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ぽわわーん日記

恐怖の蟹狩りツアー ③三拝云(ありがとう)

2008年03月09日 | 沖縄
蟹狩りツアー・・・・・、
”つづく”と書いて早一ヶ月。
全然つづいてないですね。
主役である(?)ボスから何度も「裏切り者!」とののしられたけど
なかなかスイッチが入らなくって・・・、うだうだ。

スイッチON!

前進あるのみ、と覚悟は決めた。
巣穴を目指して前へ前へ黙々とずんずん前進する。
根っ子に引っ掛りながら、バシバシと枝に顔をひっぱたかれながら、
立ち止まらず前進する。
ボスの姿が見えなくって不安になるけど声を出して呼ばず、
あるかなきかのかすかな勘とかすかなガサゴソ音の聞こえる方へ進む。

「あ、ボスー!」

ボスの姿にホッとして思わず声を掛ける。

「うるさい!!
 オレはお前のために立ち止まったんじゃない。
 蟹の巣穴があったから立ち止まっただけだ。」

と冷たく言い放ち、巣穴にモリを突っ込み、蟹を探っている。
汗を流しながら、前神経をモリを握る手に集めて蟹の存在を感じとろうとしてる。

最初の巣穴には蟹はいなかった。
ボスはスクっと立ち上がり、
風を感じてるのか?物音を感じてるのか?気配を感じてるのか?
目をつぶって何かを感じ取ろうとしている。
声を掛けることなどできない。
なんだか、ボスにムシの触覚が生えてるんじゃないかと思った。
まるで動物みたいだ。

ボスの触覚は何かを感じとったのだろうか?
何も言わず、また動き出した。

powaも何もいわず付いて行く。
マングローブの根っ子の間を歩くのにも大分慣れた。
それでもあっという間にボスの背中は見えなくなる。

しばらくすると、ボス。
巣穴にモリを突っ込んでる。

「オッ、オッ。」

と短い声。

「蟹?いる?」

「うるさい!」

集中してる。

しばらくモリを巣穴に突っ込んだり抜いたりした後、

「ホラ、蟹!リュック開けろ!」

「うわー、でっかい!!ボス、デカイ蟹!!すごい!!」

「うるさい!早くリュック!蟹に指切らすぞ!!」


ずしりと重い蟹を背負い、意気揚々とマングローブの林を歩き帰る。
狩りもしたのはpowaじゃないのに獲物を背負うことで自分も働いた気分だ。


夜、ゆでた蟹をガブリ頬張りながら八代亜紀を聴いた。
ボスは演歌が好きらしい。
蟹と八代亜紀の組合せもオツなもんだ。
「蟹は青紫蘇ドレッシングがイチバン合うんだ。」
とボスは言う。
ノコギリガサミは繊維が太く、味は濃く、爪の部分はギッシリ肉が詰まっていて
ガブリと口をいっぱいにして食べるのがヨイ。
「ウマイ!!」
powaが感想を言うまえに驚くほどデカイ声でボスが叫ぶ。
「うまいか?」
と聞かれても口の中に蟹がいっぱいでモゴモゴ声にならない。

次はボス特製のガサミのパスタ!!
待ってる間、八代亜紀と一緒に歌ったら
「うるさい!ヘタな歌うたうな!」
と怒られた。

山盛りのガサミのパスタをどんと。
勝手にクリームパスタを想像していたけど、ピリ辛(チリソース)な味付け。

「ウマイ!!」
またpowaより先にボスが叫ぶ。

「ん!おいしー!!」

「ウマイだろー?自分で苦労して捕まえたからウマイんだ。」

「おいしー!」

「ホラ!写真撮ったか?帰ったら友達に西表島の楽しさを宣伝しろよ!」

「うん。おいしー!!」

「うるさい!おいしいは3回も言うとわざとらしい!」


旅の目的であったガサミのパスタにありつくまでの道のりは長かったなー。
マングローブの林の中で遭難しちゃうんじゃないかと怯え、
動物化したボスの怒鳴り声に怯え、
蟹に指切られるんじゃないかと怯え、
やっとパスタを口にしたときの感動ったら、
高級レストランで味わえない感動です。


月の満ち欠けや潮の満ち引きというのは不思議だ。
そのメカニズムはよく分からないけど
足元の海水がひたひたひたと水位を上げていくのを見て
ひたひたと自然の力に胸がいっぱいになる。
自然のサイクルは裏切らない。
都会で生活しているとそんなこと気にもしたことないなー。
職場から海は見えるけど灰色の海が生きているような気がしない。
自然のサイクルなど関係なく日々が過ぎていくんだなー。
だけど、どこにいたって自然のサイクルは変わらず人間に影響を与えてるんだよね。
自然のサイクルを意識して生活してみよう。


西表島でボスの案内で少しだけ自然に入って自然の恵みをいただけたこと
有難く思います。
ボス、三拝云(ありがとう)!!

恐怖の蟹狩りツアー ②前進あるのみ

2008年03月09日 | 沖縄
蟹狩りツアー・・・・、
随分あいだが空いちゃった。
ま、いっか。いいに決まってる。うんうん。

(①からつづく)


干上がってドロドロの川。
いぼる~、いぼる~。
(「いぼる」というのは博多弁げな。
 標準語だとぬかるみにはまり込むというとかいな?しらん)
ボスはもう随分前を背筋を伸ばしていぼりもせずズンズン歩いている。

干上がったといっても、やっぱり川は川。
カラカラに干上がってるわけでなく、
川らしく水が流れてる場所もあるんだなー。
ボスがモリで水深を測って浅めの場所を渡るのだけど
長靴の中に水がズボズボと入り、腰まで水がくる。

ううっ、powaは川を渡る鹿みたいだなー。

「キャー」なんてかわいい声を上げてみてもボスは無視。
ズンズンズンズン水なんてないかのように真っ直ぐマングローブの林へ突進。
ボスは戦闘態勢、いや狩猟体制に入っているのだ。
蟹狩りは蟹狩りごっこじゃないんだ。
遊びじゃないんだ。

マングローブの林の中へ。

満潮時はマングローブの根っ子は水の下で見えないが
干潮時はタコの足みたいな根っ子が露出する(写真)。
密集してるし、低い位置まで枝葉が伸びてるし、足元は根っ子が張り巡らされていて
すっごっく歩きにくい。
根っ子につまずかないように足元を見ていると顔に枝がバシバシ突き刺さる。
大切な顔に傷を入れないようにと気をつけると足は根ひひっかかりコケる。

もうっ!こわい!

