ホッキョクグマの祖先が約15万年前に存在していたことを、米ペンシルベニア州立大など欧米の研究チームが突き止めた。その後の暖かい時期である「間氷期」と極地の平均気温が10度近く下がった「氷期」をそれぞれ生き抜いたことになる。ホッキョクグマは地球温暖化の影響で絶滅が懸念されているが、環境変化に高い適応力を持つことを示している。米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
04年、アイスランドの地質学者が、ノルウェー・スバールバル諸島の地層からホッキョクグマのあご骨と犬歯を発見。研究チームは化石に残された遺伝子と、米アラスカ州に生息するホッキョクグマ2頭とヒグマ4頭の遺伝子を比較解析した。その結果、氷期だった約15万2000年前にヒグマとホッキョクグマの共通の祖先から枝分かれし、最後の間氷期が始まる直前の約13万4000年前には現在のホッキョクグマに近い形で存在していたことが分かった。
間氷期の中で最も暖かかった約12万年前には、極地の気温は現在より3~5度高く、約1万年前に終わった氷期では逆に数度低かったと推定されている。研究チームは「ホッキョクグマは過去の激しい環境変化に適応してきたが、次第に活動範囲は狭まっている。現在の温暖化に対応できるのか調べたい」としている。【田中泰義】
毎日新聞 2010年3月4日 2時30分(最終更新 3月4日 2時30分)
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