2007年3月9日(金)13:30から開かれた『感性応用開発研究会』のメモ
信州大学 感性工学科教授 横井紘一
『感性が社会を創る 産業を創る』
◎なぜ感性工学にハマったか？
・もとはデパート勤務。グラフィックデザイナー。これまで380本の仕事。
◎感性工学とは？（おさらい）
・感性とは→『関係形成能力』
・感性工学とは→『幸せになる技術』
・産業の流れ：プロダクトアウト→マーケットイン（いまここ）→コンシュマーアウト（この先）
◎感性産業とは？
・平成12年の通産省の定義：コンテンツ、ファッション、レジャー系
・平成19年5月発表予定 通産省「感性価値創造国家宣言」
→国の認識はズレている。「日本独自」の視点が抜けている。役所に電話してクレームいれるも話にならない。
・長野県感性産業研究会「対話型ものづくり産業」
・当面、感性産業をゼロから創るのは難しい→既存産業の感性化で対応
・感性産業の三要素：モノ・技術・ヒト
◎モノ
・既存産業（銀行、ゼネコン、広告代理店等）は、下請けに丸投げで本来の仕事をしていない→感性化は簡単
・実例）ぶどう「ナガノパープル」の売り込み→他商品との差別化、キャッチコピー、絵本作成、HP効果あり→結果売り切れ
・「流通」がポイント：庭先流通、住民参加型の流通ネットワーク
・その他例：コミュニティ景観再生事業、オンデマンド放送、行政サービス（三重県行政）
◎技術
・感性技術→まだまだ手探り状態なので若い研究者に是非取り組んでもらいたい→感性技術を確立できたら間違いなくノーベル賞
・脳についての研究なんていくらやっても無駄（時間がかかりすぎる）。脳に頼らない技術を。
・例）オンデマンドアパレル流通システム（デジカメ撮影し一週間以内に(高速)商品化）、対話型アパレルオシャレ指数（携帯電話で服選び、おしゃれチェック）
◎ヒトの感性化
・企業・事業組織の感性化→水平型組織
・教育：大学では無理！→中高生を叩け！（感性エリート教育）
◎まとめ
1.感性の認識には、個人間・組織間でまだまだ温度差がある
2.感性の技術開発が急務
3.危機感：既に感性の次が、消費者に求められているのでは？
・感性人間を創る教育が重要
～～～～～～～
日産自動車 総合研究所 社会・フロンティア研究所 花井利通
『自動車における感性工学の取組み』
・日産の感性のとらえ方
1.デザイナー視点 Percieved Quality (PQ) 日産内の指標
2.商品性的視点
3.実験解析的視点
・自動車感性人間工学
・例）車内の「広さ感」評価：物理的容量と人の感じ方は異なる。SpacialとVisualの二つをパラメータとしてモデル（数式）化
・車の自動化→車が知能を持つ→本当に消費者が望むものなのか？？議論中
・例）自動ブレーキ、シースルーピラー （ビデオ）
・経験価値経済：ケーキを例に挙げて。材料→製品→サービス→経験→変革。進むほど価値が高い。
～～～～～～～
花王 スキンケア研究所 スキンケア美容センター 南浩治
『画像を用いた化粧仕上がり評価』
・もともとは洗剤屋
・化粧部門で感性に手を出したのは最近。まだはじめたばかり。
・ベースメイクとは？→肌をきれいに見せる化粧
・化粧の三分類：基礎化粧品、ベースメイク、ポイントメイク
・化粧の仕上がりを光学的に評価。肌色（色、色ムラ）と質感（光沢、凹凸）の二つのパラメータで数値化
・いきいきとした美しさ（自身、高揚感、自己肯定感）：物理的特性だけが要因ではない
・新素材：干渉パール粉体
・実験ではＣＧを使用：モデルの写真撮影は一度のみで、ＣＧで着色。人間の負担軽減、再現性、エラーを減らす
・提示画像：モデルを回転させて写真撮影、広い角度に対応
・アンケート1：ＣＧ提示。どちらがキレイに感じられるか二者択一。
・アンケート2：因子分析。表現語69語。4段階評価。
・問題点：実際の市場と実験には距離がある。実験でよい結果がでても、その商品が売れるとは限らない。
