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ファッションセンターしまむらの快進撃 「一点モノ」まるで宝物探し

2009年03月19日 | スクラップ




 カジュアル衣料販売の「ファッションセンターしまむら」(本社・さいたま市)が10代後半から20代前半の若者に人気だ。全身をしまむらで購入した服でコーディネートした「しまラー」までいるという。不況で百貨店やスーパーが軒並み不振にあえぐ中、専門店売り上げでユニクロに次ぎ業界第2位(08年2月期実績)を誇るしまむらの快進撃の訳を探った。【小松やしほ】

 


■「かぶり」ナシ、多品種少量、トレンド、安い


 JRや地下鉄東西線の高田馬場駅(東京都新宿区)から徒歩約3分。スーパー「大丸ピーコック」の2階に「しまむら」高田馬場店はある。入り口から真っ先に目に入ったのは、ロゴ入りTシャツにパーカ、フリルのミニスカートというギャル風のコーディネートを施されたトルソー(マネキン)。年配の女性用から若い女性向け衣料、紳士服、赤ちゃん用品やインテリアグッズまで並ぶ500平方メートルほどの店内には、若い女性の姿が目立つ。気になる商品のお値段は、ロングTシャツ770円、ジーンズ1870~2900円、レースの飾り付きバレエシューズ1470円、千鳥格子のバルーンコートは何と4900円! とにかく安い。

 「初めて来ました」という品川区の高校2年生、原洋子さん(17)はパンツとTシャツの2点計3500円を購入。雑誌「JELLY」(ぶんか社)を見て、高1のいとこ、久保田美子さん(16)と学校帰りにやって来たという。「思っていたよりかわいい服がたくさんあるし、すごい安い。来週また来ます」とニコニコしながら帰っていった。

 友人の大学生、山口有美さん(19)と靴下を品定めしていた専門学校生の川面陽子さん(19)は常連だ。「月2、3回は来る。やっぱり安さがいい。これもここで1900円で買いました」と履いていたムートンのブーツを指した。山口さんも「初めて来たけど、かわいいものがいっぱいある」と気に入った様子。

 会社経営の真鍋恵さん(27)も初来店組。「安さにびっくりです。いい服がいろいろあって目移りしちゃいますね。渋谷区に住んでいるんですが、近くにも店をつくってほしいです」と話した。

 実は、駆け出し記者として浦和支局(現さいたま支局)に勤務していた10年ほど前、車で遠くへ取材に行くとき、よくお手洗いを借りるなど、しまむらに大変お世話になっていた。世話になっておきながら何だが、しまむらは「田舎」の象徴であり、「オバさんが着る服しかない」と思っていた。そのダサかった(失礼!)しまむらが、こんなにも若者に人気の店になったかと思うと、感無量である。




 ■

 しまむらは郊外を中心に現在、47都道府県で1123店舗を展開する。07年6月に開店した高田馬場店は山手線内にある唯一の店舗だ。

 業績は極めて順調で、過去4年の売り上げは、05年2月期2960億円▽06年同3258億円▽07年同3503億円▽08年同3669億円と右肩上がり。特に10代後半から20代前半の売り上げは毎年上がっており、売上高に占める構成比は00年2月期では5・3%だったのが、08年同期には6・9%と、1・6ポイントも拡大しているという。

 「郊外に住む20~50代の主婦をターゲットにしたデーリーファッション」をコンセプトにしてきたしまむらが、なぜ都会の若者から支持されるようになったのか。

 しまむら人気に火をつけたのは、若い女性があこがれるカリスマモデルの益若(ますわか)つばささんが、テレビ番組やブログで「しまむらを愛用している」と発言したことがきっかけとも言われているが、しまむら企画室の養田茂樹室長は「トレンドのものが雑誌などと同じタイミングで、安く手に入るというのが、支持されるポイントではないか」と話す。

 同社では00年から、仕入れ担当の社員数人を年に5、6回、パリやロンドン、ミラノなどに派遣し市場調査している。「定期的に行くことでファッションの変化が分かり、次に何が流行するのか予想できるようになる。それをもとに、都内の専門店や雑誌と同じタイミングで流行の商品を並べたり、着こなしを提案できるようになった」と養田室長。また「どの店舗に行っても、欲しい物を迷わず探せるように、全店ほぼ同じレイアウトにしていることで、安心感を持ってもらえていると思う」と言う。

 「1万円あれば、上着から下着、靴や小物に至るまでのトータルコーディネートが可能」(養田室長)という安さももちろん人気の理由。しまむらでは、商品はすべて注文発注で、返品なしの完全買い取り方式。納品は全国8カ所にある自社物流センターでしているため物流コストがかなり抑えられ、お買い得価格が実現できるのだという。




 ■

 「若者はドン・キホーテと同じで、宝探し感覚で楽しんでいるのでは」と話すのは、商業開発ディレクターの月泉博さん。月泉さんは「ユニクロ&しまむら 完全解剖」「ユニクロVSしまむら 専門店2大巨頭圧勝の方程式」などの著書があり、熱心なしまむらウオッチャーでもある。

 「しまむらの商品は多品種少量。店頭で同じ時期に並ぶ商品の種類は、ユニクロの約100倍にもなる。それが消費者からすれば、おもちゃ箱をひっくり返した中から、掘り出し物を見つける楽しみにつながっている」と月泉さん。

 しまむらでは「同品種同色同サイズの商品は各店舗に1枚ずつ」を基本とし、売り切れても追加投入はしない。これも「人と服が『かぶる』ことを嫌う主婦や若者に受け入れられる要素の一つ」と月泉さんは指摘する。また「田舎にあって都会になかったというのが、サプライズ好きの若者にとって、目新しかったのでは」とも。

 人気は続くのか。月泉さんは「欧米ではカジュアルウエアの『H&M』や『ザラ』の服はワンナイトパーティーグッズとして支持されている。日本でも、流行ものは安く手に入れ1シーズンで楽しむという考えが広がれば、しまむらにとっては振興のチャンス。今後、空床が増えてきたら、都心進出の可能性もある」とみる。

 まだまだしまむらから目が離せそうもない。


 

毎日新聞 2009年3月19日 東京夕刊

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