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社説:洋上給油活動 総合的なテロ対策を競い合え

2007年09月22日 | スクラップ
 国連安全保障理事会がアフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)の任務を延長する決議を行い、海上阻止活動を含む「不朽の自由作戦」(OEF)に対する謝意が盛り込まれた。海上阻止活動には、海上自衛隊も参加し燃料や水の補給活動を行っている。

 民主党はテロ対策特別措置法に基づくインド洋上での給油活動の延長について、「国連決議がない」と反対している。政府は同党の翻意を促すために、給油活動を認める文言を決議に入れるよう各国に働きかけていた。ただ、ロシアは個別の国内事情が決議に反映されたことを批判して棄権した。

 民主党は決議はあくまでISAFに対するものだとして、給油活動に対する反対姿勢は変えない方針だ。米国が自衛権を主張して始まった有志連合によるOEFに対し、単独の国連決議で承認するのは極めて困難なのが現実だ。今回の決議は国連が直接的に給油活動を承認したものではないが、国際社会は活動の継続を期待していることを示したものだろう。

 国連に関しては民主党の小沢一郎代表が提起した「国連のお墨付きがあるのか」という原則論は、国会審議でも大きな論点だ。一方で直接的な決議がなくても、国際社会に求められた場合に、日本はどのような判断をすべきかという議論も必要だ。

 また日本の活動に対する国際社会の評価も重要な視点だ。91年の湾岸戦争の際、日本は130億ドルの財政支援をしながら国際的には評価されなかった。そのため今回の延長論に対しては「給油だけで謝意を示され、安い貢献策だ」という見方もある。

 給油活動に関しては多くの論点がある。しかし参院選後、肝心な国内議論は全く行われず、国民には賛否を決める上での判断材料が与えられていない。

 海自はインド洋上のどの地域でどんな活動を行い、どれだけテロ対策に役立っているのか。最近では、米国艦船に海自が提供した燃料がイラク戦争に使われたという指摘もある。イラクとアフガンの両作戦を兼ねている米国艦船もあるだろう。給油活動の根幹にかかわる部分であり、政府からはきちんとした説明がほしい。

 一方、小沢代表はISAFは国連決議の承認を得ており、日本は参加できるという立場だ。しかしアフガン国内での活動は危険を伴い、自衛隊派遣には慎重論が強い。小沢代表はそこをどう考えているのか、明確にすべきだ。

 安倍晋三首相の突然の辞任表明によって、国会審議は中断を余儀なくされた。給油活動に関する審議も10月以降に大幅にずれ込む見通しで、もはや政府・与党も11月1日の期限切れによる活動の中断を覚悟しているだろう。

 ならば政府は新たな首相の下で給油活動に関する新法作りにもじっくりと取り組み、腰を据えた国会審議を行うよう望みたい。アフガンの民政安定策も含め、総合的なテロ対策について与野党が競い合うべきである。




毎日新聞 2007年9月21日 東京朝刊
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