～～～～～～～
シモンズ マーケティング部 中嶋久一
『ベッドの快適性』
・高級ベッドを扱うメーカーですが皆さんご存知？（※知りませんでした）
・中国では「ベッド＝シモンズ」というほど有名。
・人生の三分の一の時間は眠っているのに、（日本人は）ベッドに無頓着。お金をかけない。デザイン重視で、寝心地を考えない。
・ベッドの効果："高さ"のおかげで床から舞い上がるホコリを睡眠中に吸うことが無い。
・×これは良くない：厚すぎるマットレス、オープンコイル、低反発ウレタン、ウォーターベット
・○これは良い：ポケットコイル（自社開発）、ダブルクッション
・キャッチコピー『高級ホテルの寝心地をご家庭で』
・オンリーワンのベッドを！
・睡眠についてのチェック・豆知識
・自ら出演したテレビ番組のビデオ『天才!!カンパニー』 '07.2.10 OA分 http://www.ntv.co.jp/tensai/genius/main.html
～～～～～～～
・最近、感性工学に関する本（小阪裕司『「感性」のマーケティング』）がベストセラーになったり、流行りつつある分野についていろいろな話を聞けました。共通するのは、商品の一括大量生産からオーダーメイド化へ。そして、問屋や小売り業者を介さない生産者と消費者の直接のやりとりへの流通形態の変化です。しかし、まだ名前だけが先行し、中身の無い『なんちゃって感性工学』の段階で新たな技術の開発が望まれます。"日本独自"、"日本発"の新たな学問分野が創造できるか。ちょうど今が、この先廃れるか、大ブレイクするかの分岐点でしょうか。ノーベル賞のネタがこんな身近なところに転がっているとは。
信州大学 感性工学科教授 横井紘一
『感性が社会を創る 産業を創る』
◎なぜ感性工学にハマったか？
・もとはデパート勤務。グラフィックデザイナー。これまで380本の仕事。
◎感性工学とは？（おさらい）
・感性とは→『関係形成能力』
・感性工学とは→『幸せになる技術』
・産業の流れ：プロダクトアウト→マーケットイン（いまここ）→コンシュマーアウト（この先）
◎感性産業とは？
・平成12年の通産省の定義：コンテンツ、ファッション、レジャー系
・平成19年5月発表予定 通産省「感性価値創造国家宣言」
→国の認識はズレている。「日本独自」の視点が抜けている。役所に電話してクレームいれるも話にならない。
・長野県感性産業研究会「対話型ものづくり産業」
・当面、感性産業をゼロから創るのは難しい→既存産業の感性化で対応
・感性産業の三要素：モノ・技術・ヒト
◎モノ
・既存産業（銀行、ゼネコン、広告代理店等）は、下請けに丸投げで本来の仕事をしていない→感性化は簡単
・実例）ぶどう「ナガノパープル」の売り込み→他商品との差別化、キャッチコピー、絵本作成、HP効果あり→結果売り切れ
・「流通」がポイント：庭先流通、住民参加型の流通ネットワーク
・その他例：コミュニティ景観再生事業、オンデマンド放送、行政サービス（三重県行政）
◎技術
・感性技術→まだまだ手探り状態なので若い研究者に是非取り組んでもらいたい→感性技術を確立できたら間違いなくノーベル賞
・脳についての研究なんていくらやっても無駄（時間がかかりすぎる）。脳に頼らない技術を。
・例）オンデマンドアパレル流通システム（デジカメ撮影し一週間以内に(高速)商品化）、対話型アパレルオシャレ指数（携帯電話で服選び、おしゃれチェック）
◎ヒトの感性化
・企業・事業組織の感性化→水平型組織
・教育：大学では無理！→中高生を叩け！（感性エリート教育）
◎まとめ
1.感性の認識には、個人間・組織間でまだまだ温度差がある
2.感性の技術開発が急務
3.危機感：既に感性の次が、消費者に求められているのでは？
・感性人間を創る教育が重要
