Luna's " Tomorrow is a beautiful day "

こころは魔もの。暗い地下でとどろくマグマのような…。

ロングショットで見れば、人生は喜劇だ

2006年02月08日 | Weblog
人生はクローズアップで見ると悲劇だが、ロングショットで見ると喜劇だ。

  チャールズ・チャップリン

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わたしは朝起きると、必ず鏡に向かって、唇の端をおおきくあげて、にっこり微笑みます。そして鏡に映った自分に向かって、「おはよう! いい朝ね」とうきうきとした口調で話しかけます。これはまじないではありません。心理的な健康にも身体的な健康にも、微笑みはとても効果があるのです。自分を勇気づけ、自信をほんのりわかせ、人間とのつき合いにも臆せず処することができます。それがまたフィードバックして自信を堅くさせてゆきます。笑顔は豊かな人生の基本中の基本です。ポップ・サイコロジーの文庫本から、そんな話をひとつ、引用します。


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進化論で知られるダーウィンは、サルもうれしいときは笑うという説を唱えている。かわいがったり、じゃらしたりすると、明らかに表情をくずして笑顔になるというのだ。ダーウィンを信用しないわけではないが、残念ながらわたし自身はサルの笑顔を見たことがないので、なんとも言えぬ。

もうひとつ見たことがない笑顔がある。うつなどで精神を病んだ患者さんの笑顔だ。患者さんと接していて、うっすらとでも笑顔を見せてくれるようになると、心底ほっとする。快方に向かった証拠といってよいからだ。

笑顔は、言葉以上に豊かな表現力を持っている。わたしが海外旅行好きなのは、外国では、知らない人でも目が合うと、にっころほほえみかけてくれることと無関係ではない。とりわけ、若く美しいレディが、匂うがごとき笑顔を浮かべてくれると、その日は何かいいことがあるような、うきうきした気分になろうというものだ。

実際、笑顔には体の奥底からエネルギーを誘い出す効果があることが知られている。最近は、笑の効果の研究も進んできた。一例が、筑波大学大学院人間総合学科研究科看護科学系の林啓子助教授による「笑いが血糖値を抑える」という研究だ。糖尿病の患者さんを二つにグループに分け、一方には食後、漫才を見せて笑ってもらう。もう一方には難しい講義を聞いてもらう。それぞれの血糖値を比較したところ、「漫才グループ」のほうが、「講義グループ」よりも血糖値が40パーセントも低くなっていたという。

そこで林さんたちは、漫才などを見なくても、笑ったのと同じ効果が出る工夫を考えた。それが「微笑み体操」である。TV番組で見たが、なかなかおもしろいので、番組から「微笑み体操」を再録させていただく。



1)準備運動
ストレッチで体をほぐす。手をこすり合わせて温め、額にあてて筋肉の緊張をほぐす。

2)たこ焼き体操
両手の親指と人差し指で、○(マル)をつくる。この○を、頬の高い部分に置き、押しつけるようにすると、頬の肉がたこ焼きのように丸くつまめる。つまんだまま、内側に大きく回す。このとき大きな声で「たこ焼き、たこ焼き、おいしいなあ」と言いながら、頬の肉をこんどは外側に回す。最後に、指で作った○を勢いよく開いて、「ばあっ!」という。

3)いい顔体操
大きな声で「いい顔~」と言いながら、両手のひらで、おでこを左右に引っぱる。同じように「いい顔~」と言いながら、目じり、頬、口、顎の順に左右に引っぱる。最後に大きく「い~い~か~おっ!」と言いながら左右の耳を引っぱり、「おっ」のタイミングで勢いよく手を離す。




アメリカのある経営者セミナーでは、部下を一人でも持つようになったら、朝一番の仕事は笑顔を作ることだと教えている。受講生には小さな鏡を支給し、これをいつでもデスクに置き、日に何回か、笑顔を保っているかどうか、自分の顔をチェックするように、とも教えているという。だんだん慣れてくると、部下にちょっと注意を与えるその前にチェック、幹部に呼ばれてドキドキしながら出向く前にチェック…と、毎日、何回となく鏡の自分に向かって笑いかけたりすることができるようになるそうだ。ビジネスマネジメントも、要は笑顔がキーポイントというわけである。

(「続・いい言葉は、いい人生をつくる」/ 斉藤茂太・著)

