【ワシントン木村旬】政策金利の据え置きを決めた7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明は、米景気の下振れリスクに言及する一方、インフレ警戒感も引き続き示す内容となった。米連邦準備制度理事会(FRB)は景気と物価両にらみの姿勢だが、低所得者向けの高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題で景気の先行き不透明感は増しており、難しい政策運営を強いられそうだ。
FOMCの声明は「金融市場が不安定となり住宅市場の調整も続いている」と指摘した。市場の動揺にあえて言及したのは、「FRBは状況を注視している」とのメッセージを送り、市場の不安を和らげる狙いもあるとみられる。
ただ、声明は「米経済は堅調な雇用や世界経済に支えられ、緩やかな拡大が続く」と楽観的な見通しも維持。市場では「FRBは『住宅ローン問題が景気に重大な影響を及ぼす可能性は小さい』とみている」(バークレイズ・キャピタルのディーン・マキ氏)との声が出ている。
今後の金融政策については、声明が景気下振れのリスクに言及しながらもインフレ警戒を緩めなかったことから、「早期の利下げはひとまず後退した」との見方も少なくない。
ただ、「経済の緩やかな拡大」というFRBのシナリオにも陰りが出ている。7月の米失業率は4・6%と半年ぶりの水準に悪化、「住宅市場の不振が長引き、年内には5%に達する」との予測もある。
FRBは利上げと利下げのどちらにも動ける余地を確保しているが、「今後の経済指標の悪化や市場の圧力で年内に利下げする」(UBSのジム・オサリバン氏)との観測もある。
毎日新聞 2007年8月8日 22時39分
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