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日産自動車 総合研究所 社会・フロンティア研究所 花井利通
『自動車における感性工学の取組み』
・日産の感性のとらえ方
1.デザイナー視点 Percieved Quality (PQ) 日産内の指標
2.商品性的視点
3.実験解析的視点
・自動車感性人間工学
・例）車内の「広さ感」評価：物理的容量と人の感じ方は異なる。SpacialとVisualの二つをパラメータとしてモデル（数式）化
・車の自動化→車が知能を持つ→本当に消費者が望むものなのか？？議論中
・例）自動ブレーキ、シースルーピラー （ビデオ）
・経験価値経済：ケーキを例に挙げて。材料→製品→サービス→経験→変革。進むほど価値が高い。
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花王 スキンケア研究所 スキンケア美容センター 南浩治
『画像を用いた化粧仕上がり評価』
・もともとは洗剤屋
・化粧部門で感性に手を出したのは最近。まだはじめたばかり。
・ベースメイクとは？→肌をきれいに見せる化粧
・化粧の三分類：基礎化粧品、ベースメイク、ポイントメイク
・化粧の仕上がりを光学的に評価。肌色（色、色ムラ）と質感（光沢、凹凸）の二つのパラメータで数値化
・いきいきとした美しさ（自身、高揚感、自己肯定感）：物理的特性だけが要因ではない
・新素材：干渉パール粉体
・実験ではＣＧを使用：モデルの写真撮影は一度のみで、ＣＧで着色。人間の負担軽減、再現性、エラーを減らす
・提示画像：モデルを回転させて写真撮影、広い角度に対応
・アンケート1：ＣＧ提示。どちらがキレイに感じられるか二者択一。
・アンケート2：因子分析。表現語69語。4段階評価。
・問題点：実際の市場と実験には距離がある。実験でよい結果がでても、その商品が売れるとは限らない。
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シモンズ マーケティング部 中嶋久一
『ベッドの快適性』
・高級ベッドを扱うメーカーですが皆さんご存知？（※知りませんでした）
・中国では「ベッド＝シモンズ」というほど有名。
・人生の三分の一の時間は眠っているのに、（日本人は）ベッドに無頓着。お金をかけない。デザイン重視で、寝心地を考えない。
・ベッドの効果："高さ"のおかげで床から舞い上がるホコリを睡眠中に吸うことが無い。
・×これは良くない：厚すぎるマットレス、オープンコイル、低反発ウレタン、ウォーターベット
・○これは良い：ポケットコイル（自社開発）、ダブルクッション
・キャッチコピー『高級ホテルの寝心地をご家庭で』
・オンリーワンのベッドを！
・睡眠についてのチェック・豆知識
・自ら出演したテレビ番組のビデオ『天才!!カンパニー』 '07.2.10 OA分 http://www.ntv.co.jp/tensai/genius/main.html
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・最近、感性工学に関する本（小阪裕司『「感性」のマーケティング』）がベストセラーになったり、流行りつつある分野についていろいろな話を聞けました。共通するのは、商品の一括大量生産からオーダーメイド化へ。そして、問屋や小売り業者を介さない生産者と消費者の直接のやりとりへの流通形態の変化です。しかし、まだ名前だけが先行し、中身の無い『なんちゃって感性工学』の段階で新たな技術の開発が望まれます。"日本独自"、"日本発"の新たな学問分野が創造できるか。ちょうど今が、この先廃れるか、大ブレイクするかの分岐点でしょうか。ノーベル賞のネタがこんな身近なところに転がっているとは。
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