英ブリストル大、中国科学院などの研究チームは、白亜紀前期(約1億4500万~1億年前)の羽毛恐竜「中華竜鳥」などの羽毛を分析した結果、クリ色から赤褐色だった可能性が高いことを突き止め、27日の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。地層に埋まり、地下水などにさらされた化石しか残っていない恐竜の色を知ることはこれまで不可能とされ、色の特定は今回が初めて。
チームは、中国遼寧省の地層から見つかった「中華竜鳥」などの羽毛の化石を電子顕微鏡で観察し、微細な構造を解析したところ、鳥類も持つメラニン色素を含む細胞「黒色素胞」が羽毛表面にあることが分かった。中華竜鳥の尾羽根や背中の羽毛には赤や茶色、黄色を発色するメラニン色素「フェオメラニン」だけが存在したことから、羽毛はクリ色から赤褐色だった可能性が高いと結論付けた。恐竜の色が特定されたことは羽毛が体温調節に加え、敵や獲物に見つかりにくいようカムフラージュの役割を果たしていた可能性など、恐竜の生態を知るのに役立つという。
真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「恐竜の色は分からないのが常識だったが、保存状態のよい羽毛があれば、色が分かる可能性が出てきたことに驚かされた」と話している。【永山悦子】
毎日新聞 2010年1月28日 3時00分(最終更新 1月28日 3時00分)
恐竜の起源:最も近い爬虫類化石、タンザニアの地層で発見
恐竜の起源に最も近いとみられる新種の爬虫(はちゅう)類の化石が、タンザニアの三畳紀中期(約2億4500万~約2億3700万年前)の地層から発見された。米コロンビア大などの研究チームが4日、英科学誌「ネイチャー」に発表した。三畳紀後期(約2億2800万~約2億年前)と考えられてきた恐竜の誕生時期が、今回の発見で三畳紀中期かそれ以前にさかのぼることになりそうだ。
新種爬虫類は、全長2~3メートルで四足歩行していたとみられる。下あごの先端は歯がなく、とがっているため、くちばし状だった可能性がある。歯の形から植物食か雑食だったとみられる。スワヒリ語で「祖先的な基盤爬虫類」を意味する「アジリサウルス・コングウェ」と名付けられた。
現在知られている最古の恐竜は、三畳紀後期のエオラプトルなどの肉食恐竜。今回発掘された化石は、股(こ)関節の形状から、爬虫類に分類された。一方、従来、恐竜に最も近いと考えられていた三畳紀後期の爬虫類と、あごなどの特徴が近く、研究チームはこの爬虫類の祖先と位置付け、恐竜の起源に近い種と結論付けた。
真鍋真・国立科学博物館研究主幹は「二足歩行の爬虫類から恐竜が進化したと考えられてきたが、初期の恐竜が、より多様だった可能性が出てきた」と話している。【永山悦子】
毎日新聞 2010年3月4日 3時03分
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