ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】チャイコフスキー物語

2007年03月28日 20時22分38秒 | 読書記録2007
チャイコフスキー物語, 園部四郎, 岩波新書(青版)18, 1949年
・チャイコフスキー(1840-1893)の伝記。『こどもアニメ名作劇場』を思い起こさせるようなタッチで描かれている。現在からみるとかなり古い本だが、当時としては一般的な文体なのでしょうか。また、手元の本は1965年出版の第17刷で漢字が旧字体。ときどき読めないまたは読むのに時間のかかる字が。
・チャイコフスキーについては知っているようで何にも知りませんでした。若いころは朗らかで人気者タイプだったようで、イメージと違った。また、亡くなったのも53歳と若かったのですね。巻末に主要作品一覧が載っていますが、例えばオペラを挙げると、「近衛兵」、「鍛冶屋ワクーラ」、「チェレヴィチキ」、「エヴゲーニ・オネーギン」、「オルレアンの少女」、「マゼパ」、「チャロディカ」、「スペードの女王」、「ヨランタ」…… エフゲニ~のポロネーズを弾いたことがあるくらいで、他はさっぱりわかりません。こんなにオペラ書いてたんだ。。。
・「チャイコフスキーの時代にはロシヤの国民音楽がみごとに花を咲かせた。ムーソルグスキー、リムスキー・コルサコフ、ボロヂーンなどの天才はグリンカおよびダルゴムィジスキーの遺業を立派に受けついで、ロシヤ音楽を世界の音楽界においてかがやかしい地位を占めるまでに高めたのである。」p.2
・「「チャイコフスキーには何か他の学生とちがった、人の心をひきつけるものがあったにちがいない。善良で、温和で、同情深く、自分自身に対して至ってのん気なところ……」とトルチャニノフの回想のなかに書かれれている。」p.38
・「「私がその一生を音楽に捧げるようになたのはモーツァルトのおかげだ。彼は私の音楽的能力に最初の一撃をあたえ、私をしてこの世の何物よりも音楽を愛するに至らしめた……」  とチャイコフスキーは書いた。」p.41
・「彼には紙を口でかむ変な癖があった。」p.54
・「当時のロシヤではイタリア歌劇が盛んだったので彼はロッシーニ、ドニゼッチ、ヴェルディ等のイタリア・オペラをよく知り、愛好していたが、ベートーヴェンが交響曲をいくつ書いたかは知らなかった。素人の間ではほとんど知られなかったヨハン・セバスチャン・バッハ、ロベルト・シューマンといった作曲家をチャイコフスキーは全く知らなかった。」p.60
・「ラロシはその友の音楽的才能を正しくみとめ、予言した唯一人であった。」p.64
・「ニコライ・ルービンシテインは1860-70年代にチャイコフスキーの作曲した交響曲のほとんど全部の最初の演奏者であった。チャイコフスキーはニコライ・ルービンシテインの音楽的感覚の正確さと音楽の趣味とに強く信頼していたので、ときどき彼の演奏後に新作品のテンポを改訂したほどであった。」p.70
・「交響曲「冬の幻想」によってチャイコフスキーは十九世紀最大のシンフォニストとして音楽史のなかに名をとどめ、そしてベートーヴェンとならび称されるに至った。この曲は清い青春の新鮮さにみち、せん細な詩情にあふれる名曲であった。この作品は彼の最初の交響曲であったが、全く成熟し、完成したものであった。この交響曲は彼の全生涯を通じ最も愛した自作のひとつとなった。」p.80
・「ただ時間がほしい。もっと多くの時間がほしい。  頭のなかでは巣箱のなかの蜜蜂のようにメロディーが表現を求めてひしめきあっている。彼はこのメロディーのうずに巻きこまれて、無我夢中で創作する。」p.110
・「彼の財布は万人の財産であった。  彼には拒絶ということができなかった。彼の名がたかまるとともに請願者の数もました。」p.118
・「指揮棒をふってみたいというのは、チャイコフスキーの久しい宿願であった。ただ生来の内気がそれを抑えていたのである。」p.172
・「彼は二年ほど前、ヴォルガ旅行のときのことを思いだした。彼をチャイコフスキーと知るものはいなかった。その時彼は船室で自分のロマンスを歌うある婦人の伴奏をしたことがあった。この婦人はチャイコフスキーに伴奏上の注意をした。  「チャイコフスキーはこんな風に考えるということですわ。」  とこの女は御本人を前にして説明した。こんなことを思いだして思わず苦笑しながらチャイコフスキーは船室にむかうのであった。」p.182
・「「この交響曲(悲愴)より優れたものを私はこれまで書いたこともないし、これからも書けないだろう。」と深く信じていた。  10月16日、音楽会は開かれた。聴衆は拍手し、作者を舞台によびだしはしたが、やはり管弦楽の人たちと同じようにこの交響曲がわからなかった。  これがチャイコフスキーの指揮した最後の音楽会となった。」p.193
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