と前を見ると・・・・、ボスの姿はない。
遠くにガサガサモノ音がするのみ。

パニックになり、

「ボス!!ボス!!どこ????ボースー!!!」

「うるさい!ダラダラすんな!!さっさと歩け!!」

と遠くから怒鳴り声。

えーん。マジでこわい。
一生懸命歩く。
でも、どっちに歩いていいのか方向が分からない。

「ボスー!!ボスー!!ボースー!!」

返事はない。
今度はガサガサという物音も聞こえない。

どうしよー!?
powa、西表島で遭難しちゃうの??
ここで蟹のエサになっちゃうの??
ミイラ取りがミイラになるってpowaのこと??
船に貼ってあった、行方不明の旅行者の写真を思い出す。
あぁ・・・、お父さん、お母さん・・・。

ここまできちゃったんだ、powa。
仕方ない。

こうなったら歩くしかない。
どっちへ行けばいいのか分からないけど、
行けるほうに行こう。
前進あるのみ。
前進!
もう、顔に突き刺さる枝もワナのように張り巡らされた根っ子も
怖くなんかない。
前へ前へ進むんだ!


                     ~つづく~

恐怖の蟹狩りツアー ①不機嫌は恐怖の前触れ

2008年03月09日 | 沖縄
「そうだ、そうなんだ!」

シンバの気付きの瞬間の力強い歌声。
powaはライオンキングを観て以来
「そうだ、そうなんだ!」
とひとり歌う。
そこから続く歌詞はないのだけど。


「そうだ、そうだった!」
そういえばpowaったら西表日記を中断してたぞ、
うぐぐぐぐ・・・。
”恐怖の蟹狩ツアー”について書くって予告してたのに。
あの時にことは思い出すと足がぶるぶるガクガクするんだ。
だから書けなかったんだ(いいわけ)。


石垣に出発する前日、
「蟹獲りに行くからオンボロズボン1本持ってこい。」
とボスからメールがきた。
その後、
「オンボロズボン入れたか?お前の服はどうぜ全部オンボロだけどな。」
という失礼な念押し。
オンボロじゃないやい。ふん。

狩り当日。

朝ボスを呼びに行くと・・・見るからに超不機嫌。
これが猫なんかだと、触ったら毛を逆立ててギャンと引っ掛れそうなカンジ。
うぐぐぐぐ・・・。
ボスおなか減ってるのかなー?
機嫌が悪いのは空腹のせいとしか思いつかないpowa。

長靴を手渡される。

「最初に言っとく。
 オレが長靴履いた瞬間から絶対1秒でも待たない。
 ついて来れないなら最初から来るな。足手まとい。
 マングローブの中でもしゃんと歩かないとすぐ見失うからな。
 あそこで迷子になったらお前なんか二度と帰れないからな。
 でも、待たない。探さない。帰る。
 どうする?行くのか、行かないのか。」

うぐぐぐぐ・・・、こわい。
でもさ、せっかくオンボロズボン持って来たんだもの。

「はい。行きます。連れて行ってください。蟹狩り。
 がんばるし・・・。」

空っぽのリュックを手渡される。

「リュックからって先に車に乗っとけ。
 ぐずぐずすんな!」

うげー、なんかこわーい。
でも、楽しみ~。カニ♪カニ♪カニ♪
カニのパスタはボスの得意料理なんだってー。


ここでちょっと説明。
蟹というのはマングローブの根元に巣をつくってるノコギリガサミ。
巨大で、ハサミに挟まれると指なんてふっとんじゃうほど強いらしい。
この蟹を潮が引いた時に歩いて川を渡り、マングローブの林に入り、
根元の巣を探して、モリで巣の中の蟹を引っ張るって獲るのさ。
(写真は潮が満ちてる状態)
潮が引いてる間に蟹を獲って戻らないとあっというまに水位が上がって
戻れなくなっちゃうんだ。時間との勝負。
蟹狩りといってもpowaの仕事はリュックを背負ってついていくだけ。
ボスが獲った蟹をリュックに入れ、
まるで自分で獲ったかのように得意顔でずっしり重たいリュックを背負って帰ればいいのだ。


川に下りるポイントに到着。
車中ほとんど会話なし。
ゴハンは食べても不機嫌なボス。
不機嫌な理由は空腹のせいじゃなかったみたいだね。
ま、いっか。(よくないけど)

ボスはモリを手にスタスタ早足。
観光客の若い女の子達がボスをみて、
「わー食べ物とれるのかなー」
と声を上げると
「カニ、カニ」
と言葉少ないけど少しやさしい声で答えてる。
けっ。
でも、powaもちょっぴり得意顔。
声を出さずに「カニ、カニ」と真似して言ってみる。


そうこうしてるうちに、マングローブの林どころか干上がったドロドロに足を踏みいれる前に
ボスは随分遠く前を歩いている。
ヤバイ、おいていかれちゃう~、
と気を引き締めリュックを背負いなおし早足でついていくpowaでした。

                             ~つづく~