ぴかりんの頭の中味

主に食べ歩きの記録。北海道室蘭市在住。

【本】タイムスリップ・コンビナート

2007年03月18日 22時28分18秒 | 読書記録2007
タイムスリップ・コンビナート, 笙野頼子, 文春文庫 し-30-1, 1998年
・『タイムスリップコンビナート』(1994年芥川賞受賞作)、『下落合の向こう』(ある電車内の風景)、『シビレル夢ノ水』(どんどん成長し巨大化する蚤の描写が不気味)の三編収録。同著者の作品は、『なにもしていない』を10年以上前に読んだ記憶があります。内容は全く忘れてしまいましたが、その作品と今回ではかなり作風が変っている印象があります。ずいぶんハジけてます。意味不明系文学。
・本編に登場する『海芝浦駅』。ちょっと行ってみたいかも。
・結局、本編よりも巻末の『あとがきに代わる対話 笙野頼子 ラリイ・マキャフリイ』が一番興味深かった。(なんて書くと皮肉でしょうか)
・書き出し→「去年の夏ごろの話である。マグロと恋愛する夢を見て悩んでいたある日、当のマグロともスーパージェッターとも判らんやつから、いきなり、電話が掛かって来て、ともかくどこかへ出掛けろとしつこく言い、結局海芝浦という駅に行かされる羽目になった。」p.9 小説の内容はこの冒頭三行で全て。
・以下、『あとがきに代わる対話 笙野頼子 ラリイ・マキャフリイ』より
・「最初からこの作品のテーマとして考えていたことは、「恋愛には相手が必要なのか」ということでした。たとえば、「源氏物語」で紫式部は、庭に風が吹いているという描写だけでも恋の雰囲気を伝えることができた。」p.169
・「たいていテーマを先に決めています。長篇か短篇かによって違いますが、作品の三分の一、1、20ページから50ページは即興で書きます。残りはテーマに沿うように意識して書いていきますが、書き出す前に十分に考え抜きます。でも、計画を練るというよりも、自由連想に近いですね。神様が私にインスピレーションを与えてくれるまで待つんです。」p.174
・「40年以上前、私の母は女性で初めて三重大学に合格しました。農学を専攻して、大学ではとても人気があったそうです。抑圧もされたでしょうが、大切にもされたようです。就職活動のとき、前例がまったくなかったので、男性と同じ条件で就職しました。最初は東芝で金属材料の研究をしました。」p.175
・「三島由紀夫の初期のものは好きですね。印象に残るのは「仮面の告白」です。あと、森茉莉も好きです。彼女は、女性の視点からの幻想的な男子同性愛を文学化した最初の作家ですね。」p.176
・「 自分を突き詰めていくと、作品がどんどん非現実的になっていくわけですね。
マキャフリイ それはまったくジェイムズ・ジョイスかないか。
」p.177

?コノテーション 言語記号の潜在的・多層的意味をいう。共示。例えば小学校は、一般的には「義務教育の場」であるが、その共示は、ある人にとっては「懐かしい時代」であり、教育学者にとっては「教育制度の一部」である。
コメント
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