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この一文の見出しは「感情で表情を変える人よりも、表情で感情を変える人の方が賢い」というものです。どう思われますか。表情は感情によって動くものではないか…。そう思ってこられましたか。いいえ、実は感情は思考によって生み出されます。思考が変われば感情も変わるのです。エホバの証人はこれを使って信者を統制します。これはマインド・コントロールの手法でもあります。マインド・コントロールは善用もできるのです。考え方を調整することで、感情を変えられる、もうひとつ、行動を変えることで感情や思考を変えることができる。認知行動療法と言う心理療法はこういう手段を使います。

心理セラピストのリズ・山崎さんは、その著書でこのようなことを述べておられます。

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でも、「理想を成就したら性格がよくなる」のではなく、「人格を磨いてゆくと理想は成就できるようになっている」、わたしは経験からそう思うようになりました。たとえば、「しあわせになったら、人を妬むことはなくなる」のではなく、「妬むことをやめたら、しあわせになる」、「裕福になったら、親切ができる」のではなく、「惜しみなく与えられる自分になるから、裕福になれる」というように。

自分がどんどん、ハッピーになれるようにプラス思考を培おうというのなら、他者の成功や喜びを、自分も一緒に喜ぶ、ということをベースにするのが基本原則です。

(「すべてはしあわせへと続いている」/ リズ・山崎・著)

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人は楽しいから笑う、それだけではありません。それ以上に、笑うから気分がよくなる、のです。これは心理学者、哲学者のウィリアム・ジェームズの言葉です。自分の不快感を表明するのと、にっこり微笑んで、自分の感想を説明するのとでは、相手との関係はどんな影響を受けるでしょうか。リズ・山崎さんのその著書の中では、不機嫌を表明するのは脅迫である、と述べられています。

「もしも、不機嫌をまわりにぶつけて、まわりから機嫌を取ってもらっているようなパターンがあるなら、今日、そのパターンを卒業しましょう! こんな表現は好きではありませんが、“イライラ不機嫌”という“武器”を振りかざし、まわりに圧力をかけ、自分の思い通りにしてもらう、そんな自分でいる限り、ハッピー・パーソンにはなれません。力で人を支配し、期待に応えてもらおうとすることは、それに応じてくれる人がいなくなったら、もう自分はおしまいだということです。そんな自分は、自分の気づかないところでは、他人に頼りまくっていて、見離されることを怖れて震えているのです。

だから、他人の不機嫌は無視していい。“機嫌の悪い誰か(多くは親)”にいつも脅かされていた経験が、人の機嫌を過剰に気にする自分の性向をい形づくったかもしれませんが、大人となった今、不機嫌な人を放っておいても、あなたが危険にさらされることはないのです。ないどころか、それはみんなをアンハッピーにする悪循環なのです。賢い親は、子どもがデパートのおもちゃ売り場で叫び声を上げて駄々をこねても、知らん顔しますよね。賢い人は、不機嫌な大人の人を放っておくことによって、不機嫌な人が自分の力で機嫌を直すよう助けてあげられるのです。

その代わり、あなたも、自分の機嫌は自分で直してください。自分が不機嫌になるのはどうしてでしょうか。自分の期待通りにならないことに傷ついているからではないかと、わたし(著者)は思います。“甘え”と言えると思います。そんなときは、深呼吸をし、「あ、イライラしている」と、自分にことばをかけてあげてください。そうやって、イライラ観を味わい、認めましょう。同時に、「いったい、わたしは何を期待していたの?」と自分に問いかけてみましょう。

「ままならない」ことは、世の中にはいくらでもあります。そんな中で、不機嫌な態度や表情で脅迫して、相手をコントロールしようとして、特定の相手にイライラ、不機嫌をぶつけるのは、その相手に甘えている証拠、自分の人生をハッピーにするのを他人任せにしている証拠です。あなたの人生の世話までしてくれる人がどれだけいるでしょうか。心の健康な人は皆、自分の人生の責任しか自分ではもてないことをよくわきまえています。他人に頼っていては、人生を豊かにすることは望めないでしょう。ひとまかせにするより、自分のしあわせは自分で作り出すほうが、はるかに簡単で、手間要らずなのです(前掲書)」。

自分の気分は自分でつくる。自分の気分は自分で建て直す。落ち込んだときは、傷を癒すのにおもいきり落ち込んでいい。でも立ち直るのを人任せにしていてはいけない。自分で立ち上がる。だから、毎朝、鏡に向かって、にっこり微笑み、こういうのです。

「さあ、太陽が昇った。日が変わった。昨日のことは幕を閉じた。今から新しい日が始まる。いい日にしよう!」