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民法772条:国際結婚で「父未定」 日英夫婦の子、法務省通達で規定

2007年08月08日 | スクラップ
 
女児の父親の推定をめぐる日本と英国の違い

 英国在住の日本人女性(37)が出産した子供の父親は再婚相手の英国人男性(35)なのに、日本の戸籍では「未定」と記載された。子供は離婚後300日以内に生まれており、民法772条で父親は「前夫(日本人)」と推定されるが、「2国間で法律上の父が異なる場合に父未定とする」との法務省通達があるからだ。300日規定のいびつさが、国際結婚を通じて改めて浮き彫りになった。

 女性は東京都出身で、93年2月に結婚した日本人男性(30歳代)とともに男性の仕事の関係で00年に英国に渡った。02年春から家庭内別居状態になり、12月に離婚した。ほぼ同時期から英国人男性と同居。英国には再婚禁止期間の規定がなく、03年4月に英国人男性と再婚し、8月に離婚後250日目で女児を出産した。

 英国では、法律で出生証明書に記載された人物を父親とすることになっている。女性は英国の登録事務所で手続きをし、父親は英国人男性と認められた。女性は、女児が将来、日本国籍も選択できるようにと、女性の戸籍への登録を求めロンドン日本総領事館に相談。父親欄に夫である英国人男性の名前を記載するよう望んだが、300日規定により前夫の記載になると言われたという。

 納得できない女性が法務省に相談したところ、父親の推定について2国間で法律が異なる場合、「母か前夫の本国法で前夫の子と推定され、かつ母か後(現)夫の本国法で後夫の子と推定されるときは『父未定の子』として取り扱う」との法務省通達(89年)の存在が判明。同総領事館に伝え「父未定の子」として戸籍に記載された。

 女性は「父が前夫と記載されるなら前夫に協力を求め裁判しなければならないので、未定はまだましかもしれない。ただ、子供が将来、未定の記載を見たら、どんな思いをするだろうか」と嘆く。「未定」の記載を「英国人男性」とするには、父親を定める裁判をしなければならないという。

 法務省民事局は「300日規定は合理性のあるもので、現状ではこうした対応をせざるをえない」と話している。【工藤哲】

 

 

 

毎日新聞 2007年8月8日 東京夕刊

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