大井川の風

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商人の心 二宮金次郎と「勤労」 受け継がれる報徳思想

2009-09-20 21:30:00 | あきんど入門
像のモデルはご存知、報徳思想を広めた二宮金次郎(後の二宮尊徳)です。

皆さんが通った学校にはこの像があったでしょうか?ちなみに私の通った学校にはありました。戦前になぜこの像が全国の学校に造られたかは、多くのサイトに掲載されていますので詳しくは割愛するとして、戦後GHQから撤去命令がなくそのまま残されたり、戦中の金属供出で無くなった像を再建したりできたのは、二宮尊徳の考えが軍国主義に基づくものではなく、経済思想であったからといわれています。

さて、報徳思想の根幹には「勤労」「分度」「推譲」の教えがあることは以前お話しました。このうち「勤労」についてはこの二宮尊徳が唱えた「天道」「人道」という考えがあります。

「天道」とは四季や天候などの自然現象のことで、これは皆に平等にいきわたります。それに対して「人道」は、人間が自分の意思で行うことです。
例えば、植物が芽を出し日光と水と土の力で成長して実をつけるのは、自然の法則「天道」です。それに対して、どんな植物の種をまくのか考えること、蒔いた種がより成長するように水を引いたり雑草を刈ったり、肥料をまいたりすることは人間がすることです。これを「人道」といいます。

「人道」はあくまでも人間がすることですから、怠けて手間を掛けずにおくこともできます。しかし、せっかく蒔いた種に手を掛けず「天道」にまかせて放置しておけば、秋に収穫できなくなるかもしれません。そうなると次の年は生活が立ち行かなくなりますね。

「天道」は自然の摂理ですので、何百年たっても変わることはありません。しかし「人道」は怠れば必ず廃れていきます。報徳思想では、この「人道」を保持継続する行いこそが「勤労」であり、仕事をすること、そして継続して行うことが尊いと説いています。




金次郎は、このように薪を背負って本を読んではいなかったという説が有力ですが、報徳思想の「勤労」の考え方がこの像のイメージにつながったことはわかります。

▲JR掛川駅北口の「二宮金次郎像」