを言葉にして、適切に表現できることなのです。

 ですから、このお子さんの場合は、たたきたくなる時の気持ちを酌んで、それを言葉にして返してみてください。
「○○は、こういう気持ちだったんだねー。だけど、だからといって、たたいちゃだめだよ」と繰り返し教えていくことで、少しずつ、他人にも配慮できるようになってくると思います。





明橋大二メルマガより

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■プロフィール

明橋大二(あけはし だいじ) 子育てカウンセラー・心療内科医。
著書『輝ける子』『子育てハッピーアドバイス』

『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わる ほめ方・叱り方』など
 http://www.happyadvice.jp/?mm=a205





叱ってもへらへらしている子の心のうち

2012年12月06日 | Weblog






 お母さんに叱られて、少しもこたえていない子はいません。


 どれだけ叱っても、まるでこたえていないように見える子がいます。親は、まだ腹が立っているのに、ヘラヘラとふざけたような態度を見ると、「泣くまで許せない!」と、しつこく怒ってしまう、という話も、時々聞きます。

 お母さんがイライラしてしまう気持ちもよくわかりますが、叱られて、ヘラヘラしたりふざけたりしているのは、必ずしも、本当にこたえていないわけではないかもしれません。

 子どもは、強いダメージを受けると、自分の心を守るために、あえて聞き流そう、忘れてしまおう、とすることがあります。これは、自分の心をガードするためです。その結果、表面上ではこたえていないように見えます。

 しかし、ガードするのは、ガードしないといけないぐらい、傷ついているということです。「絞首台の笑い」という言葉があります。これから絞首台に上がろうとする人は、皆がみな、泣いたり暗い顔をしたりしているわけではありません。中には笑い出す人もあるのです。人間は、本当に絶望し切った時や、悲しみに沈み切った時、「笑う」という形でしか表現できないこともあります。

 お母さんに叱られて、少しもこたえていない子はいないと思います。本当は、とても悲しくて、不安な気持ちになっているのかもしれません。敏感な子ほど、そんな心を守るために、よけいにガードを固くし、ふざけたり、悪さをしたりする場合があります。一発、ガツンと言うのもいいですが、傷ついている心を、さらに踏み荒らすようなことにだけはならないようにと思います。

 「泣くまで許せない」と思ってしまうのは、結局、泣いたら少しは手ごたえがあったと思って、スッキリできるからではないでしょうか。子どものためというよりは、母親自身のストレス解消の手段になっているのかもしれません。

 どうしても感情を抑えられない時は、別の形でストレスを発散するとか、時にはゆっくり休むことも必要です。お母さんが楽になれば、子どもも楽になります。そうすると、子どもの態度も自然と変わってくるのではないでしょうか。

 親としては何とか改めさせようと必死になってしまいますが、少し立ち止まって考えてみましょう。それは今すぐ改めないと、命に関わるような問題でしょうか? もしそうでないなら、今は少し後回しにしてはどうでしょうか。

 実は、子どもの問題、と見えることも、実際には時間が解決することがほとんどだと言っていいのです。おむつがはずれない、指しゃぶりをする、から始まって、子どもの成長とともに、別に叱らなくても自然に解決することも少なくありません。それまで少し待ってみる、というのも一つの手、ではないでしょうか。





明橋 大二メルマガ2012年12月6日号より


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【このテキストの目立った点】



1.
  へらへらしているのは子どもが自分を見下しているのでなければ挑発しているのでもない。

  子どもがいちばん受け入れてほしがっている親から怒りという形で拒絶されていて、
  そのためショックを受けているから。

2.
  覚えておきたい用語 「死刑台の笑い」。

  心の中で生じた、絶望感、悲嘆といった感情が強すぎると、ひとは笑いという反応を示すことがある。
  このことは個人的にも経験した覚えがある。

  応用例:
  死刑が言い渡されそうな裁判で、被告人がふてくされた態度や笑いというような態度を見せた場合、
  それをもって「反省の態度がない」、「不敵な笑い」、「冷酷、したがって更生不可能」などの判断を性急に示してはならないのではないか、と思った。
  とくに、裁判員に徴用された場合、この点は覚えておこうと思う。公正な判断を示すためにも重要だと思うから。


3.
  へらへらした態度などの表面的な態度を改めさせようとするのは、ほんとうの意味で子どものためにはならない。
  むしろ子どもは、親はほんとうの自分をわかってくれない、という感じを抱き、親への信頼を冷めさせてゆく可能性大。
  将来の親子断絶、コミュニケーション途絶の原因となっているのではないか。


  また、表面的な態度を変えさせようとするのは、親の思い込みを押しつけようとしているのが実態。
 それは子どもへの愛ではなく、自分のうっ憤晴らし、あるいは自分への愛、つまり子どもが表面的に見せている態度に親が傷ついていて、
  傷ついた親が威信を回復しようとして子どもに力を加えている。親が心理的自己防衛にまわっている。


4.
 子どもの成長は千差万別。親の思うとおりに行かないからといって焦ってはならない。
 時間がたてば子どもは変わっていく。
 成長する力を信じて、子どもの側に立ったサポートをしてゆくのが、ふさわしい種類の愛(つまり子どもを尊重する視点に立っているから)。