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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

The Joy Luck Club : LINDO JONG - The Red Candle (1)

2013-05-18 10:24:18 | BookClub
The Joy Luck ClubThe Joy Luck Club
価格:¥ 1,639(税込)
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続いてLinおばさん、ちょっと甘えん坊のAn-meiおばさんに対して、しっかり者のLinおばさんですが、その理由がよくわかるエピソードです。

私は両親との約束を守るために人生を犠牲にした事があるのよ。通常、約束とは全然意味がないわよね。両親と夕食を一緒にすると約束したって、頭痛や交通渋滞や好きな映画のために守られない事がある。
アメリカ映画で、兵隊さんが女の子に、戻ってきて結婚すると約束しても、金と同じ位大事な約束と言っても、結局戻ってこない。彼の金なんて、あんたと同じ14金よ。

中国人にとっては14金なんて本物じゃない。24金じゃなきゃ。今更あんたに言っても遅いけど、あんたの子供のため。いつかその子が「お婆さん、金をありがとう。絶対忘れないわ」と言ってもすぐ約束を忘れて、お婆さんがいた事も忘れるんじゃないかと思って。

さて、その映画では、アメリカの兵隊さんは、家に帰って他の女の子に結婚を申し込んだわ。彼女は目をパチクリ、まるでそんな事予測しなかったみたい。で、突然視線を落とし、彼を愛していた事に気づくの。そして涙してイエスと言い、彼らは永遠に幸せに結婚したのよ。

私の場合は全然違うわ。
村の仲人さんがうちに来た時私は2才だった。誰も言わないけど覚えているのよ。
それは暑い日で、私は母に抱かれて蝉の声を聞いたり紙の鳥?が飛び交う様子を眺めていたの。その時、2人の婦人がやってきたわ。1人はお化粧が溶けた変なシュルシュル訛り(後でわかったけどそれは北京訛り、太原の人たちにはかなり違和感がある)の女性。もう1人は木の幹のような女性。

木の幹は村の仲人で、北京訛りはHuang Taitaiと言って、婚約相手のお母さん。

中国では女の赤ん坊は価値がないのよ。ただ、どんな子かによるわね。私の場合おいしい匂いがしたという事でそれなりの価値があったみたい。
仲人さんが「土の馬と土の羊のような良い相性ですよ」と言って私の手を撫でたから、私はその手を払ってやったわ。Huang Taitaiさんがシュルシュル声で、多分、私の事を怒りっぽい奴とか文句言ってたと思うけど、仲人さんは「いえいえ、この子は強い馬。良く働きますよ」

するとHunag Taitaiさんが私をじっと見下ろしたの。まるで私の考えを読んでるみたいに。そしてやおら微笑んで(金歯がっ)、まるで私を飲み込まんばかりの勢いで口を開けて笑ったわ。

こうして私はHuang Taitaiの息子の婚約者になったの。彼の名前はTyan-yu(黄空余?)Tyanは空でyuは余り。彼が生まれた時父親が死にそうになって彼は父の人生の余り分になったという事。そんな事があって、とても大事に甘やかされて育ったの。

でも事前にそんな悪い奴と知っていてもどうしようもなかったわ。田舎の遅れた人達の生活はそんなものよ。馬鹿馬鹿しい古い慣習は最後まで残るの。他の町では男は自分で妻を選べたわ。両親の許しは必要だったけど。

もし新しい考えを聞く事はできたとしても、悪い噂にしかならないのよ。そんな悪い妻達のせいで息子達は親を放り出すようになったとか。だから太原では、母親達はこぞって、決して親を放り出さず、長い事お墓を守ってくれるような家庭の娘を選んでいるのよ。

Huang家に嫁ぐ事が決まったので、家族はまるで私を他人のように扱ったわ。おにぎりを幾つも食べたりしたら「Huang家の娘だったら幾つ食べられるか考えなさい!」だって。
母は私を愛さなかった。自分の物じゃないから、何も望まなかったわ。

私は従順な子だったの。暑いか疲れたか病気の時は辛い顔をしていたけど。だけどそんな時母は「そんな醜い顔したらHuang家がもらってくれない。うちを侮辱する気?」だから泣いてもっと醜い顔になってやったわ。「これは契約んだよ。破るわけにはいかないんだからね。」と言われてますます激しく泣いた。

8才か9才になるまで未来の旦那様は見なかったね。私の知ってる世界は質素なうちの敷地だけだった。うちのあった場所は、漢字で天国まで3歩と書く。(三歩天か?)でも実際は、何百年にも渡って汾河の土が体積した場所だ。家の東側は川で、父は小さい子は飲み込まれるぞと言っていたわ。1度は太原の町全部を飲み込んだらしい。夏は茶色で、冬は狭い場所では青緑、広い場所では凍って白だった。正月には大きなぬめぬめした魚を捕りに行ったよ。

その年、未来の旦那様を見た。花火に驚いて赤ん坊のように大口開けて叫んでた。1ヶ月の赤ん坊のお祝いの席でも見たね。その時彼はお婆さんの膝の上にはみ出しそうな体で座り、何を勧められても臭い漬け物でも近づけられたような顔して嫌がっていた。

だから、すぐには好きになれなかったね。Huang家とりわけTaitaiには礼儀正しくするよう躾られた。実の母に「あんたの母さんに挨拶しなさい」と言われると、どの母さんの事かと一瞬混乱したわね。で、実の母の方を一旦振り返ってから、Taitai母さんに餃子をプレゼントしたわ。実の母さんは、それは私が作ったものだとTaitaiに言った。本当はちょっとつついただけなんだけど。

12才の時人生が変わった。



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